「感染経路」の版間の差分

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*その他、[[狂犬病]]、[[鼡咬症]]、[[エボラ出血熱]]、破傷風、ガス壊疽など
 
=== 介達感染 ===
汚染されたものなどを媒介として感染するもの。[[食中毒]]、[[ジフテリア]]、[[B型肝炎]]、[[結核]]など
 
=== 飛沫感染 ===
患者の[[咳]]や[[くしゃみ]]、あるいは気道の吸引などによって飛散する体液の粒子(飛沫)は時に病原体を含んでいるが、これが他人の[[粘膜]]に付着することで感染が成立する。
* 5[[マイクロメートル]]以上と大きく重いものは3[[フィート]]未満しか到達しない。
* 風疹ウイルスを始め上気道炎症状を伴う[[ウイルス]]感染症([[エボラ出血熱]]、[[インフルエンザ]]、[[ジフテリア]]、[[猩紅熱]]、[[発疹熱]]、[[発疹チフス]]、[[風疹]]など)の多くや[[細菌]]性[[肺炎]]が代表的。
* SARSの原因となった[[コロナウイルス]]についてもこの経路が主体だと考えられている。
 
=== 飛沫核感染(空気感染、塵埃感染) ===
飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5[[マイクロメートル]]以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、3[[フィート]](約1m)以上の長距離を移動する。呼吸により粒子を吸い込むことにより感染を生じる。埃と一緒にウイルスを吸い込む場合でもなる。
 
飛沫感染と飛沫核感染は病室管理上、区別する必要がある。飛沫核感染する、治療法のない強感染性・強毒性の病原体に感染した患者はフィルターをもった独立した排気経路のある陰圧室での隔離が理想である。
* [[麻疹]](はしか)・[[水痘]](水ぼうそう)・[[結核]]が代表的。
* [[コロナウイルス]]でも可能性が示唆されている。
 
=== 唾液感染 ===
唾液の中に生息する病原体が口移しやディープキスなどで唾液を介して感染が成立する。
臨床感染経路分類論では歯垢感染と呼気感染は経口感染に入るが、唾液感染は入らない。
* 虫歯菌
* EBウルス
 
=== 経口感染(水系感染、水系流行) ===
感染動物由来の肉や、糞便で汚染された水などの経口摂取により感染が成立する。
*前者の例としてBSE、後者の例として病原性大腸菌[[O157]]([[ブドウ球菌]])、[[好塩菌]]、[[ボツリヌス菌]]や[[サルモネラ]]、[[腸チフス]]、[[パラチフス]]、[[赤痢]]、[[コレラ]]、[[アメーバ赤痢]]、[[ポリオ]]、[[A型肝炎]]、[[ワイル病]]、[[角結膜炎]]など。
 
=== ベクター感染(水平伝播) ===
他の動物(特に[[節足動物]])が媒介者(ベクター)となって、伝播することで感染が成立するもの。(1) その病原体の生活環の一環として、ベクターの体内で発育、増殖し、そこから感染する場合(生物学的伝播)と、(2) 単にベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播される場合(機械的伝播、機械的ベクター感染) とがある。
*(1) の例は、[[カ]]による[[日本脳炎]]や[[マラリア]]などの昆虫媒介感染症、[[シラミ]]による[[発疹チフス]]の媒介、[[腸チフス]]、[[パラチフス]]、[[サルモネラ]]、[[コレラ]]、[[ポリオ]]など。
*(2) の例は、[[ハエ]]による病原大腸菌O157や[[赤痢菌]]の媒介、[[鳥インフルエンザ]]の鶏舎間媒介。
 
=== 血液感染([[交差感染]]) ===
注射や[[輸血]]、[[歯科治療]]といった[[医療]]行為の他、外傷による出血が他者の目など粘膜に触れるなどして、血液中の病原体が感染を生じる。
*[[ヒト免疫不全ウイルス|HIV]]、[[B型肝炎]]、[[C型肝炎]]、[[クロイツフェルト・ヤコブ病]]が代表的。
*大量の曝露があれば[[梅毒]]も考慮される。
 
=== 母子感染 ===
[[垂直感染]](垂直伝播)とも。さらに次の様に分類される。
*胎内感染(経胎盤感染・経羊水感染): [[胎盤]]を通る[[血液]]を通じて感染。[[風疹]]ウイルス、[[ヒト免疫不全ウイルス]](HIV)、[[サイトメガロウイルス]]など。
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*母乳感染: [[ヒト免疫不全ウイルス|HIV]]や[[ヒトTリンパ好性ウイルス|成人T細胞白血病ウイルス]]など。
 
== 感染経路の同定 ==
 
=== 病原体が同定できる場合 ===
患者が共用する手すりや医療機器などの表面を拭って[[培養]]し(環境スクリーニング)、病原体が検出されればその物体が感染経路の一つであると推定する。さらに細菌感染症の場合、[[パルスフィールドゲル電気泳動]]により遺伝子型の近似性を調べると、[[水平感染]]の時間的順序を推定することができるため、最初に集団内に病原体が持ち込まれた経緯が分かることも少なくない。
 
=== 病原体が同定できない場合 ===
初期の[[SARS]]の様に、病原体が同定できない場合は、有病者と健常者をまず隔離してそれぞれの行動パターンや生活背景、さらに他人との接触歴について詳細な情報収集を行う。その中から感染の有無と相関のある因子を[[疫学]]的に割り出すことで感染経路を推定する。
 
例:有病者から席の離れた同室者複数に発症が見られた場合、飛沫核感染(空気感染)が疑われる、など。
 
== 関連項目 ==
*[[感染]]/[[感染症]]/[[伝染病]]
*[[微生物]]