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'''ハリガネムシ'''(針金虫)とは[[類線形動物門]]ハリガネムシ綱(線形虫綱)ハリガネムシ目に属する生物の総称。
 
[[ミミズ]]や[[線虫]]などと違って体に伸縮性がなく、のたうち回るような特徴的な動き方をする。体は左右対称で、種類によっては体長数 cmから1m1 mに達し直径は1〜3mm - 3 mmと細長い。内部には袋状の[[体腔]]がある。表面は[[クチクラ]]で覆われていて[[体節]]はない。また、クチクラで覆われているため乾燥すると[[針金]]のように硬くなることからこの名がついた。
 
[[カマキリ]](主に[[ハラビロカマキリ]]に寄生)や[[バッタ]]、[[カマドウマ]]、[[ゴミムシ]]、[[コオロギ]]等といった[[昆虫]]類の[[寄生虫]]として知られている。地方によっては「ゼンマイ」とも呼ばれる。アメリカでは[[ウマ|]]を洗う水[[]]の中から発見されたことから''horsehair worm''という[[俗称]]がある。
 
[[寿命]]は約2 - 3年と言われているが、いつ生まれて、どのように育つか未解明なところがある<ref name="kawabata1">{{Cite news |title=「研究室に行ってみた。神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉」第1回 カマドウマの心を操る寄生虫ハリガネムシの謎に迫る|newspaper=Webナショジオ |date=2014-11-04|author=川端裕人|url=http://nationalgeographic.jp/nng/article/20141030/422341/|accessdate=2015-03-26|agency=ナショナルジオグラフィック 日本語版|publisher=日経ナショナルジオグラフィック社|language=日本語}}</ref>。
 
世界中で記載されているのは326種(2014([[2014]]時点)であるが、実際には2000種以上いるといわれている。[[日本]]では14種(2014年時点)が記載されている<ref name="kawabata2">{{Cite news |title=「研究室に行ってみた。神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉」第2回 まるで寄生獣!寄生虫ハリガネムシの恐るべき一生|newspaper=Webナショジオ |date=2014-11-05|author=川端裕人|url=http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141031/422534/|accessdate=2015-03-26|agency=ナショナルジオグラフィック 日本語版|publisher=日経ナショナルジオグラフィック社|language=日本語}}</ref>。
 
[[ジャガイモ]]や[[ダイコン|大根]]などの[[害虫]]として知られている「ハリガネムシ」は本種ではなく、[[コメツキムシ]]の仲間のマルクビクシコメツキ、クロクシコメツキ、クシコメツキ、トビイロムナボソコメツキ、コガネコメツキ等の[[幼虫]]である。
 
== 生活史 ==
[[生活型 (水生生物)|水生生物]]であるが、生活史の一部を昆虫類に寄生して過ごす。
 
[[オス]][[メス]]が水の中でどのように相手を捜し当てるかは不明だが、雄雌が出会うと巻き付き合い、オスは二叉になった先端の内側にある孔から精泡([[精子]]の詰まった囊)を出し、メスも先端を開いて精泡を吸い込み[[受精]]させる<ref name="kawabata2" />。メスは糸くずのような卵塊([[受精卵]]の塊)を大量に生む<ref name="kawabata2" />。
 
1,2か月かけて卵から[[孵化]]した[[幼生]]は川底で蠢き、[[濾過摂食|濾過摂食者]]の[[水生昆虫]]が取り込む。幼生は身体の先端に付いた[[鋸|ノコギリ]][[腸管]]の中を進み、腹の中で「[[シスト]]」の状態になる。「シスト」は自分で[[]]を作って[[休眠]]した状態であり、-30℃の[[冷凍]]下でも死なない<ref name="kawabata2" />。
 
[[水生昆虫]]のうち、[[カゲロウ]]や[[ユスリカ]]などの昆虫が[[羽化]]して陸に飛び、[[カマキリ]]や[[カマドウマ]]などの陸上生物に[[捕食]]されると寄生し、2 - 3か月の間に腹の中で成長する<ref name="kawabata2" />。また、寄生された昆虫は[[生殖機能]]を失う。成虫になったハリガネムシは[[宿主]][[]]にある種の[[タンパク質]]を注入し、宿主を操作して水に飛び込ませ、宿主の[[]]からる<ref name="kawabata3">{{Cite news |title=「研究室に行ってみた。神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉」第3回 寄生虫ハリガネムシはどうやって宿主の心を操るのか|newspaper=Webナショジオ |date=2014-11-06|author=川端裕人|url=http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141031/422534/|accessdate=2015-03-26|agency=ナショナルジオグラフィック 日本語版|publisher=日経ナショナルジオグラフィック社|language=日本語}}</ref>。[[]][[]]、流れの緩やかな[[]]などの水中で自由生活し、[[交尾]][[産卵]]を行う。
 
寄生生物より外に出る前に宿主が[[類|魚]]や[[カエル]]などの捕食者に食べられた場合、捕食者のお腹の中で死んでしまう<ref name="kawabata6">{{Cite news |title=「研究室に行ってみた。神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉」第6回 ハリガネムシがつむぐ「森と川のフルコース」|newspaper=Webナショジオ |date=2014-11-11|author=川端裕人|url= http://nationalgeographic.jp/nng/article/20141106/423234/|accessdate=2015-03-26|agency=ナショナルジオグラフィック 日本語版|publisher=日経ナショナルジオグラフィック社|language=日本語}}</ref>が、捕食者の外に出ることができるケースもある<ref name="kawabata4" />。
 
[[カワゲラ]]をはじめとする水生昆虫類から幼生および成体が見つかることがある。また、昆虫だけではなく[[イワナ]]などの魚の内臓に寄生する場合もある。
 
[[ヒト]]への寄生例が数十例あるようだが、いずれも偶発的事象と見られている。ハリガネムシを手に乗せると、[[]]の間から体内に潜り込むと言われることがあるが、全くの[[俗説]]で、成虫があらためて寄生生活にはいることはない。
 
== 生態系にて果たす役割 ==