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[[File:Tithonos Eos Louvre G438 detail.jpg|thumb|200px300px|ティートーノスをさらわんとするエーオース。[[ルーブル美術館]]所蔵]]
'''ティートーノス'''({{lang-grc-short|'''Τιθωνός'''}}, ''{{ラテン翻字|el|Tīthōnos''}}, {{lang-la|Tithonus}})は、[[ギリシア神話]]に登場する人物である。[[長母音]]を省略して'''ティトノス'''とも表記される。[[イーリオス]]王[[ラーオメドーン]]の子で、[[プリアモス]]、ラムポス、クリュティオス、ヒケターオーン、[[ヘーシオネー]]、[[キラ (ギリシア神話)|キラ]]、[[アステュオケー]]と兄弟。暁の女神[[エーオース]]の夫、[[ヘーラクレース]]に殺された[[エーマティオーン]]、[[トロイア戦争]]で[[エチオピア]]勢を率いて戦った英雄[[メムノーン]]の父
 
[[イーリオス]]王[[ラーオメドーン]]の子で、[[プリアモス]]、[[ラムポス]]、[[クリュティオス]]、[[ヒケターオーン]]、[[ヘーシオネー]]、[[キラ (ギリシア神話)|キラ]]、[[アステュオケー]]と兄弟<ref>アポロドーロス、3巻12・3。</ref>。暁の女神[[エーオース]]の夫で、[[エーマティオーン]]と[[メムノーン]]の父<ref>ヘーシオドス『神統記』984行-985行。</ref><ref name=Ap_3_12_4>アポロドーロス、3巻12・4。</ref>。一説に[[アッサラコス]]と兄弟<ref>オウィディウス『祭暦』4巻943。</ref>
神話によれば、暁の女神エーオースはティートーノスに惚れ、さらってエチオピアに連れて行き、夫とした。そしてエーオースは[[ゼウス]]に願い、ティートーノスを不死にしてもらった。しかし、不老にしてもらうのを忘れたため、ティートーノスは猛烈に老いさらばえてしぼみ、最後には声だけの存在となった。その後、エーオースは声だけの存在となったティートーノスの姿を[[セミ]]に変えたという。
 
==系図 神話 ==
===女神との結婚===
ティート―ノースは美男子で、エーオースから熱烈に愛されたことで有名<ref name=Hy_270>ヒュギーヌス、270話。</ref>。神話によるとエーオースは彼をさらって[[エチオピア]]に連れて行き、夫とした<ref name=Ap_3_12_4 />。[[ホメーロス]]は、エーオースがティート―ノースと眠るベッドから、毎朝、夜明けをもたらすために起き上がると詠っている<ref>『イーリアス』11巻1行。</ref><ref>『オデュッセイア』5巻1行-2行。</ref><ref group="注釈">オウィディウスも同様の詩句を残している(『祭暦』1巻461行)。</ref>。このことからティートーノースはしばしばエーオースの夫と呼ばれ<ref name=Hy_270 />、エーオースもまたティート―ノースの妻と呼ばれた<ref>オウィディウス『祭暦』3巻403行。</ref>。
 
[[シケリアのディオドロス]]によると、ティートーノースはエチオピアに遠征し、エーオースにメムノーンを生ませたと述べている<ref>シケリアのディオドロス、4巻75・4。</ref>。
 
===悲劇的結末===
『[[ホメーロス風讃歌]]』によると、エーオースは[[ゼウス]]に願い、ティートーノスを'''不死'''にしてもらった。ところが'''不老'''にしてもらうのを忘れたため、若々しい間は女神からの愛を享受していたが、老いが深まるとともにエーオースの足は遠のいて行った。それでも館の中で神々の飲食物で世話をしていたが、身体を動かすことが出来なくなったとき、ティート―ノースを奥深い部屋に移して扉を閉ざし、2度と近づかなかった。しかしティートーノースは今も生きていて、その声は扉の向こうから聞こえてくるという<ref>『ホメーロス風讃歌』第5歌「アプロディーテー讃歌」220行-238行。</ref>。別の話によると老いさらばえたティートーノースは、最後には声だけの存在となった。その後、エーオースは声だけの存在となったティートーノスの姿を[[セミ]]に変えたとされる<ref>『ホメーロスの諸神讃歌』p.334。</ref>。
 
なお、子供のうちエーマティオーンは[[ヘーラクレース]]に殺された<ref>アポロドーロス、2巻5・11。</ref>。またメムノーンは[[トロイア戦争]]で[[エチオピア]]勢を率いて戦った英雄である<ref>アポロドーロス、摘要(E)5・3。</ref><ref>シケリアのディオドロス、2巻22・1-22・5。</ref>。
 
===系図===
{{メムノーンの系図}}
 
== その他のティート―ノース ==
* [[ケパロス]]([[ヘルセー]]と[[ヘルメース]]の子)とエーオースの子で、[[パエトーン]]の父。彼は[[キプロス]]王[[キニュラース]]の祖とされる<ref>アポロドーロス、3巻14・3。</ref>。
 
== 脚注 ==
===注釈===
<div class="references-small"><references group="注釈" /></div>
 
===脚注===
{{Reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
{{commonscat|Tithonus}}
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* オウィディウス『祭暦』[[高橋宏幸 (古典学者)|高橋宏幸]]、[[国文社]](1994年)
* [[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』[[松田治]]・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年)
* [[ヘシオドス]]『[[神統記]]』[[廣川洋一]]訳、岩波文庫(1984年)
* [[ホメロス]]『イリアス(上・下)』[[松平千秋]]訳、岩波文庫(1992年)
* ホメーロス『ホメーロスの諸神讃歌』[[沓掛良彦]]訳、[[ちくま学芸文庫]](2004年)
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年)
 
== 関連項目 ==
* [[アンキーセース]]
* [[ケパロス]]
 
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