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[[ソビエト連邦|ソ連]]の新型[[兵器]]としては珍しく、翌[[1967年]]には早くも[[赤の広場]]での革命記念パレードで公開され、当初[[西側諸国]]では「'''M1967'''」、後に[[主砲]]の[[口径]]を76mmと予想して「'''BMP-76'''」と呼称した。「BMP-1」の制式名称が判明したのは[[1980年代]]になってからである<ref name="nihonheiki"></ref>。
 
斬新なコンセプトを持つBMP-1だったが、初の実戦運用である[[アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)|アフガニスタン侵攻]]では少なからず問題を露呈した。中途半端な位置にあった[[指揮官|車長]]席は[[分隊|分隊長]]席となったが、下車時に車体の上から降りるため、下車時に[[狙撃]]される確率が高くなり、下車後に指揮官を失った[[兵士|兵員]]達が右往左往することになった。兵員は、後部の観音開き式ドアか上部ハッチから乗降するが、両方とも狭く、特に重量がある後部ドアは開閉に力を要し、かがむように乗り降りしなければならなかったため乗下車に時間がかかり、戦闘時に降車する場合の兵員被弾率は高くなってしまった。また、燃料タンク兼用の後部ドアは被弾時に簡単に引火した。これに対応するために、一定以上の衝撃が加わると自動的に後部ドアを車体から切り離す機構が追加で装着されたが、ドアからの燃料配管の遮断バルブの作動が不完全なことが多く、タンク内に燃料が入っている場合には却って燃料を車内に撒き散らし、そこに着火して一挙に車内が炎上した上に兵員室の仕切りの燃料タンクに誘爆して車体が火だるまになるという最悪の結果を多発させた。燃料として使われる[[軽油]]は、[[ガソリン]]に比べ引火点が高く炎上しにくいといわれるが、[[榴弾]]の爆発で発生する高温によって着火してしまうため、[[第二次世界大戦]]当時から[[ディーゼルエンジン]]搭載のソ連製[[装甲戦闘車両|戦闘車輌]]が多数炎上して失われている。
 
また[[第四次中東戦争]]開戦時までにエジプト軍に230輌、シリア軍に150から170輌(うち前線への配備は100輌ほど)が引き渡され実戦参加したが、従来のソ連軍装甲戦闘車輌に比べ機構が複雑で、乗員の練度不足が原因で戦闘損失より故障による放棄車輌が多かったという。このためイスラエルが捕獲したBMP-1は、合計100輌以上が修理により再生可能であった。
防御力においては、車体サイズのわりに重量が軽いことにより当初より疑問符がついていたが、[[RPG (兵器)|RPG]]の直撃に耐えられないのはもちろん、車体上部の[[エンジン]]区画や兵員室側面の[[銃眼]]付近の[[装甲]]は[[ゲリラ]]側が使う12.7mm[[重機関銃]]や14.5mm[[対物ライフル]]程度にも貫通されることがあった。そのため、次期モデルの[[BMP-2]]を含めて該当部位にボルト止め[[装甲#増加装甲|増加装甲]]が取り付けた車両も多数存在する。
 
防御力においては、車体サイズのわりに重量が軽いことにより当初より疑問符がついていたが、[[RPG (兵器)|RPG]]の直撃に耐えられないのはもちろん、車体上部の[[エンジン]]区画や兵員室側面の[[銃眼]]付近の[[装甲]]は、イスラエル軍や[[ゲリラ]]側が使う12.7mm[[重機関銃]]や14.5mm[[対物ライフル]]程度にも貫通されることがあった。そのため、次期モデルの[[BMP-2]]を含めて該当部位にボルト止め[[装甲#増加装甲|増加装甲]]が取り付けた車両も多数存在する。また中東の炎天下では密閉した車内が高温となるため、常にハッチを開けたまま行動する車輌も多く、被弾時の損害をより大きくした
 
主兵装の73mm低圧[[滑腔砲]]から発射される[[砲弾]]は、低速で横風の影響を受けやすいため500m以上の命中率は50%と著しく低く、最大射程1,500m程の重機関銃にアウトレンジされる始末であった。また、主砲の仰角が33°までしか取れなかったため、近距離で高所に陣取る敵には効率の良い攻撃が不可能だった。[[対戦車ミサイル]][[9M14 (ミサイル)|9M14 マリュートカ]]の再発射には、停車した状態でわざわざ[[砲塔]]から[[砲手]]が身を乗り出して飛翔体をレールに装填した上で4枚の翼を取り付ける必要があった上、9M14 マリュートカの飛翔速度は遅く、発射時には大量の噴煙を出すため、位置を露呈させることになった<ref name="sensyanenkan"></ref>。こうした[[武装]]を有する低平な砲塔を操作するのは1名のみであり、砲手の負担も大きかった。こうした問題から、高角度への有効な攻撃手段を確保するために現地改造で砲塔の9M14 マリュートカ発射機を[[AGS-17]][[グレネードランチャー#自動擲弾発射器|自動擲弾発射器]]に取り替えたり、兵員室の屋根に[[2B9 82mm自動迫撃砲|2B9自動迫撃砲]]を装着したりして対応した。