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[[Image:Northrop P-61 green airborne.jpg|right|thumb|250px|[[アメリカ陸軍航空軍]]の[[P-61 (航空機)|P-61]]]]
'''夜間戦闘機'''(やかんせんとうき、英語:Night fighter)とは、視界の悪い夜間に活動するための装備・能力を持った[[戦闘機]]のこと。略称は'''夜戦'''。
== 概要 ==
[[File:Bundesarchiv Bild 101I-360-2095-23, Flugzeuge Messerschmitt Me 110.jpg|thumb|left|200px|ドイツ空軍(第4夜間戦闘航空団)のBf 110(1942年)]]
夜間戦闘機の発祥は、[[第二次世界大戦]]前に各国が開発した、双発複座護衛戦闘機である。[[爆撃機]]の[[航続距離|航続力]]の増大に伴い、従来の単発戦闘機では護衛機として随伴する事が不可能になり、代わってより大型で航続距離の長い双発複座戦闘機が
そこで各国軍は、双発複座戦闘機
▲[[爆撃機]]の航続力の増大に伴い、従来の単発戦闘機では護衛機として随伴する事が不可能になり、代わってより大型で航続距離の長い双発戦闘機が護衛用として開発された。しかしながら双発戦闘機は単発戦闘機に比して鈍重であり、とても対戦闘機戦闘をこなす事ができず、結局は各国の双発戦闘機の試みは失敗に終わった。[[バトル・オブ・ブリテン]]における[[メッサーシュミット Bf110]]の実績が、顕著な例として挙げられる。
夜間戦闘機といっても
▲双発戦闘機の別目的の活用として、もっとも有名になったのが、夜間戦闘機としての任務であった。昼間爆撃は敵戦闘機の迎撃による被害が大きいため、時と場合によって爆撃精度の低下を甘受し、夜間爆撃を行う場合が増加した。従来の単座戦闘機では夜間迎撃は困難であり(当然ながらそれが夜間爆撃の目的である)、それに代わって双発複座戦闘機が夜間迎撃任務に用いられるようになった。操縦士と機銃手が役割分担している複座戦闘機の場合は、昼間に比べて視界が悪い夜間であっても照準がつけやすく、また斜銃/[[シュレーゲムジーク]]のような対爆撃機専門の機銃を装備する事が可能であった。双発で大型である事から[[レーダー]]の搭載も容易であった。双発機の格闘戦能力では、対戦闘機戦闘は困難であっても、対爆撃機戦闘では問題が無かった(爆撃機よりも多少なりと運動性に優れれば、性能として十分であった)。
夜間戦闘機には大きく分けて2つのタイプがあり、それぞれ「既存の機種を改造したもの」(Ju 88、Bf 110など)と「夜間戦闘機として新たに開発したもの」(He 219、P-61など)に分けることができる。上述の通り、初期の夜間戦闘機は、かつて失敗した双発複座護衛戦闘機の別任務への活用であったが、夜間戦闘機が普遍的なものになると、専任機が新たに開発されたのである。
対義語で、昼間を主として活動する戦闘機のことを「[[戦闘機#昼間戦闘機 (Day fighter)|昼間戦闘機]]」という。しかしながら、必ずしも夜戦自体は夜間戦闘機・夜戦[[飛行隊|飛行部隊]]専任のものではなく、例として[[大日本帝国陸軍|日本陸軍]]([[陸軍飛行戦隊|日本陸軍航空部隊]])では一般の単座戦闘機にも夜戦のスキルが求められており([[操縦士|操縦者]]は夜間飛行をこなせてこそ一人前たる「技量[[甲]]」の認定を戴く)、「昼間戦闘機」・「夜間戦闘機」という区別は必ずしも当てはまるものではない。実際に日本陸軍航空部隊では、一般の単発単座戦闘機([[一式戦闘機|一式戦闘機「隼」]])を運用する一般の[[飛行隊|飛行部隊]]([[飛行第59戦隊]])が、[[太平洋戦争]]開戦当月である[[1941年]]12月の時点で[[イギリス空軍]][[爆撃機]]を[[一式戦闘機#南方作戦|夜戦確実撃墜した戦果を記録]]するなど、数々の夜間戦闘任務を積極的に行っている。その一方で、日本海軍([[大日本帝国海軍航空隊|日本海軍航空隊]])では大半の単座戦闘機およびその操縦員には夜戦の技量が無く、また夜間任務自体が例外的なものであり、原則的に専用の夜間戦闘機・夜間飛行部隊が対処していた<ref>[[渡辺洋二]] 『液冷戦闘機「飛燕」 日独合体の銀翼』 文春文庫、2006年、p.416</ref>。
▲[[Image:J1N-8s.jpg|thumb|250px|海軍「月光」 風防の後方に突き出しているのが斜銃]]
夜間戦闘機の特徴としては、▼
* 多くの機体が[[レーダー]]を搭載している▼
* 乗員が複数名(一部例外あり)▼
* 黒・グレー・濃緑など、暗めの機体塗装▼
などがあげられる。また、日本軍とドイツ軍の一部の夜間戦闘機は、通常機体後上方に向けた防御武装が強力である爆撃機に対し、[[機関銃|機銃]]を多くは斜め上方(一部機体は斜め下方にも)向けて装備し、併行して飛行しながら防御の薄い下側から連射を浴びせた。この搭載方式を日本では海軍が「斜銃」または「斜め銃」、陸軍が「上向き砲」、ドイツでは「[[シュレーゲムジーク]]」と呼ぶ。▼
=== 特徴 ===
▲夜間戦闘機といっても、用途は夜間での戦闘だけではなく、夜間での爆撃、偵察なども含まれることがある。偵察や爆撃は昼間戦闘機でも行う事があるが、双発で機体に余裕のある夜間戦闘機の場合は、より他任務に転用がやりやすかった。上述の通り、発祥となった双発複座戦闘機は、夜間戦闘機に用いられる以前より、偵察や爆撃任務に活用されている。
[[File:Bundesarchiv Bild 101I-492-3347-025, Nachtjagdflugzeuge Messerschmitt Me 110.jpg|thumb|right|200px|機種に機上空対空レーダーの[[アンテナ]]を搭載したドイツ空軍(第4夜間戦闘航空団)のBf 110(1944年)]]
▲[[第二次世界大戦]]では多く活躍し、ジェット時代に入ってしばらくの間も夜間戦闘機の区別があった。しかしながら戦闘機に搭載する[[レーダー]]を用いた[[火器管制装置]]が発達すると、夜間のみならず荒天下においても戦闘が行えるようになった。また昼間戦闘機に比べて著しく鈍重ではなくなり、昼間戦闘にも用いられるようになった。それら夜間・昼間・荒天下全てに適合した戦闘機は、全天候戦闘機と呼ばれるようになり、やがてそれらが戦闘機を含む航空機の標準機能となったため、夜間戦闘機なる呼称は消滅した。
* 強力な武装
* 充実した通信設備や相応の航法能力
▲などがあげられる。また、[[日本軍|日本陸海軍]]とドイツ空軍の一部の夜間戦闘機は、通常機体後上方に向けた防御
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== 主な夜間戦闘機 ==
以下中には「昼間戦闘のみならず夜間戦闘にも用いられた機体」をも含む。
=== ドイツ ===
[[ファイル:ME 262 2.jpg|thumb|220px|light|Me262の複座の練習機型B-1a型にレーダー、電波ホーミング装置と武装を施して夜間戦闘機仕様とした
* [[Do 217 (航空機)|Do 217]]
* [[フォッケウルフ Ta154|Ta 154]]
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=== 日本 ===
[[ファイル:Kawasaki Ki-45.jpg|thumb|220px|light|上向き砲2門を操縦者席と同乗者席の間に装備
* [[月光_(航空機)|月光]]
* [[銀河_(航空機)|銀河]]▼
* [[極光_(航空機)|極光]]
* [[電光]]
▲* [[銀河_(航空機)|銀河]]
* [[彗星_(航空機)|彗星]]
* [[二式複座戦闘機|屠龍]]▼
* [[彩雲_(航空機)|彩雲]]
* [[零式艦上戦闘機の派生型#零夜戦|零式艦上戦闘機]]
▲* [[二式複座戦闘機|二式複座戦闘機「屠龍」]]
* [[四式戦闘機#発展型|四式戦闘機「疾風」(キ84-I丁)]]
* [[一〇〇式司令部偵察機#武装司偵|一〇〇式司令部偵察機「新司偵」(武装司偵)]]
=== アメリカ ===
[[ファイル:2d FAWS North American F-82F Twin Mustang 46-415.jpg|thumb|220px|light|中央部主翼下に増槽型レーダーユニットを搭載した[[アメリカ空軍]]のF-82F]]
* [[F6F_(航空機)|F6F-5N]]
* [[F7F_(航空機)|F7F]]
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=== イギリス ===
* [[ボールトンポール デファイアント|デファイアント]]
* [[
* [[ブリストル
* [[
* [[デ・ハビランド
▲* [[グロスター ミーティア|グロスター ミーティア NF.11/12/13/14]]
* [[デ・ハビランド
=== 全天候戦闘機へと発展していったもの ===
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* [[F-86D (航空機)|F-86D/L]]
これ以降に開発されたジェット戦闘機は、開発当初から全天候戦闘機と呼ばれている。
== 脚注 ==
<references />
== 関連項目 ==
* [[夜戦]]
{{デフォルトソート:やかんせんとうき}}
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