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== 性質・特徴 ==
{{See|硝酸カリウム}}
[[火薬]]、[[染料]]、[[肥料]]など、製造に窒素が必要な製品の原料として、昔から用いられてきた。特に、[[酸化剤]]として[[黒色火薬]]の製造に必須であった。そため材料で、黒色火薬が唯一の銃砲用火薬であった中世から近代には、非常に重要な軍需物資であった。あった。また[[食中毒]]の原因となる[[細菌]]、特に[[塩漬け]]豚肉の食中毒の原因となりやすい[[ボツリヌス菌]]の繁殖を抑制する作用があり、食肉の保存に必須の薬品で、[[ハム]]・[[ソーセージ]]など[[食肉]]加工品の製造時に[[塩]]とともに肉にすり込むこと([[塩漬け#塩せき・無塩せき|塩せき]])が古くから行われている。そのため、硝石を用いた肉加工品は[[亜硝酸イオン]]と肉の[[ミオグロビン]]の結合のため独特の[[桃色]]を呈する。通常の[[ハム]]が加熱しても赤みを保つのはこのためであり、[[食品添加物]]として用いられる[[亜硝酸塩]]は発色剤とも呼ばれる
 
また[[食中毒]]の原因となる[[細菌]]、特に[[塩漬け]]豚肉の食中毒の原因となりやすい[[ボツリヌス菌]]の繁殖を抑制する作用があり、食肉の保存に必須の薬品で、[[ハム]]・[[ソーセージ]]など[[食肉]]加工品の製造時に[[塩]]とともに肉にすり込むこと([[塩漬け#塩せき・無塩せき|塩せき]])が古くから行われている。そのため、硝石を用いた肉加工品は[[亜硝酸イオン]]と肉の[[ミオグロビン]]の結合のため独特の[[桃色]]を呈する。通常の[[ハム]]が加熱しても赤みを保つのはこのためであり、[[食品添加物]]として用いられる[[亜硝酸塩]]は発色剤とも呼ばれる。
 
 
== 製造の歴史 ==
天然には、おもに地表面の土中から採取される。[[乾燥地帯]]では、自然に[[土壌]]中の硝石が[[毛細管現象]]で地表で薄い層になって析出する。そのため[[中国]]内陸部、[[スペイン]]、[[イタリア]]のような[[南ヨーロッパ]]、[[エジプト]]、[[アラビア半島]]、や[[西アジア]]の[[イラン]]、[[インド]]など乾燥した国では、天然に採取されている。一方、[[北西ヨーロッパ]]や[[東南アジア]]、[[日本]]のような湿潤環境下では天然では得がたく、人工的な合成方法が工夫された。[[アンモニア]]は[[微生物]]の作用によって硝酸カリウムとなるため、アンモニアを含む人間や動物の[[排泄物]]を土と混ぜバクテリアに分解させ、抽出して硝石を得る方法があみだ考案された。
 
[[ドイツ]]や[[フランス]]、[[イギリス]]のような北西ヨーロッパでは、[[家畜]][[小屋]]の[[土壁]]の中で、浸透した家畜の糞尿から硝石を得ていた。また、[[東南アジア]]では、伝統的に[[高床式住居]]の床下で[[鶏]]や[[豚]]を多数[[飼育]]してきたため、ここに排泄された鶏糞、豚糞を床下に積んで[[発酵]]、[[熟成]]させ、ここから硝石を抽出したほか、[[熱帯雨林]]の[[洞穴]]に大群をなして生息する[[コウモリ]]の糞から生成した[[グアノ]]からも抽出が行われてきた。
 
日本では、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]の[[火器]]導入以降、[[黒色火薬]]の原料としての硝石を基本的に中国や東南アジア方面(インド)からの[[輸入]]に頼っていた。やがて「古土法」と呼ばれる古い家屋の床下にある表層土を集め、数十年のあいだに微生物によって蓄積した硝酸カリウムを抽出する方法が発見される。古土法の生産量は少なかったが、江戸期に入って戦乱が収まったことにより火薬の需要が減り、国内での全需要を古土法で賄えるようになった。日本では幕末まで、主にこの方法で硝石を得ていた。
 
また[[加賀国]]や[[飛騨国]]などでは「培養法」という、サクと呼ばれる[[草]]や石灰屑、糞尿を穴に埋め込んで、数年で硝酸カリウムを得る技術が開発され、硝石を潤沢に生産するようになったが、この方法は他地方に伝わらなかった。幕末期になり、風通しのいい小屋に石灰や窒素を含む木の葉や石灰石・糞尿・塵芥を積み上げ、定期的に尿をかけて硝石を出させる「硝石丘法」が伝来した。しかし既に1820年ごろ、チリのアタカマ砂漠において広大な[[チリ硝石]]の鉱床が発見されており、安価なチリ硝石が大量に供給されるようになっていた。また火薬そのものも進化し、[[ダイナマイト]]など硝石を原料としない火薬に需要が移ったため、土から硝石を得る硝石生産は、やがて全く姿を消した。
 
== サイド・ストーリー == <!-- 鉱物にまつわる話や語源・名前の由来など -->