「自己愛性パーソナリティ障害」の版間の差分

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自己愛性パーソナリティ障害の症状は、高い[[自尊心]]と自信を備えた個人の特徴とも似通っていると捉えることができる。そこに違いが生じるのは、これらの特徴を生み出す、基底にある心理機構が病理的であるかどうかである。自己愛性パーソナリティ障害の人物は人より優れているという固有の高い自己価値感を有しているが、実際には脆く崩れやすい自尊心を抱えている。批判を処理することができず、自己価値観を正当化する試みとして、しばしば他者を蔑み軽んじることで内在された自己の脆弱性を補おうとする。痛ましい水準の自己価値観を有する他の心理学的状態とは対照的に、[[自己愛]]的な性格を特徴づけるのはまさにこの所以である<ref name="mayo"/>。
 
幼少期における高い自己意識と誇大的な感覚はナルシシズムには特徴的なものであり、正常な発達の一部である。概して児童は、現実の自分と、自己に関して非現実的な視点の元となる理想自己との間にある違いを理解できない。8歳を過ぎると、自己意識にはポジティブなものとネガティブなものの両方が存在し、同年代の友人との比較を基盤にして発達し始め、より現実的なものになる。自己意識が非現実的なままで留まる原因として二つの要素が挙げられており、機能不全の交流様式として、親が子に対して過度の注意を向けること、あるいは注意が過度に不足していることのいずれかが挙げられる。その子どもは注意もしくはケアの不足により生じた自己の欠損を、誇大的な自我意識という手段で埋め合わせようとするだろう<ref name="npdchild">Development and Validation of the Childhood Narcissism Scale, SANDER THOMAES,1,2 HEDY STEGGE,1 BRAD J. BUSHMAN,3,4 TJEERT OLTHOF,1 AND JAAP DENISSEN. Department of Psychology, VU University, The Netherlands Department of Psychology, Utrecht University.</ref>。力動的な児童精神科医の多くは、自己愛性パーソナリティ障害は学童期までには同定できるという<ref>[[#狩野力八郎 (2002) |狩野力八郎 (2002) ]] p. 80.</ref><ref>Kernberg, P.F. Narcissistic personality disorder in childhood. In : Psychiatry. Clin. North. Am., 12 ; Narcissistic personality disorder (ed. Kernberg, O.F.), pp.671-694. Saunders, Philadelphia.1989. </ref>。また幼児期の不安定な養育は[[一人独りでいられる能力]]の確立を阻害し、安心して一人独りでいること(孤独)を楽しんだり、一人独りでくつろぐことを困難にする傾向がある。
 
児童期ナルシシズム測定(CNS)尺度によると、自己愛的な子どもは他者によい印象を与え、称賛を得ることを求め続けるが、誠実な友情を形作ることにいかなる関心も持たないと結論づけられた。CNSの研究者達は、児童期のナルシシズムは西側社会においてより優勢に見られることを測定した。過度に個人を称賛することに焦点を当てたいかなる活動も、自己愛的な側面を強めうる。ナルシシズムを先鋭化させる、あるいは保護する因子を発見する更なる調査が求められている<ref name="npdchild"/>。
一見すると慎み深く、ときに深く共感的に見えることもあるが、それは他者に純粋な関心があるように見せたいという彼らの願望を取り違えているだけである。彼らは自分の心的防衛の最終段階にある抑制的な行動しか目に入らず、自分のことを恥ずかしがり屋で自己主張ができない人間であり、当然受けるべきものも得られない性格だと考えていることがある。現実には持続的な人間関係を持つことが出来ず、共感性の欠如を示し、内に秘めた誇大的な自己像は慎重な面接を繰り返していくことで徐々に明らかになっていくのが、潜在型のナルシストの特徴である<ref name="cooper"/>。
 
[[アメリカ精神医学会]]は[[精神障害の診断と統計マニュアル]](DSM)において、自己愛性パーソナリティ障害の人物は批判や挫折に伴う傷つきに非常に敏感なため、[[社会的ひきこもり]]の人々にも見られることを報告している<ref name="dsm5npd">[[#アメリカ精神医学会 (2014) |アメリカ精神医学会 (2014) ]] pp. 661 - 664</ref>。グレン・ギャバードは、潜在型の自己愛性パーソナリティ障害の人々は[[回避性パーソナリティ障害]]や[[社交恐怖]]と多くの点で関連していることを指摘している<ref>[[#G・O・ギャバード (1997) |G・O・ギャバード (1997) ]] p.201</ref><ref name="okano"/>。また牛島は、現代の操作的診断基準(DSM)においては顕在型の傲慢なタイプは自己愛性パーソナリティ障害と診断されるが、潜在型の過敏なタイプは回避性パーソナリティ障害(あるいは[[スキゾイドパーソナリティ障害]])と診断されてしまうことが少なくないと述べている。これらは精神力動的には同じもので、単なる表裏の問題に過ぎず、背景にある自己愛性の問題を把握することが必要であることを指摘している<ref name="ushijima">[[#上島国利、市橋秀夫 (2006) |牛島定信 (2006) ]] pp.104-112</ref>。また丸田は、典型的な症例は無関心型と過敏型の特徴のどちらかを示すが、臨床的にはほとんどが両者の混合型であり、ひとつの症状軸である「他者の反応に意を介さない vs 他者の反応に対して非常に敏感」を取り上げても、その反応は振り子の両極のように大きく揺れ動くのが特徴(健康な人は揺れが少ない)という点を指摘している<ref name="maruta">{{Cite journal|和書 |author=丸田俊彦 |title=自己心理学からみた自己愛とその病理 |volume=33 |issue=3 |year=2007 |month=6 |journal=精神療法 |publisher= |location= |pages=273-279 |url= |ref= }}</ref>。現実の自己愛性パーソナリティ障害は、ギャバードの分類した無関心型の極から過敏型の極へと至る線上の間のいずれかにプロットされると考えられる。
 
=== その他の分類 ===
{{Columns-list|3|
*[[うつ病]]
*[[摂食障害]]
*[[神経性無食欲症]]
*[[強迫性障害]]
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