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== タイプ7 ==
[[1956年]]にスタートした[[ポルシェ・356|356]]の後継車プロジェクトは[[フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ]]を中心に進められた。356は設計当初2座席であり2年生産された後に補助座席として後部2座席が付け足され室内が狭かったことから、室内スペースを広く取るため[[ホイールベース]]を延長し2+2シートを確保するという骨格のもとで進められ、試作車が3 - 4台製作された。プロジェクトは[[エルヴィン・コメンダ]](''[[:en:Erwin Komenda|Erwin Komenda]]'' )に引き継がれ、一時は大型4人乗りモデルも検討されたが、最終的に2+2のコンパクト[[クーペ]]に落ち着いた。
 
== 901型 ==
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| デザイン=[[フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ]]
| ボディタイプ=2ドア クーペ
| エンジン=空冷 [[水平対向6気筒|F6]] [[SOHC]] 1,991cc991 cc
| トランスミッション=5速[[マニュアルトランスミッション|MT]]
| サスペンション= 前 マクファーソンストラット+トーションバー<br />後 トレーリングAアーム+トーションバー
| 駆動方式=RR
| 全長=4,163mm163 mm
| 全幅=1,610mm610 mm
| 全高=1,320mm320 mm
| ホイールベース=2,211mm211 mm、Bシリーズ以降2,271mm271 mm
| 車両重量=1,095kg095 kg
| 乗車[[定員]]=4名
| 自由項目1(項目名)=
| 自由項目1(内容)=
38行目:
| 後継=930型
}}
 
=== Oシリーズ ===
[[1963年]]356の後継車として[[フランクフルトモーターショー]]で[[プロトタイプ#自動車|プロトタイプ]]がデビューし、[[1964年]]から本格生産に入った。当初は開発コードそのままに「901」と名乗っていたが、[[プジョー]]が真んに0の入った3桁数字をすべて[[商標]]登録していたため「911」と改めた<ref>{{cite book
 
[[1963年]]356の後継車として[[フランクフルトモーターショー]]で[[プロトタイプ#自動車|プロトタイプ]]がデビューし、[[1964年]]から本格生産に入った。当初は開発コードそのままに「901」と名乗っていたが、[[プジョー]]が真ん中に0の入った3桁数字をすべて[[商標]]登録していたため「911」と改めた<ref>{{cite book
| title=Porsche 911 Red Book 1965-2004
| page=8
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| date=2004-12-15
| isbn=9780760319604
}}</ref>。初代生産型は開発コードの901からそのまま901型と称され、部品番号の冒頭にも901が入っている(同様の理由で[[ポルシェ・904]]はポルシェカレラGTSに改名されている)。通称「ナロー」。日本には[[ミツワ自動車]]により[[1965年]]より輸入されている。技術担当重役はF.トマラ、エンジン開発主任は[[フェルディナント・ピエヒ]]、スタイリングは[[フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ]]が担当した。
 
エンジンは新たに開発された[[空冷エンジン|空冷]][[水平対向6気筒]]で内径φ80mm×φ80 mm×行程66mm66 mm。低[[騒音]]と高[[出力]]を兼ね備えており将来性があるとの観点から、従来の[[OHV|プッシュロッド]]式に換えて[[SOHC]]が採用された。[[排気量]]は大きなマージンを取りかつ手の届きやすい価格にするため排気量1,991cc991 ccになったものの、後の市場の要求次第で2.7リットルくらい程度まで拡大できるようになっていた。総[[アルミニウム合金]]製の[[クランクケース]]、[[タイミングチェーン|チェーン]]駆動<ref group="注釈">4気筒の356カレラエンジンでは[[歯車#種類|ベベルギア]]駆動であったため騒音が大きく、[[タイミングベルト|ベルト]]駆動はシンプルで静粛であるが当時としては[[ハンス・グラース (自動車メーカー)|ハンス・グラース]]しか採用しておらずリスクを負うべきではないとの結論になり、チェーン駆動となった。高性能エンジンは[[フライホイール]]が軽くチェーンに大きな[[加速力]]が掛かるため、当時最高品質であったレノルド(''Renold'' )製を採用した。</ref>される[[カムシャフト]]、[[ドライサンプ]]<ref group="注釈">水平対向エンジンは横幅があるため横Gが掛かった時のオイルレベル変動が激しい。ウエットサンプでオイルパンを深く取れば[[最低地上高]]を確保するためエンジンの重心位置を上げねばならず、[[重心]]が高くなる。また空冷のためオイル量を増やす目的もあって4気筒エンジンでもカレラ(356と904)にはドライサンプが採用されていた。</ref>、鉄製[[シリンダーライナー]]をアルミフィンで包んだバイラル構造シリンダー<ref group="注釈">当初はアルミニウム合金、試作段階では[[鋳鉄]]製であった。</ref>、軸流式冷却ファン<ref group="注釈">従来使われていたシロッコ式は非常に安価にフォルクスワーゲンから購入できたが効率が劣り、また風が左列に行くので右列用にダクトを設けるか右寄りにファンを移動する対策が必要になっていた。</ref>などが特徴点として挙げられる。[[キャブレター]]は[[ソレックス]]トリプルチョーク40PIオーバーフロー型をツインキャブで採用していた。[[クラッチ]]はフィヒテル&ザックス(''Fichtel & Sachs'' 、現[[ZFフリードリヒスハーフェン|ZF]])が生産した砂型アルミニウム[[鋳物]]製で軸間距離は68mm68 mmφ215mmφ215 mm単板ダイアフラム式。
 
全長は4163mm4163 mm。全幅は1,610mm610 mm。[[ホイールベース]]は2,211mm211 mm[[トレッド]]は前1,337mm337 mm、後1,317mm317 mmリムホイールは前後とも4.5J15in5J15 in[[タイヤ]]は前後とも165HR15。[[ブレーキ]]は1系統で[[ブレーキパッド|パッド]]面積前52.5cm5 cm<sup>2</sup>、後40cm40 cm<sup>2</sup>。[[オルタネーター]]490W490 W
 
[[暖房]][[カーヒーター#ヒートエクスチェンジャー|ヒートエクスチェンジャー]]に加え、補助的に[[燃料タンク (自動車)|メインタンク]][[ガソリン]]利用燃料と電気的に点火するエーバーシュペッヘル製[[カーヒーター#燃焼式ヒーター|燃焼式ヒーター]]を標準採用した。
 
[[1967年]]の[[フランクフルトモーターショー]]で[[タルガトップ|タルガ]]モデルが発表された。
 
* '''911''' - エンジンは[[圧縮比]]9.0で130PS(96kW130 [[馬力|PS]](96 kW128hp)128 hp)/6,100rpm100 [[rpm (単位)|rpm]]、17.8kgm8 kgm/4,200rpm200 rpmの901/01型が搭載されていた。プロトタイプは高度な腕を持つ[[職人]]が個々に作っていたので問題が起こらなかったが、[[大量生産]]を始めるとフロント[[ホイール・アラインメント#キャンバー角|キャンバー]]4[[分 (角度)|分]]、リアキャンバー1[[度 (角度)|度]]6分、フロント[[ホイール・アラインメント#|トーイン]]15から20分、リアトーイン0から - 2分、[[ホイール・アラインメント#キャスター角|キャスター]]7度45分。<ref>初期の説明書による</ref>という厳しいサスペンション調整に関する[[公差]]を守れず、初期の製品は非常にハンドリングが神経質となったため、11kg11 kgも[[鋳鉄]]の[[重し|]]2つが「[[バンパー]]補強材」の名目でフロントバンパー両側に取り付けられた。初期型に搭載されていたソレックス製キャブレターでは2,500 - 3,000rpm000 rpmの領域でパワーが出ず、ソレックスの工場に員が派遣されたが効果は上がらず、[[1966年]]2月から元々[[ランチア・フラミニア]][[V型6気筒|V6]]用に開発された[[ウェーバー (企業)|ウェーバー]]401IDA3C/40IDA3C1に変更され、これによりエンジン形式名が901/05型エンジンとなった。'''911S'''に先行して採用されていた新型のヒートエクスチェンジャーが1966年11月に採用され暖房の効きが改善されると同時に、[[バルブオーバーラップ]]を小さくした901/06型エンジンとなった。
* '''911S'''([[1966年]]7月25日発表、[[1967年]]発売) - Sはスポーツを意味する。軽合金[[鍛造]][[ピストン]]採用、バルブ大径化とオーバーラップ引き上げ、ポート大径化、圧縮比9.8で160PS(118kW160 PS(118 kW158hp)158 hp)/6,600rpm600 rpm、18.2kgm2 kgm/5,200rpm200 rpmの901/02型エンジンを搭載し、リアトレッドを拡大されたモデル。[[トランスミッション]]は5速のみ高くし911用を流用している。新型のヒートエクスチェンジャーが使用され、暖房の効きが改善された。ブレーキは通風式となった。
 
 
 
[[File:"""(Porsche Carrera) pic.aa.jpg|thumb|]]
=== Aシリーズ ===
[[1967年]]8月から[[1968年]]7月まで生産された。リムホイールが5.5J15に変更された。[[セミオートマチックトランスミッション]]であるスポルトマチック905型<ref group="注釈">トルク比2.0</ref>のオプション設定がされた。スポルトマチック搭載車はエンジン形式が別になっているが、装着に必要なアタッチメントラグを持つ以外の差はない。ブレーキが2系統に増えた。エーバーシュペッヘル製ヒーターはオプションになった。
* '''911L'''([[1968年]]発売) - それまでの'''911'''を改称し、Oシリーズの'''911S'''に続いてブレーキが通風式になった。引き続き901/06型エンジン、スポルトマチック車は901/07型エンジン。アメリカ仕様<ref group="注釈">スロットルを閉じた時[[エキゾーストマニホールド|排気マニフォールド]]に空気を吹き込む[[Vベルト]]駆動の二次エアポンプが追加されている。</ref>901/14、アメリカ仕様スポルトマチック車901/17。
* '''911T'''([[1968年]]発売) - Tはツーリングを意味する。圧縮比8.6で110PS110 PS/5,800rpm800 rpm、16.0kgm0 kgm/4,200rpm200 rpmにデチューンされた901/03型エンジンを搭載し[[ポルシェ・912]]の後継として発売された廉価版。鋳鉄に[[クロム]][[めっき|メッキ]]を施した旧式のクローマルシリンダー、ピストンはアルミ[[ダイキャスト]][[クランクシャフト]]は一般の911の鍛造から鋳造に変更されるとともにカウンターウェイトを省略されるなど各所でコストダウンされているが、これらのコストダウンは[[レーシングカー|レース車輛]]への改造を念頭に、すなわちレース車輛でさらに高価なパーツに交換しなければならない、もしくは改造されることが多い箇所に限定されており、レースでもそのまま使用する[[シリンダーヘッド]][[ポペットバルブ|吸排気バルブ]]やキャブレターは、低出力エンジンであるにもかかわらず全く'''911S'''と同一である。すなわち、[[モータースポーツ]]用ベース車輛とするための素材とも取れる構成である。[[1968年]]セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチックの設定がされ、スポルトマチック車は901/13型エンジン、ブレーキが通風式となった。
* '''911S''' - エンジンはOシリーズと同一。スポルトマチック車は901/08型エンジン。
* '''911R'''([[1967年]]限定発売) - レース、[[ラリー]]用特殊モデル。デュアル[[イグニッションコイル|イグニッション]]、特殊軽合金製[[シリンダーブロック]]の採用、圧縮比10.3、バルブの大径化と開閉タイミング変更と大型化、ウェーバー46IDAキャブレター採用等[[ポルシェ・906]]とほぼ同等のチューニングを受け210PS、210 PS/8,000rpm000 rpm21kgm21 kgm/6,000rpm000 rpmを発生する901/22型<ref group="注釈">906の901/20型は[[クランクケース]]が[[マグネシウム合金]]製であるがこれは[[アルミニウム合金|アルミ合金]]製である点が異なる。</ref>エンジンを搭載した。ボディーはフロントフェンダー、前後リッド、バンパーが[[繊維強化プラスチック|グラスファイバー]]置換、窓が[[アクリル]]板それぞれ置換、内装簡素化など非常され、車両重量は800 kgと大幅にに軽量化され800kg。先行試作3台と量産20台、計23台が生産された。量産型は製造をカール・バウアが担当し、窓が薄く軽量化されているなど細部が異なる。また量産型のうち数台は[[ワークス・チーム|ワークス]]に残ってレースに参戦した。1967年に[[ムジェロ・サーキット]]で行なわれた330マイルレースで3位入賞、スポルトマチック搭載車がマラトン・ド・ラ・ルート(マラソン・デ・ラ・ルート)で総合優勝、1968年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、1969年ツール・ド・フランスで総合優勝、DOHCの916型エンジン搭載車が[[ツール・ド・コルシカラリース]]で優勝。1967年[[モンツァ・サーキット]]で本来出場予定だった[[ポルシェ・906|906]]の代役で[[自動車の速度記録|スピード世界記録]]に挑戦、この際持ち込まれたエンジンが挑戦開始直前に100時間耐久ベンチテストを済ませ点検のために降ろされていたエンジンで、本来記録挑戦に使えるようなものではなかったが手違いで持ち込まれたことが判明し時間がなかったためそのまま使用され、[[トヨタ・2000GT]]が持っていた記録を大幅に更新、連続走行15,000km000 km、10,000 マイル、20,000km000 km、72時間、90時間の世界新記録と14の2,000cc000 ccクラス国際新記録を達成した。
{| class="wikitable" style=font-size:small
|+ スピード・トライアル記録
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|-
! style="text-align:right" | 3時間
| style="text-align:right" | 226.69km69 km/h
|-
! style="text-align:right" | 6時間
| style="text-align:right" | 225.26km26 km/h
|-
! style="text-align:right" | 12時間
| style="text-align:right" | 214.56km56 km/h
|-
! style="text-align:right" | 24時間
| style="text-align:right" | 212.31km31 km/h
|-
! style="text-align:right" | 48時間
| style="text-align:right" | 210.14km14 km/h
|-
! style="text-align:right" | 72時間
| style="text-align:right" | 209.95km95 km/h
|-
! style="text-align:right" | 96時間
| style="text-align:right" | 209.23km23 km/h
|-
! style="text-align:right" | 1,000マイル
| style="text-align:right" | 225.63km63 km/h
|-
! style="text-align:right" | 2,000マイル
| style="text-align:right" | 211.54km54 km/h
|-
! style="text-align:right" | 5,000マイル
| style="text-align:right" | 212.24km24 km/h
|-
! style="text-align:right" | 10,000マイル
| style="text-align:right" | 210.29km29 km/h
|-
! style="text-align:right" | 1,000km000 km
| style="text-align:right" | 226.25km25 km/h
|-
! style="text-align:right" | 2,000km000 km
| style="text-align:right" | 217.00km00 km/h
|-
! style="text-align:right" | 5,000km000 km
| style="text-align:right" | 212.25km25 km/h
|-
! style="text-align:right" | 10,000km000 km
| style="text-align:right" | 210.22km22 km/h
|-
! style="text-align:right" | 15,000km000 km
| style="text-align:right" | 210.02km02 km/h
|}
 
=== Bシリーズ ===
1968年8月から[[1969年]]7月まで生産された。ホイールベースが2,271mm271 mmに延長されるなどで操縦性が大幅に改善され、[[ポール・フレール]]は「ポルシェの中古車を買おうとしている人々に、それ以前の車は考えない方がいいとわたしは助言してきた」と書いている。185/70VR15タイヤと6J15inホイールを納めるためにホイールアーチがつくようになり、これ以降「ナロー」の俗称を使わないもいる。'''911E'''と'''911S'''の燃料供給が[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]製6プランジャー[[燃料噴射装置#機械式|メカニカルインジェクション]]に変更され出力が向上するとともに[[燃費]]が改善され、また点火が容量放電となって[[渋滞]]時のプラグ汚損が軽減された。リアウィンドーに熱線が入り、[[オルタネーター]]770W770 Wに大容量化されている。[[カーエアコン|エアコン]]がオプション設定された。
* '''911T''' - クランクケースがマグネシウム圧力鋳造に変更されることで10kg10 kg軽量化された。ブレーキのパッド面積は前52.5cm5 cm<sup>2</sup>、後52.5cm5 cm<sup>2</sup>。
* '''911E'''([[1969年]]発売) - '''911L'''からの改名。圧縮比9.1で140PS140 PS/6,600rpm600 rpm、17.8kgm8 kgm/4,500rpm500 rpmの901/09型エンジン、スポルトマチック901/11型エンジン。
* '''911S''' - 170PS170 PS/6,800rpm800 rpm、18.5kgm5 kgm/5,500rpm500 rpmの901/10型エンジン。[[オイルクーラー]]が新設された。ブレーキはアルミニウム製となりパッド面積は前78cm78 cm<sup>2</sup>、後52.5cm5 cm<sup>2</sup>、ライニング13mm13 mm厚。
 
=== Cシリーズ ===
1969年8月から生産された。内径φ84mm×φ84 mm×行程66mm66 mmに拡大し排気量2,195cc195 cc。マニュアルトランスミッションのケースがアルミニウム[[ダイキャスト]]製に強化された911型となりクラッチはφ225mmφ225 mmに大径化された。マニュアルトランスミッションケースは後マグネシウム合金製に変更された。
* '''911T/2.2''' - 125PS125 PS/5,800rpm800 rpm、18.0kgm0 kgm/4,200rpm200 rpmの911/03型エンジンに置換変更した。スポルトマチック装備は911/06型、US仕様は911/07型、US仕様スポルトマチック装備は911/08型エンジン。キャブレターがソレックス製から[[ゼニス・ストロンバーグ]]製に置換された<ref name="museum-76">『ポルシェ博物館/松田コレクション資料』p.76。</ref>。マニュアルトランスミッションは4速が標準でオプションで5速も選択できた。マニュアルトランスミッション車のブレーキが通風式となりこれで全車種通風式となった。容量放電が'''911T'''にも採用され、全車種容量放電点火となった。
* '''911E/2.2''' - マニュアルトランスミッションは5速が標準。155PS155 PS/6,200rpm200 rpm、19.5kgm5 kgm/4,500rpm500 rpmの911/01型、スポルトマチックは911/04型エンジン。自動車高調整機能付きハイドロニューマチックストラットを装備している<ref name="museum-76"/><。
* '''911S/2.2''' - 180PS180 PS/6,500rpm500 rpm、20.3kgm3 kgm/5,200rpm200 rpmの911/02型エンジン。マニュアルトランスミッションは5速のみでスポルトマチックは用意されなかった。
 
=== Dシリーズ ===
1971年7月まで生産された。
* '''911T''' -
* '''911E''' -
* '''911S''' -
 
=== Eシリーズ ===
1971年8月から生産された。内径φ84×行程φ70.4mmで排気量2,341cc341 ccに拡大された。マニュアルトランスミッションレース用の916型をベースとし軸間距離 77mmに拡大されたマグネシウムダイキャスト製5速915型または4速915型に変更された。クラッチがφ225mmφ225 mmに拡大された。オプションのスポルトマチック強化されつつトルク比2.2に変更された4速925型または3速925/10型に変更された。エンジンオイルタンクが右後輪の前に移動された。
* '''911T/2.4''' - 130PS130 PS/5,600rpm600 rpm20kgm20 kgm/4,000rpm000 rpmの911/57型エンジン、スポルトマチックは911/67型エンジン。ヨーロッパ仕様のゼニス製キャブレターのままではアメリカの排気ガス規制にできず、アメリカ仕様は'''911E/2.4'''や'''911S/2.4'''と共通の6プランジャー(機械式)燃料噴射ポンプを採用し140PS、140 PS/5,600rpm600 rpm20kgm20 kgm/4,000rpm000 rpmの911/51型エンジン、スポルトマチックは911/61型エンジンとなった。アメリカの排ガス規制が厳しくなり、1973年1月より[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]の[[ジェトロニック|Kジェトロニック]]に変更され圧縮比8.0で140PS140 PS/5,700rpm700 rpm、20.5kgm5 kgm/4,000rpm000 rpmの911/91エンジン、スポルトマチックは911/96型エンジンに置換された。
* '''911E/2.4''' - 165PS165 PS/6,200rpm200 rpm21kgm21 kgm/4,000rpm000 rpmの911/52型、スポルトマチックは911/62型エンジン。
* '''911S/2.4''' - 190PS190 PS/6,500rpm500 rpm22kgm22 kgm/4,000rpm000 rpmの911/53型、スポルトマチックは911/63型エンジン。
 
=== Fシリーズ ===
1973年7月まで生産された。コストと使い勝手の面からエンジンオイルタンクが右後輪後部に戻された。
* '''911T/2.4''' -
* '''911E/2.4''' -
* '''911S/2.4''' -
* '''911カレラRS2.7'''([[1973年]]限定生産) ? [[国際自動車連盟#車両規定|グループ4]][[ホモロゲーション]]を取得するため'''911S/2.4'''をベースに当初500台が[[限定販売]]されたもので、ボディを軽量化し、内径φ90mm×φ90 mm×行程70.4mm4 mm、圧縮比8.5で、2,687cc687 cc210PS210 PS/6,300rpm300 rpm26kgm26 kgm/5,600rpm600 rpmの911/83型エンジンを搭載した。ツーリング、スポーツ、レーシングの3グレードがあり、スポーツグレードの重量は960kg960 kg。当初の生産台数はすぐに売り切り、1,000台以上が追加生産されたためグループ3のホモロゲーションも得た。日本に正規輸入されたのはスポーツグレードのみで14台。「73カレラ」と俗称され名車として現在まで語り継がれている。トランスミッションは5速915型のみ。[[ポルシェ・917|917]]からフィードバックされた技術でアルミニウムシリンダーの摺動面にニッケルとシリコンの化合物を付着させた「ニカシル」[[めっき]]シリンダーにより、ボアピッチを広げること無くこの大きな内径を実現している。ホイールはフロント6J15、リア7J15。タイヤはフロント185/70VR15、リア215/60VR15。
 
=== Gシリーズ ===
1973年8月から1974年7月まで生産された。外観が、米国の連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard, FMVSS) のバンパー強度規定Std215に従った[[バンパー#5マイルバンパー|5マイルバンパー]]の装着により一新された。以降930型が製造中止になる1989年まで「ビッグバンパー」と俗称されたが、ノンターボモデルは901型のまましばらく生産された。
エンジンは、内径φ90mm×φ90 mm×行程70.4mm4 mmの2,681cc681 ccに拡大された。ニカシルシリンダーで後アルシルシリンダーに変更された。リアサスペンションアームがアルミニウム鋳物製となった。
* '''911/2.7''' - カムシャフトが新型の911/97型に変更された911/92型エンジン、スポルトマチックが911/97型エンジン。
* '''911S/2.7''' - カムシャフトが新型の911/98型に変更された911/93型エンジン、スポルトマチックは911/98型エンジン。
* '''911SC/2.7''' -
* '''911カレラRS3.0'''([[1975年]]限定発売) ? 109台生産され、うち50台以上が'''カレラRSR'''に改造された。内径φ95mm×φ95 mm×行程70.4mm4 mm、圧縮比10.3の2,994cc994 cc230PS230 PS/6,200rpm200 rpm、28.0kgm0 kgm/5,000rpm000 rpmの911/77型エンジン。燃料供給は[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]メカニカルインジェクション。トランスミッションは5速915型のみ。ブレーキは[[ポルシェ・917]]から流用したアルミニウム製。ボディ重量は900kg900 kg
* '''カレラRSR'''([[1975年]]限定発売) - '''911カレラRS2.7'''をレース用に改造したもので排気量2,806cc806 cc300PS300 PS/8,000rpm000 rpm、30.0kgm0 kgm/6,500rpm500 rpmの911/72型エンジン<!-- デュアルイグニッションを備え330PS/8,000rpm、32.0kgm/6,500rpmの911/75型エンジン(ポルシェ博物館の資料P60)、または315PSの911/74型エンジン -->を搭載している。ブレーキは[[ポルシェ・917|917]]から流用しカムシャフトは[[ポルシェ・906|906]]から流用している。ボディ重量は900kg900 kg。1975年には、排気量2,994cc994 cc、出力が345PS345 PSまで向上している。
 
=== Hシリーズ ===
1974年8月から1975年7月まで生産された。オルタネーターが980W980 Wに大容量化され、ヒートエクスチェンジャーが改良され、オプションだったエーバーシュペッヘル製ヒーターは廃止された。[[自動車排出ガス規制|排出ガス対策]]の影響でポルシェ史上初めてアメリカ市場向けのエンジンの公称性能を他の市場向けより低く称した。
* '''911/2.7''' - [[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]Kジェトロニックで150PS150 PS/5,700rpm700 rpm24kgm24 kgm/3,800rpm800 rpmの911/41型エンジン、スポルトマチックは911/46型エンジン。アメリカには輸出されなかった。
* '''911S/2.7''' - ボッシュKジェトロニックで175PS175 PS/5,800rpm800 rpm24kgm24 kgm/4,000rpm000 rpmの911/42型エンジン、スポルトマチックは911/47型エンジン。アメリカ市場向けは165PS165 PS23kgm23 kgmの911/43型エンジン、スポルトマチックは911/48型エンジン。[[カリフォルニア州|カリフォルニア]]向けは[[排気再循環|EGR]]を装着し160PS160 PS、22.4kgm4 kgmの911/44型エンジン、スポルトマチックは911/49型エンジン。
* '''911SC/2.7''' - 機械インジェクションで210PS210 PS
 
=== Iシリーズ ===
1975年8月から生産された。ブレーキのパッド面積は前78cm78 cm<sup>2</sup>、後52.5cm5 cm<sup>2</sup>。自動低温始動装置[[チョーク弁#オートチョーク式|オートチョーク]]を装備した。給油ポンプが大型化され、冷却ファンが5枚羽根に強化された。Hシリーズ'''911/2.7'''に相当するグレードは廃止され、Hシリーズ'''911S/2.7'''に相当する'''911/2.7'''と'''911SC/2.7'''に相当する'''911カレラ3.0'''のみとなった。[[1976年]]から全車種500℃の[[溶融亜鉛めっき]]槽にドブ漬け<ref name="porsche911story-146">『ポルシェ911ストーリー』p.146。</ref><ref group="注釈">[[電気メッキめっき]]ではなく、500 ℃の[[亜鉛]]槽にドブ漬けする方法。</ref>で防錆処理されたティッセン(現[[ティッセンクルップ]])製鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。サイドミラーの角度調整が電動式となった。
* '''911/2.7''' - Hシリーズの'''911S/2.7'''に搭載されていたエンジンを搭載した。
* '''911カレラ3.0''' - 内径φ95mm×φ95 mm×行程70.4mm4 mmの2,994cc994 cc。オプションで前が7J15inホイールに205/50VR15タイヤでトレッド1,398mm398 mm、後が8J15inホイールに225/50VR15タイヤでトレッド1,405mm405 mm
* '''911リミテッド'''([[1976年]]限定発売) - [[フェルディナント・ポルシェ]]生誕100周年<ref>ポルシェ博物館資料p.108。</ref>を記念し500台限定。一般の911より70万円も高価であったが日本でも50台が販売された。外部塗装は、ダイヤモンドシルバーメタリック。薄く色が入ったアロイホイール、布ばりシート、パワーウィンドー、フロント色ガラスが特別仕様。
 
=== Kシリーズ ===
1977年7月まで生産された。
* '''911/2.7'''
* '''911カレラ3.0''' - オプションで前が7J16inホイールに205/55VR16タイヤでトレッド1,438mm438 mm、後が8J16inホイールに225/50VR16タイヤでトレッド1,511mm51 1mm
 
=== Lシリーズ ===
1977年8月から生産された。180PS180 PS/5,800rpm800 rpm25kgm25 kgm/4,000rpm000 rpmのエンジン。
 
== 930型 ==
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| 販売期間=1974年 - 1989年
| ボディタイプ=2ドア クーペ
| エンジン=空冷 [[水平対向6気筒|F6]] [[SOHC]] 2,994cc994 cc
| トランスミッション=5速[[マニュアルトランスミッション|MT]]
| サスペンション= 前 マクファーソンストラット+トーションバー<br />後 トレーリングAアーム+トーションバー
| 駆動方式=RR
| 全長=4300mm4,300 mm
| 全幅=1650mm1,650 mm
| 全高=1350mm1,350 mm
| ホイールベース=
| 車両重量=
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当初より米国の連邦自動車安全基準 (''Federal Motor Vehicle Safety Standard'', '''FMVSS''') のバンパー強度規定Std215に従った5マイルバンパーが装着された。930型は本来[[ターボチャージャー|ターボ]]モデルを指すものであり、「ビッグバンパー」であっても[[自然吸気|NA]]モデルは[[1977年]]モデルまで901型のままである。[[1978年]]には[[自然吸気|NA]]モデルも930型となった。
 
ボディの種類はクーペと脱着式のルーフをもつ[[タルガトップ|タルガ]]の2種類。トランスミッションは当初915型と呼ばれるポルシェ内製トランスミッション(ポルシェ[[シンクロメッシュ#サーボ型|シンクロ]])を採用した。
 
=== Hシリーズ ===
* '''911ターボ'''([[1975年]]発売、[[1976年]]日本発売) - 1973年[[フランクフルトモーターショー]]で「911ターボ」試作車が展示され、280PS280 PSで最高速度280km280 km/hとアナウンスされていた。1974年[[モンディアル・ド・ロトモビル|パリサロン]]に「930ターボ」試作車が展示された。生産車は内径φ95mm×φ95 mm×行程70.4mm4 mmで2,994cc994 cc、圧縮比6.5の930/50型エンジンを搭載、[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]KEジェトロニックとブースト圧0.8気圧のKKKKKK([[:de:Kühnle, Kopp & Kausch|ドイツ語版]]、現[[ボルグワーナー]])[[ターボチャージャー]]260PS260 PS/5,500rpm500 rpm、35.0kgm0 kgm/4,500rpm500 rpm。日本仕様は[[自動車排出ガス規制|昭和50年(1975年)規制]]に適合するため等で245PS245 PS/5,500rpm500 rpm、35.0kgm0 kgm/4,000rpm000 rpm<ref>『外国車ガイドブック1977』p.144。</ref>。大パワーに対応するタイヤを納めるべく[[フェンダー (自動車)|フェンダー]]を備え全幅は1,775mm775 mmまで拡げられた。1978年モデルからはカタログ上の名称は1978年が、「ターボ」、1979(1978)、「930ターボ」、1980(1979)、「911ターボ」(1980年)と変遷しているが、特別大きな変更はない。豪華な内装をもつ高性能スポーツカーとして高価格ながら販売は好調であった。トランスミッションは当初4速[[マニュアルトランスミッション|MT]]930型であり、ポルシェは「ありあまるパワーには4速で充分」と説明したが、「ポルシェシンクロトランスミッションの許容量がターボの[[トルク]]とパワーに耐え切れずやむなく4速にした」というのが通説。クラッチ径はφ240mmφ240 mm
 
=== Iシリーズ ===
1975年8月から生産された。サイドミラーが電動式となった。[[1976年]]から全車種摂氏500度の[[溶融亜鉛めっき]]槽にドブ漬け<ref name="porsche911story-146"/><ref group="注釈">電気メッキではなく、摂氏500度の[[亜鉛]]槽にドブ漬けする方法。</ref>で防錆処理された鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。
* '''911ターボ'''
 
=== Kシリーズ ===
1977年7月まで生産された。
* '''911ターボ''' - 前が7J16inホイールに205/55VR16タイヤでトレッド1,438mm438 mm、後が8J16inホイールに225/50VR16タイヤでトレッド1,511mm511 mm
 
=== Lシリーズ ===
1977年8月から生産された。
* '''911ターボ''' - 内径φ97mm×φ97 mm×行程74.4mm4 mm、排気量3,299cc299 ccに拡大され圧縮比7.0で300PS300 PS/5,500rpm500 rpm、42.0kgm0 kgm/4,000rpm000 rpm。新たに空冷式[[インタークーラー]]を装備した。エンジン取り付け位置が30mm30 mm後退し、これに伴いリアタイヤの指定空気圧が上げられた<ref>ポルシェ博物館資料p.80。</ref>。アメリカ向けと日本向けは[[二次空導入装置#サーマルリアクター|サーマルリアクター]]と低[[オクタン価|オクタン]]ガソリン対応のため265PS265 PSに抑えられている。
 
=== 1978年モデル ===
901型のままだったノンターボ車が930型に移行した。この年[[新潟県警察]]に[[パトロールカー]]として配備され、その後20年近く活躍したことが知られている。
* '''911SC'''([[1978年]]発売) - 従来の'''911S'''に当たる。内径φ95mm×φ95 mm×行程70.4mm4 mmの2,994cc994 cc、930/17型エンジン。[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]のKジェトロニック、圧縮比8.5、180PS180 PS/5,500rpm500 rpm、27.0kgm0 kgm/4,000rpm000 rpm
* '''911SCS'''([[1978年]]発売) - 従来の'''911カレラ'''に当たる。
* '''911ターボ'''
 
=== 1979年モデル ===
* '''911SC'''
* '''911ターボ'''
 
=== 1980年モデル ===
* '''911SC'''
* '''911ターボ'''
 
=== 1981年モデル ===
日本でターボモデルの輸入が一時途絶えた。
* '''911SC'''
 
=== 1982年モデル ===
* '''911SC'''
 
=== 1983年モデル ===
[[ポルシェ・356]]で人気のあった[[オープンカー|オープンモデル]]であるカブリオレが復活した。
* '''911SC'''
 
=== 1984年モデル ===
[[1984年]][[フランクフルトモーターショー]]で「カレラ」の名称が復活した。
* '''911カレラ''' - 内径φ95mm×φ95 mm×行程74.4mm4 mm、圧縮比10.3、排気量3,164cc164 ccエンジン。225PS225 PS/5,900rpm900 rpm、27.3kgm3 kgm/4,800rpm800 rpm。フラップ式[[エアフロメーター]]の[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]Lジェトロニックを採用した。馬力も1973年の'''カレラRS'''を超えたことから、かつてレーシングモデルにのみ与えられていたカレラの名称は以降ノンターボモデルの名称として使用されるようになった。
 
=== 1985年モデル ===
フロアパンとバルクヘッドの板厚が0.75mm75 mmから1mm1 mmにアップし、剛性が向上した。ターボの日本輸入が再開された<ref>「昨年から再輸入されるようになった」『外国車ガイドブック1986』p.136。</ref>。
* '''911カレラ'''
* '''911ターボ'''
 
=== 1986年モデル ===
* '''911カレラ'''
* '''911ターボ''' - [[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]Kジェトロニック。ターボはKKK製。内径φ97mm×φ97 mm×行程74.0mm0 mm、3,287cc287 cc288PS288 PS/5,300rpm300 rpm、38.9kgm9 kgm/4,250rpm250 rpm<ref>『外国車ガイドブック1986』p.208。</ref>。
 
=== 1987年モデル ===
ノンターボモデルのトランスミッションが[[ボルグワーナー]]式の[[ゲトラグ]]製G50型を採用した。
* '''911カレラ'''
* '''911ターボ'''
 
=== 1988年モデル ===
コンロッドボルトが強化され、ブレーキパッドがアスベストフリーとなった。
* '''911カレラ'''
* '''911ターボ''' - ボディーバリエーションとしてタルガトップ<ref>『外国車ガイドブック1988』p.142。</ref>。とカブリオレ<ref>『外国車ガイドブック1988』p.143。</ref>を選択できるようになった。
* '''911ターボ・フラットノーズ'''([[1988年]]限定発売) - リトラクタブルライトとすることで空力を改善し、330PS330 PSエンジンを搭載したモデル。
 
=== 1989年モデル ===
* '''911カレラ'''
* '''911ターボ''' - トランスミッションが5速のゲトラグ製に変更されている。
* '''911ターボS'''([[1989年]]限定発売) - 330PS330 PSエンジンを搭載し足回りも強化され少数製造された。
 
== 964型 ==
1989年に964型に移行した。ボディー構造が一般的なモノコックとなり、サスペンションのばねが[[トーションバースプリング]]からコイルスプリングに変更された。外観は930型に似ているが、80 %が新規部品である。また四輪駆動のカレラ4が設定された。
{{main|ポルシェ・964}}
 
== 993型 ==
1993年に993型に移行した。次の996型のエンジンが[[水冷エンジン|水冷]]だったため、911としては最後の[[空冷エンジン|空冷]]モデルとなった。
{{main|ポルシェ・993}}
 
== 996型 ==
1997年に996型に移行した。トレードマークの一つとされて来た空冷エンジンが水冷エンジンとなり[[シャシ (自動車)|シャシ]]も一新された。
{{main|ポルシェ・996}}
 
== 997型 ==
2004年に997型に移行した。996型で不評だった涙滴型[[前照灯|ヘッドライトンプ]]が廃止となり、往年の丸型ヘッドライトンプが復活した。シャシーは996ベース。前期型は996ベースのエンジンを使用し、後期型より[[ガソリン直噴エンジン|直噴]]式新型エンジンに変更され[[ポルシェ・ドッペルクップルング|PDK]]が導入された。
{{main|ポルシェ・997}}
 
== 991型 ==
2011年に991型に移行した。最大の特徴は車体に軽量金属を使用した軽量[[シャシ (自動車)|シャシ]]である。エンジンは997後期型を改良。2016年モデルから、カレラシリーズは全車ターボ化された
{{main|ポルシェ・991}}
 
== インターミディエイトシャフトの破損について ==
996型と997前期型に搭載された水冷エンジンでは[[タイミングチェーン]]がエンジンの左右バンクで前後に分かれて配置されている<ref name="box987">『ボクスター/ケイマン最強メンテナンス』</ref>。そのため[[クランクシャフト]]から[[カムシャフト]]へ動きを伝達するインターミディエイトシャフトの長さが延長されてクランクケース前後を貫通している(空冷時代の基本構造を受け継いだクランクケースを継続使用するターボおよびGT2、GT3を除く)<ref name="box987"/>。このインターミディエイトシャフトの不具合がブログ、掲示板、日本[[国土交通省]]の自動車不具合情報ホットラインなどで報告されている。ポルシェ本社は本不具合に対する公式見解を発表していないが、利用者からの情報を総合すると不具合は996型および997前期型で発生している。997前期型の2006年と2007年モデルで応急的な対策([[ボルト (部品)|ボルト]]などの改良)がなされたが、当該年式においても依然としてインターミディエイトシャフトの不具合は散見される。本不具合は車両走行エンジン稼働中に[[応力]]のかかるインターミディエイトシャフト(のボルトおよび[[軸受|ベアリング]]の経年変化によって[[劣化]]した部分)に[[負荷]]が集中した結果、突然耐え切れず破損してしまうものである<ref name="box987"/>。この破損によりインターミディエイトシャフトを通して制御されていたカムシャフトが暴走し、車は[[エンジンブロー]]によって動作不可能となる。復旧にはエンジンの交換が必要である。2012年10月より、本件に関してポルシェジャパンによるサービスキャンペーン([[リコール (自動車)|リコール]]とは異なる)が実施され、該当車(2001年5月4日から2005年2月21日製造分)は無償で点検、必要に応じ修理されることになった。なお、直噴エンジンに換装された997後期モデルからはインターミディエイトシャフトそのものが存在しないため、本不具合とは無縁である<ref>『ポルシェ911のすべて』</ref>。
 
== 注釈 ==