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ギフテッド

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: ''詳細は、[[:en:Theory of multiple intelligences]]([[多重知能理論|多重(知能/知性)理論]])も参照''
=== 多重知能の概要 ===
多重知能という仮説概念がギフテッドに関連付けて考えられてきている<ref name="Colangelo">{{cite book|editor=N. Colangelo & G. A. Davis |edition=3rd Ed.|title= Handbook of Gifted Education|publisher= Pearson Education, Inc.}}</ref>。この概念は、学習の技術や方法ではなく学習の姿勢として説明されている<ref>{{cite journal|author=Cason, K. |year=2001|title= Evaluation of a Preschool Nutrition Education Program Based on the Theory of multiple Intelligences |journal=J. Nutr. Educ.|volume= 33|pages= 161-166|pmid= 11953232|doi=10.1016/S1499-4046(06)60186-3}}</ref>。知能には8種類のもの、あるいは人が周囲の世界を学習・把握する際に8通りの形があるとする。すなわちインターパーソナル(対人関係に関するもの)、イントラパーソナル(個人の精神内界に関するもの)、身体-筋肉感覚的、言語的、論理-数学的、音楽的、環境把握、空間-視覚的把握である。
 
多重知能の概念が教育カリキュラムに適用されて、生徒たちが自分の得意な分野をより開発できるようなプログラム、テーマ、授業プランが提供され、同時に不得意分野における学習プロセスを促進する機会が与えられたならば、我々(アメリカ)の学校システムの中で、すべての生徒が学術において向上することが示唆されている。
 
{{仮リンク|Howard Gardner|en|Howard Gardner}}は『Frames of Mind』の中で、ギフテッドの知能は古典的な知能の分野の他にもあると述べている。多重知能理論の概念はそうした、さらなる知能の形が存在する可能性を気づかせ、多様なカリキュラムを提案するものである。Gardnerは多重知能には以下のような種類があると示唆している:言語的知能、論理数学的知能、音楽的知能、空間的知能、身体運動的知能、博物的知能、対人的知能、内省的知能。
 
ただし、知能がこうした様々な形で複合的に発現するとしても、それぞれが別個の知能と言えるかどうかは実証データが乏しく推論、個人的見解の域を出ていない。こうした知能を持つギフテッドの生徒の選別には、単純なテスト方法はないために注意を要する。観察によって評価することが、おそらくもっとも的確だが同時にもっとも主観的な評価方法でもある。つまり、現状では的確な判断は主観の範疇をでない。また、多重知能理論はギフテッドの生徒にだけ適用されるものではなく、すべての生徒をより的確に評価する指針にもなりえる。また多重知能の広範な概念は、より子供の立場に立った教育方法を導き、より多くの子供たちのニーズに応えられるものだと考えられる<ref name="Colangelo" />
 
こうした知能を持つギフテッドの生徒の選別には、単純なテスト方法はないために注意を要する。観察によって評価することが、おそらくもっとも的確だが同時にもっとも主観的な評価方法でもある。また当然、多重知能理論はギフテッドの生徒にだけ適用されるものではなく、すべての生徒をより的確に評価する指針にもなりえる。また多重知能の広範な概念は、より子供の立場に立った教育方法を導き、より多くの子供たちのニーズに応えられるものだと考えられる<ref name="Colangelo" />。
 
== ギフテッドの判別法 ==
=== 概要 ===
ギフテッドの生徒の指導には特別な配慮が必要だと考えられ、学校機関が重要な課題として「ギフテッド」の公式な選別方法を模索し始めた。[[20世紀]]にはしばしば[[知能指数|IQ]][[知能検査|テスト]]を使ってギフテッドを診断していたが、近年の知能の研究は、このようなテストの妥当性や限界について大きな疑問を投げかけている。これまで北米やヨーロッパの学校は通常の学校教育では能力を引き出せない生徒たちを見つけ出そうと試み、そうした生徒の才能を伸ばすために追加教育あるいは特別な教育を提供しようしてきた。ギフテッド教育においては、こうした人々(子供、大人を含めて)を見つけ出すことが鍵とおおき課題である。したがってギフテッドとは何かを知るためには「ギフテッド」という用語を用いる機関がどのように、これを定義しているか注目する必要がある。
 
=== ギフテッドの定義 ===
かつて心理学者や精神科学者たちは{{仮リンク|ルイス・マディソン・ターマン|en|Lewis Madison Terman}}の1906年の研究を踏襲し、長年に渡ってギフテッドは高知能指数と同意義だと考えていた。この遺物的概念は今日でもギフテッドの概念の中にいくらか残っている。ただし当初から他の研究者たち(たとえば[[レイモンド・キャッテル]](Raymond Cattell)や[[ジョイ・ギルフォード]](Joy Paul Guilford)、{{仮リンク|ルイス・レオン サーストン|en|Louis Leon Thurstone |label=Thurstone}})は知性とはそのような一元的な形で表せるものではなく、もっと多面的な分析が必要だと提唱していた。
 
[[1980年代]]と[[1990年代]]に行われた研究によって知性は複数の要素からなるという考えを支持するデータが得られた。{{仮リンク|ロバート・スタンバーク|en|Robert Sternberg |label=Sternberg}}と{{仮リンク|Janet E. Davidson|en|Janet E. Davidson |label=Davidson}}による『Conceptions of Giftedness』の中の『giftedness』の再研究において、それが特に顕著に検証されている。そこで提示された様々なギフテッドの概念は、それぞれ別個であるにも関わらず様々な面で互いに関連性がある。ほとんどの研究者はギフテッドを複数の資質(すべてが知的な要素というわけではない)として定義している。またIQ測定値だけでは、学問や芸術の実質的な創造的貢献を計測することができないとしてギフテッドの選別には不適切であると考えられている。
 
またIQ値は、学問や芸術の実質的な創造的貢献を計測することができないとして、ギフテッドの選別には不適切であると考えられている。
 
{{仮リンク|Joseph Renzulli|en|Joseph Renzulli}} (1978) の「three ring定義」は詳しい研究から、得られたギフテッドの概念の1つである。これは、ギフテッド個人というより、ギフテッドの行動の定義であり、その行動は、以下の3つの基本要素から成り立っている。すなわち、平均以上の能力、高い目的達成意識、高い創造性という3つの特徴が、互いに関連しあい、それを反映した行動がRenzulliによるギフテッドの定義である。ギフテッドの行動を実現できる者とは、こうした3つの特徴を総合的に持っている人、あるい相互的に開発できる能力のある人であり、かつ、何からの形で有益な活動として活かせる人である。そして、こうした人々には通常の学校の教育カリキュラムでは、提供されない様々な形式の学習の機会と支援が必要である。
 
ギフテッドの定義の大きな特徴として、以下の事柄が挙げられる。
* ギフテッドの能力を発揮するのは、学業に限らず多様な分野である(知性、創造性、リーダーシップ、学問など)
* ギフテッドは、他のグループとの比較に基づく(同学年の生徒たち、同年の子供たち、同じ経験や環境を持つ子供たちなど)。
* ギフテッドは、能力を伸ばす教育的支援が必要である。
アメリカの多くの学校ではギフテッドの生徒を選別するために、能力や可能性を様々な方法で判定する<ref name=johnsen />。生徒の過去の作品集、教室での観察、達成度テストや[[知能検査]]などである。教育現場の専門家の多くは、選別の方法を何か一つ使用するだけでは正確にギフテッドを見極めることはできないと考えており、総合的な判断をする。
 
選別方法の一つとしてIQ(知能指数)テストの値が用いられることがある。1960年代以前、「ギフテッド」がIQによって定義されていた時代には、単純にIQの値(およそ130、標準偏差15)を基準にしてギフテッドであるか否かを判定していた。こうしたIQによる選別方法は研究者たちの間では古い考え方であるが、それにも関わらず、まったく無意味だとは言えないために、今でも他の判定基準と併用して採用している学校は少なくない。現在、ギフテッドの概念はより広範に考察されているが、単一の定義・選定基準はなく、識者の考えも統一されてないのが現状である。現代ではIQがギフテッドを選別する単一の尺度として支持されなくなっているが、生徒が非常に高いIQを示した場合は、学術において高い潜在能力を持っている可能性もあると推測され、有力なある程度の目安になる<ref>{{cite book|author=Gross, M. U. M. |year=2004|title= Exceptionally gifted children |editon=2nd ed.|location= London|publisher= RoutledgeFalmer|isbn=978-0415314909}}</ref>。したがって非常に高いIQを持ちながら平均以下の成績しか残していない生徒がいた場合には、注意深い観察が必要である<ref>GIFTED AND TALENTED STUDENTS. A Resource Guide for Teachers. Educational Services Division (Anglophone) Revised 2007, Department of Education, Government of New Brunswick, Canada.</ref>。
 
IQの判定はテストの種類、作製者によっても基準が異なる。またIQテストは、高いIQの者同士の優劣を判定するには妥当ではないという欠陥がある。IQはある人が特定の分野において実質的な創造的貢献を残すギフテッドかどうかするにはある程度有効だがものでもなくまたどの程度のレベルのギフテッドであるかを測定できるものではない。[[ウェクスラー成人知能検査]]のIQ最高値が160であることから、ギフテッドの判別に関する著者の一部には[[知能検査#開発の歴史|スタンフォード・ビネー法]] L-M版を並外れたギフテッドを選別できる唯一のテストとして推奨する者もいる。しかし、スタンフォード・ビネー法 L-M版は廃れた測定方法を用いており、これまでアメリカにおいても標準的なテストとして用いられたことがない。
 
幼い子供のIQ測定は、さらに議論が必要となる。またIQテストは、一般的に言語能力や数学的な能力に重点を置いているため、芸術や文学の分野の才能は得点では反映されにくい。現在、欧米ではIQテスト以外で芸術性や独創性などを測る試験を行なう学校も多くある。作品や創造力、独創性、芸術性、思考など多方面から才能を理解する必要がある。
 
==ギフテッドの特徴==
一般的にギフテッドは同年の人間より速く、深く、広く学ぶ。しかしこれは個人差がある。ギフテッドの子供は幼いうちから話したり文字を読んだりするが、必ずしもこれが全てのギフテッドの幼少期にあてはまる特徴というわけではない。ずいぶん年上の子供と同レベルで学習することもある。高い[[論証]]能力、独創性、好奇心、想像力、洞察力、芸術性、共感的理解、豊富な語彙、優れた記憶力を持つ傾向にある。わずかの反復で全体概念を修得しやすい傾向がみられるが、個人差がある。
 
ギフテッドといっても、全ての学術分野に等しく秀でていることは稀だろう。たとえば、論理問題を解くのが非常に優れているのに文字の綴りが苦手であったり、あるいは、学年平均よりずっと秀でた読み書きができる一方で数学が苦手であったりする。個人の発達の遅れに様々なケースがあるように、ギフテッドにも様々なケースが存在することが指摘されている。
ギフテッドは時として[[完全主義]]の傾向があったり、現実的な高い自己基準を持っていたり、早い時期から内面的な[[統制の所在]](LOC:ローカス ・オブ・コントロール)を発達させ、自己を厳しく評価または非難する傾向がみられたりする<ref name="clark"/><ref>Parker, W. D. & Mills, C. J. (1996). The Incidence of Perfectionism in Gifted Students. Gifted Child Quarterly</ref><ref>Renzulli, J. S., Smith, L. H., White, A. J., Callahan, C. M., Hartman, R. K., & Westberg, K. L. (2002). Scales for rating the behavioral characteristics of superior students (Rev. ed.). Mansfield Center, CT: Creative Learning Press.</ref>。
 
一生懸命勉強せずとも際立った学習成績を修めるという特徴が伺え一部のギフテッドにはみられるが、これも個人差がみられる。それゆえ飽きやすい傾向もしばしばみられ、ギフテッドは授業に興味がわかない、興味のある事以外はやりたがらなかったり、本人にとり意味の見出せない暗唱や機械的な丸暗記を嫌がったり苦手であったり、クラスや課題に集中できなかったり[[白昼夢]]していたり、周りとうまく合わせることができない、一般的な学校の勉強に興味を示さず成績は芳しくない、学校で問題児あつかいされたり<ref>Reis, S. M. & Renzulli, J. S. (2004). Current Research on the Social and Emotional Development of Gifted and Talented Students: Good News and Future Possibilities. Psychology in the Schools, 41, published online in Wiley Inter</ref>、繊細さや[[感受性]]の豊かさにより過度に周囲に同化しようとするあまり、意図的に能力以下の成績を修めたり、ギフテッドの特異な才能を隠す傾向がみられることが指摘されている。才能を隠すは女性に際立ってよくみられる傾向である。ギフテッドは、一般的な教育方法では、優れた成績や才能を発揮できない傾向があり、このため一般教育ではその才能は開花をフォローすることが難にくく、欧米ではギフテッド用にそれぞれの才能を伸ばす[[英才教育]]が行なわれている<ref>Sankar-DeLeeuw, N., (1999). Gifted preschoolers: Parent and teacher views on identification, early admission and programming. US: Roeper School Article Review, 21 (3) 174-179</ref>。
 
知性、認知能力や語彙が発達していることから同級生ではなく年上や大人と話すのを好む。他のギフテッドとの交流は、心的に安定感をもたらすと報告されている。
=== OE(Overexcitabilities、過度激動) ===
 
ギフテッドの人間には異常なほどの熱情、並外れた集中力、一般人とは一風変わったふるまいが見られる。これは[[注意欠陥・多動性障害|多動性障害]]、[[双極性障害]]、[[自閉症#自閉症の分類|自閉症スペクトラム]]やその他の心理的障害の兆候によく似ていたり、場合によってはおなじであ可能性も否定できない。一方で、[[ギフテッド教育]]の専門家はドンブロフスキは「'''積極的な分離'''」([[w:en:Positive Disintegration]]) <ref name=SENG />という人格形成理論を主張している。ドンブロフスキの積極的な分離理論の中核をなすのが、'''刺激に対する並ならない反応'''('''OE''' '''Overexcitabilities''' '''過度激動''')である。これは神経の感受性が増すことによって通常の人間よりも刺激を生理的に強く経験する性質であり、ギフテッドの特徴である。
 
否定的な分離とは、一般社会的な生き方から受動的・破滅的に離れてしまうことで、行為の主体性を喪失するため[[精神病]]や[[自殺]]を引き起こす可能性がある。それに対して積極的な分離とは、一般的な受身の人生から離れるべく、まず対象から主体的に分離し、物理的あるいは精神的な距離を置くことで、より広い視野を俯瞰し、強い知覚に基づく深い理解を形成し、より高いレベルの認識を求め続けることである。たとえば、一般社会に対してでさえ積極的分離と再融合を繰り返すギフテッドは、自己や世界の概念が徐々に変化しながらも少しずつ社会の矛盾を解きほぐし、問題を認識し、最終的に独創的な生き方のビジョンを得てその解決や克服、その実現を目指す。しかし、その分離過程では、常に、緊張、不安、気分的うつ、恥、罪悪感といった精神的苦痛を伴う。その自己の葛藤は、常に深い感情作用と連動しており、人生の要となる出来事から日常の内省行為まで、世の中がそうあるべき姿と現実世界とのギャップを思い知る強烈な機会となる。
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