「テクネチウム」の版間の差分

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=== 安定同位体 ===
テクネチウムは比較的軽い元素でありながら[[安定同位体]]が存在せず、[[標準原子量]]が定められない。これは、テクネチウムが置かれた「位置」による偶然の結果である。中性子数55の <sup>98</sup>Tc が最も長寿命な核種だが、これも[[放射性同位体]]である。
 
一般に[[原子核]]は、[[陽子]]と[[中性子]]の数がともに偶数だと安定し、ともに奇数だと不安定となる<ref>[http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=03-06-03-02 原子核の壊変] 原子核物理の基礎 原子力百科事典 ATOMICA</ref>。
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ただし、「次に安定な核種」は自動的に「[[質量数]]が奇数の核種」となるため、同じ質量数を持つ核種のうちで安定核種は1つしか存在できない制約<ref>[http://kato.html.xdomain.jp/nuclearphys/chapter3/chapter3.html β崩壊 第3章原子核の安定性] 原子核物理学 加藤静吾のホームページ</ref>を受ける事となった。中性子数54の<sup>97</sup>Tc は <sup>97</sup>[[モリブデン|Mo]] に、同じく56の <sup>99</sup>Tc は <sup>99</sup>[[ルテニウム|Ru]] に安定性で劣り、不安定核種となってしまった。
 
中性子数がさらに多い、または少ない核種は、そもそも安定性の土俵に乗れず、結果としてテクネチウム以外の元素は安定同位体を得たが、テクネチウムだけが安定同位体を得られなかった。かくしてテクネチウムは、安定同位体の存在しない、放射性元素となった。
 
 
かくしてテクネチウムは、中性子数55の <sup>98</sup>Tc が最も長寿命な核種だが、安定同位体は存在しない元素となったのだった。
 
== 天然での存在 ==