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TCC00313 (会話 | 投稿記録)
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==== 未成熟子扶養義務の位置づけ ====
既に[[#未成熟子扶養義務]]の項で述べたように、条文の字義という観点から、親族間扶養義務の中に未成熟子扶養義務が含まれているとする見解が大勢である<ref name="fukaya" /><ref name="nishihara" /><ref name="nomi" />。そして、この未成熟子扶養義務が、[[日本国憲法第25条]]で保障されている扶養権利者の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は勿論、[[日本国憲法第26条]]で保障されている扶養権利者の「法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利」(同条第1項)、および、これらに対応した扶養義務者の「法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務」(同条第2項)に立脚し、かつ、含んでいることが以下のような判例などにより確立されている。
 
*「4年制大学に進学し、成人に達した子に対する親からの学費等の扶養の要否は、当該子の学業継続に関する諸般の事情を考慮した上で判断するべきであって、当該子が成人に達しかつ健康であることをもって直ちに当該子が要扶養状態にないと判断することは相当でない」との判例([[2000年]](平成12年)[[12月5日]] 東京高裁決定。判例タイムズ臨増1096号94頁。家裁月報53巻5号187頁。「扶養申立却下審判に対する抗告事件---取消、差戻」)<ref name="kame1" />。
 
*「抗告人は、親が財産がないのに、子が大学に入学して、親に扶養料を払えというのは不当であると主張するが、子が大学に入学することの可否は、子を本位とし、その才能や福祉を中心として定めるべく、また、その場合、子の教育費を親が支払うべきか否かは、親の扶養能力の有無によつて決すべきことであつて、親の扶養の能否によつて子の進学の可否を決すべきものではない。」との判例([[1960年]](昭和35年)9月15日 東京高裁決定。家裁月報13巻9号53頁。「扶養請求事件の審判に対する即時抗告事件」)<ref name="kame1" />。
 
なお、未成熟子の高等教育の学費については、生活保持義務の範囲を超えるもので、生活援助ではなく生計の資本の贈与とみるべきであるとする説もある<ref>於保不二雄・中川淳編著 『新版 注釈民法〈25〉親族 5』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1994年4月、741頁</ref>。