「品種改良」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
18行目:
種間[[交雑]]は野外では滅多に成立しないが人工的にこれを行えば成功することもあり、ここから新しいものが生まれることも多い。[[コムギ]]なども何度かの種間交雑が過去にあったことが推定されているが、これらはかなり古い時代と言<!--思-->われ、偶然の産物であろう。現代では、たとえば[[洋ラン]]では広くこれが行われ、さらに属間雑種も作られている。いわゆる[[カトレア]]には近縁四属の属間雑種が多数含まれている。品種間でも交雑により新品種の作出が試みられる。
 
==植物セックス==
食料の場合、収穫・耐病性・食味などの性質を向上させる目的で品種改良が行われる。[[イネ]]、[[ムギ]]、[[トウモロコシ]]等の[[穀物]]や、[[イモ]]類などで盛んに品種改良が進められている。
: その他、望まれる特性としては、耐寒性、耐暑性(温暖化対策)、耐虫性、減肥や多肥(窒素過多)での栽培、密植可能、[[矮性]]等が挙げられる。
 
==動物==
[[家畜]]の場合、競走能力の向上、肉質などの性質を向上させる目的で品種改良が行われる。[[競走馬]]、[[ウシ|肉牛]]などで盛んに品種改良が進められている。例えば[[サラブレッド]]の場合、原種の一つである[[アラブ種]]と比較し、走力が大幅に強化されている。アラブ限定の[[ドバイカハイラクラシック]](ダート2000m)の走破タイムは2分15秒ほどであるが、同日同条件で行われるサラブレッド限定の[[ドバイワールドカップ]]は2分前後と速くなっている。さらに、ごく短い距離ならば時速80kmを出すことも馬によっては可能だという(他に体高で約15cm、体重で約25%増加するなど体型にも変化が見られる)。これらの品種改良は初期にはイギリスで、後には世界各地で合計300年以上をかけ行われ、現在も競馬を通じて品種改良が続けられている。
 
[[ペット]]の場合、外見や性格などの性質を向上させる目的で品種改良が行われる。[[イヌ]]、[[ネコ]]などで盛んに品種改良が進められている。
 
[[生物的防除]]を目的とした[[生物農薬]]に用いる昆虫類なども品種改良の対象となることがある
 
== 生物学への影響 ==
これらの品種改良工程は、自然界で発生していると言われている[[進化]]の現在の解釈と同等の変化であり、進化を人為的に行なっているとも言える。人為的に突然変異個体や優良個体を選択し繁殖させていくことで、自然界の進化では考えられないスピードで変化していくが、自然界の進化で起こるとされる種の分化には至らない。これは、根本的な生殖遺伝子の変異は、人為的品種改良では時間が短いためそう簡単に変化せず、またある個体の生殖遺伝子に変化が生じた場合であっても、その他の個体との生殖等によって子孫では特徴が薄れたり消失してしまったり、もしくは生殖そのものが行なえず子孫を残せないためである(変異は長期的には進化の一環だが、個体では[[奇形]]や[[先天性]]の[[障害]]とみなされることが多い)。
自然界の進化では数万年単位の長期間をかけて変異個体同士の特徴固定化や生息地域の分断等による[[自然選択]]によって分化しているとされている。