「クシナダヒメ」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
(V)52(V) (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
28行目:
前述の通り、クシナダヒメはヤマタノオロチ退治の際に櫛に変えられている。その意味については諸説あるが、その一つを記述する。
 
スサノオが単にクシナダヒメの姿を隠そうとしたのであれば、両親とともにクシナダヒメも安全な場所に隠れさせておけば良いはずであり、わざわざ身に着けて戦いの場に連れていくのはむしろ危険であるといえる。それにも関わらずスサノオがこのような行動をとったのは、ヤマタノオロチに対抗するために、クシナダヒメを身に着けることで女性の有する生命力を得ようとしたためと考えられる。<ref>古代人の思想で、女性は生命力の源泉と考えられていた。</ref>
 
戦いの場に持っていくのであれば、櫛よりも[[剣]]や[[矛]]など武器の類に変えたら一層有利であったと考えられるのに、スサノオは櫛を選択している。それは女性の有する生命力だけでなく、櫛の持つ呪力も同時に得ようとしたためである。<ref>元が女性であるため、直接殺生に関わる武器に変化させるのは不適切だった(仮にクシナダヒメを殺傷能力のある武器に変化させてその武器でオロチに止めをさした場合、クシナダヒメ自身がオロチを殺したことになる)という見方もできる。</ref>日本では古来、櫛は呪力を持っているとされており、同じ『古事記』において[[イザナギ]]は、妻の[[イザナミ]]が差し向けた追っ手から逃れるために、櫛の歯を後ろに投げ捨てたところ、櫛が[[筍]]に変わり難を逃れている。また、櫛は生命力の横溢する[[竹]]を素材として作られていたため、魔的存在に対する際に極めて有効な働きを為すものと考えられたと思われる。{{refnest|group=出典|福島秋穂『記紀載録神話に見える櫛の呪力について』7頁}}