「M10 (駆逐戦車)」の版間の差分

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|不整地時速度=
|行動距離=320[[キロメートル|km]]
|主砲=[[M5 3インチ戦車砲|50口径3インチ戦車砲M7]](54発)
|副武装=[[ブローニングM2重機関銃|12.7mm重機関銃M2]]×1(1,000発)
|装甲=[[砲塔]]<br/>防盾 57mm 側・後面 25.4mm<br/>車体<br/>前面 38mm 側面 25.4mm 後面 19mm
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|備考=
}}
'''M10 GMC'''(M10 ガン・モーター・キャリッジ)は、[[第二次世界大戦]]中に生産・使用された[[アメリカ合衆国]]の[[対戦車車両|対戦車]][[自走砲]]([[駆逐戦車]])である。
 
== 概要 ==
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== 開発 ==
[[ファイル:M10 1943.jpg|thumb|250px|left|砲塔後部にカウンターウェイトを持たない初期型]]
これ以前に、[[M3軽戦車]]や[[M3中戦車]]の[[シャシ (自動車)|車台]]を使った[[対戦車車両|対戦車自走砲]]が各種[[プロトタイプ|試作]]されていたが、結局物になったのは[[M4中戦車#バリエーション|M4A2中戦車]]の車体を使い、3インチ(76.2 mm)2mm)[[高射砲]]を改造したT12[[戦車砲]]をオープントップの新型[[砲塔]]に搭載したT35試作車であった。
 
[[フィリピン]]での[[日本軍]]との[[戦闘]]により、[[装甲#傾斜装甲|傾斜した[[装甲]]が有効と認められ、それを反映した新しい車体上部が設計されT35E1となり、さらに[[そろばん|算盤]]の玉型であった砲塔が五角形の平面形となり、'''M10 GMC'''として採用されることとなった。なお砲塔がオープントップなのは軽量化のためと、砲塔上の3名全員が周囲を監視することで敵[[戦車]]を先に発見、待ち伏せ攻撃をかけ、その間は[[歩兵]]などの支援によって敵の接近を防ぐという、[[戦車駆逐大隊 (アメリカ軍)|戦車駆逐大隊]][[戦術]]に従ったものである。また緊急脱出や[[弾薬]][[補給]]が容易という利点もあった。しかし、[[迫撃砲弾]]などの曲射[[兵器]]や空中炸裂[[砲弾]]、さらに、[[山|山岳]]地帯や[[市街地]]では上方からの[[小火器]]攻撃に対しても無力で、土砂や煙が飛び込んでくるため不評であり、一部の車では現地改造で[[装甲]]天井が追加された。また、敵兵に[[手榴弾]]を投げ込まれる事を警戒して、ネットで開放部を覆う工夫を行う乗員もいたとされる。
 
また、[[機動|機動力]]が優先されたために装甲がもとの[[M4中戦車]]より薄くなっており、一応車体に装備された止め具(取り付けボス)を用いて[[装甲#増加装甲|増加装甲]]が可能であったもののほとんど使われておらず、最後期の車では車体の止め具は省略されている。
 
== 武装 ==
M10の[[主砲]]であるT12、改め[[M7M5 3インチ戦車砲|3インチ M7戦車砲]]は、同時期の[[M4シャーマン中戦車]]に装備された[[M1897 75mm野砲#アメリカ合衆国|75mm砲]]よりも対[[戦車]][[戦闘]]能力に優れていた。後に新型シャーマンM4が装備する76 mm76mm M1戦車砲と[[弾頭]]は共通で[[口径]]は同じ76.2 mm 2mmだが、[[薬莢]]が異なり装薬が多く、また[[銃砲身|砲身]]も若干長い。
 
通常のM62 APC(被帽徹甲弾)M62を用いた場合、敵である[[IV号戦車]]の後期型が装備する75[[7.5 cm mmKwK 40#L/48|75mm L/48砲]]に匹敵する威力があり、[[タングステン]]芯の入ったM93 HVAP([[高速徹甲弾]])M93を用いると、[[ドイツ]]の88[[8.8 mmcm FlaK 18/36/37|88mm]]並みの貫通力を発揮した。しかしこの砲は前方に重く、このため初期型では[[砲塔]]後部に[[砲弾]]・[[|機銃]]やグローサー([[無限軌道|履帯]]の滑り止めアタッチメント)などを集めてバランスをとっていたがまだ不十分であったため、中期型以降は後部にカウンターウイトを搭載、後期型ではウイトが後方に延長され、雑具箱になる穴が付けられた。
 
また、M4シャーマンと異なり砲塔は手動旋回のみで、動力は付いていなかった。一応、[[油圧]]旋回装置搭載型も[[プロトタイプ|試作]]されたが、後継の[[M36ジャクソン|M36]]の登場もあり、量産型で使われることは無かった。なお現在コレクターが保有する[[イギリス軍]]型M10のアキリーズには、いつ頃搭載されたものかは不明であるが、油圧式旋回装置付きの車が確認できる。
 
== バリエーション ==
[[ファイル:M10 Achilles - JPG.jpg|thumb|250px|17ポンド砲搭載の '''アキリーズ''']]
[[M18 (駆逐戦車)|M18 ヘルキャット]]の生産が軌道に乗って以降、他の[[アメリカ合衆国|米国]][[兵器]]同様、M10 GMCも[[連合国 (第二次世界大戦)|連合国]]に[[レンドリース法|レンドリース]]された。[[イギリス軍]]では1748輌1,748両が受領され「'''ウルヴァリン'''([[クズリ]])」のニックネームが付けられ、これとは別に[[自由フランス軍]]でも用いられた。しかし英軍はその[[主砲]]威力を不十分であるとみなしていたため、後期型をより強力な[[オードナンス QF 17ポンド砲|17ポンド砲]]を搭載するタイプに改造した。こちらは軍需省により「'''アキリーズ'''(Achilles)(Achilles)」と命名されたが、運用する[[部隊]]ではこの名称は使われなかったという。また以前はほとんど知られていなかったが、M10は[[赤軍|ソ連赤軍]]にも最後期型52が供与され、2個[[自走砲]][[連隊]]に編成され[[1944年]]の夏季攻勢である「[[バグラチオン作戦]]」で活躍している。アキリーズは、[[カナダ軍]]の部隊が[[朝鮮戦争]]での派遣当初に使用していたが、これは間もなくより防御力の高い[[M4中戦車#バリエーション|M4A2E8 シャーマン戦車]]に更新されている。
 
[[アメリカ]]でもフォードV8 [[ガソリンエンジン]]搭載のM4A3の[[シャシ (自動車)|車台]]を用いた'''M10A1''' GMCが生産され、これは本国での訓練用となった。これは後に、[[90mm戦車砲 (アメリカ)#T7シリーズ|M3 90mm砲]]を搭載した新型動力[[砲塔]]に換装した[[M36ジャクソン (駆逐戦車)|'''M36''' GMC]]に改造され、従来型のM10も一部が同様に改造され'''M36B2''' GMCとなった。M36と交代した一部のM10は砲塔が撤去され、重砲の牽引用であるM35 トラクターに改造された。
 
[[装甲]]の一部を軽減し、主砲をM18ヘルキャット同様のM1 76mm砲に換装して2t軽量化された'''T72'''も[[プロトタイプ|試作]]された。これは量産されることはなかったが、新設計の砲塔はM36に搭載された物のベースとなっている。
 
M10はフィッシャー・ボディ戦車部門で4,993、M10A1は[[フォード・モーター|フォード]]で1,038、フィッシャーで375[[1943年]]11月末までに生産された。このうち、海外に提供された物は生産数の半分を超える約3,600である。
 
== 登場作品 ==
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: [[アメリカ陸軍]]の[[駆逐戦車]]として登場。また、[[イギリス陸軍]]の[[駆逐戦車]]として通常仕様と第65対戦車大隊仕様のAchillesが登場。
; 『[[World of Tanks]]』
: [[アメリカ陸軍|アメリカ]][[駆逐戦車]]M10 Wolverineとして開発可能。[[イギリス陸軍|イギリス]]駆逐戦車Achillesとして開発可能。
; 『[[バトルフィールド1942]]』
: [[アメリカ軍]]・[[アメリカ海兵隊]]・[[イギリス軍]]の[[重戦車]]として登場する。
; 『[[パンツァーフロント#PANZER FRONT bis.|パンツァーフロントbis.]]』
 
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* [[アメリカ軍]]
* [[駆逐戦車]]
* [[V号戦車パンター]] - [[オットー・スコルツェニー]]が展開した[[グライフ作戦]]の中で、V号戦車パンターをM10風に改造した車が使用された。
 
{{第二次世界大戦のアメリカの装甲戦闘車両}}