「税理士」の版間の差分

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=== 機械との競争 ===
国勢調査の職業別就業人口では、1995年から2010年の15年間で、会計事務従事者は113万人減少<ref>国勢調査「1995年版」、国勢調査「2010年版」。その後、さらにITの進歩が急激に進み、株式会社野村総合研究所の調査結果(2015年12月02日web公開)によると、『日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に~601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算~』、2016年4月現在、仕事へ与える影響は多大なものとなっている。また、中央公論2016年4月号(3月10日発売)では『特集 人工知能は仕事を奪うのか』とし、オックスフォード大学マイケル・A・オズボーン博士の寄稿が掲載されている</ref>している。税理士業務の IT 化は、[[コンピュータ]] 利用による利便性の増加の半面、仕事の自動化の結果、会計事務所の雇用する人員は減少傾向にある<ref>[http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf オックスフォード大学マイケル・A・オズボーン博士の論文「未来の雇用」]</ref><ref>[http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1603/09/news028.html 人工知能は本当に仕事を奪うのか:“10年後になくなる職業”税理士に聞く 生き残るための生存戦略 (1/2)] 2016年03月09日 閲覧:2016.05.27</ref>。これは、マサチューセッツ工科大学教授である[[:en:Erik Brynjolfsson]]と[[:en:Andrew McAfee]] による著書[[:en:Race Against the Machine]](2011年10月出版)/邦訳『機械との競争』(2013年2月出版)以降、[[コンピュータ]]の高度化がもたらす負の側面である[[:en:Technological unemployment]]が指摘されることである。そのため、会計ソフトが普及した結果、税務に関する専門家([[コンサルタント]])の行く末を悲観的に論ずる論者も2014年2月に出ている<ref>“記帳代行業務も壊滅状態”『資格を取ると貧乏になります』pp112-113(佐藤留美著 / 2014年2月 [[新潮新書]]) ISBN 978-4106105593</ref>。さらに、その後、実際に電子政府が進んだエストニアでは、“税理士や会計士が不要になり、それらの職業はエストニアでは消滅した”と記述するマスメディアの記事が2014年10月に出た<ref>[http://www.news-postseven.com/archives/20141029_283759.html 「人口130万人 エストニアから税理士や会計士が消滅した理由」週刊ポスト2014年11月7日号]</ref><ref>[https://biz.moneyforward.com/blog/business-hack/republic-of-estonia/ 「クラウドが描く未来。東欧の小国エストニアから税理士が消えたわけ」 MFクラウド 公式ブログ ビジネスハック 2015/06/12 (最終閲覧日:2016.1.17)]</ref>。これは、エストニアから完全に消滅したわけではなく、行政機関における[[:et:X-tee]]の構築など[[クラウドコンピューティング]]を用いたIT活用が進んだ結果の一側面をとらえたものであるが、IT化のもたらす将来を示唆している<ref>[https://www.ria.ee/x-tee/ Infosüsteemide andmevahetuskiht (X-tee)]</ref>。
 
=== [[Fintech]] ===
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==== アメリカにおける租税法教育 ====
 
アメリカでは、[[ロー・スクール (アメリカ合衆国)]]において、一般の弁護士を養成するとともに、租税法に強い弁護士を養成するためのエリートコースとしてJD/PhDコース、JD/MBAコースを設置しており、このコースの卒業生は、社会科学分野の博士号・修士号・MBA等と法務博士の両方を取得し、租税法に強い弁護士として社会に羽ばたいていき、租税法専門の弁護士となる<ref>[http://hls.harvard.edu/dept/academics/degree-programs/special-programs/coordinated-jdphd-program/ [[ハーバード大学]]JD/PhD Program]</ref><ref>[http://www.law.nyu.edu/jdadmissions/dualdegreeprograms/jdma  [[ニューヨーク大学]]JD/PhD and JD/MA Programs]</ref><ref>[https://law.stanford.edu/education/degrees/joint-degrees-within-stanford-university/ [[スタンフォード大学]]Stanford Law School offers three types of joint degree—JD/Master’s, JD/MD, and JD/PhD—in 21 subject areas]</ref>。
 
=== ドイツにおける事例 ===
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== その他 ==
* 2000年代に入り、国会において官公庁全般から民間への関与の在り方が問題視され、国税についても、民主党所属衆議院議員[[長妻昭]]より[[質問主意書]]が出された<ref>[http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_s.nsf/html/shitsumon/pdfS/a155021.pdf/$File/a155021.pdf 国税OB税理士に対してあっせんした顧問先企業での勤務実態に関する質問主意書 提出者長妻昭]</ref>。この質問主意書に対し、閣議決定を経た政府答弁の中身において、「税理士資格を有する職員に対する退職後の顧問先企業のあっせんは、現在も行っている。・・・・・・民間の需要に対する的確な対応等の面でも有益であるので、今後とも必要であると考えている」と認めた<ref>[http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b155021.pdf/$File/b155021.pdf 内閣総理大臣小泉純一郎 答弁書]</ref>。その後、政権交代し、民主党政権下において、このようなあっせんについては廃止された。
 
* 以前は、税理士に占める元税務職公務員の割合は、多数であった。現在は減少傾向にあるが、TKC創業者飯塚毅が指摘したドイツ(3%ほど)<ref>飯塚毅『職業会計人の使命と責任』TKC出版 1995年 pp218-219</ref>のような割合ではない。その反面、大学院で修士号を取得したことによる試験免除者の割合が増えている。
 
* [[IT]]、[[AI]]、[[クラウドコンピューティング]]の技術革新が人の雇用を奪う側面は否めない。そのため、アメリカにおける租税法教育と同様、国立大学を中心として社会科学系の博士課程への特別入試制度を設置することで、日本においても高度な専門職の有識者(公認会計士、税理士、弁護士等)の更なる研鑽を促している<ref>[http://www.econ.hokudai.ac.jp/econ/econ/wp-content/uploads/2011/10/28-15-DC_senmonjin.pdf 平成28年度 北海道大学大学院経済学研究科博士後期課程学生募集要項<高度専門人特別入試>]</ref>。
 
== 脚注 ==