「オウムガイ」の版間の差分

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=== 殻 ===
オウムガイの殻は、[[巻き貝]]のそれによく似て見えるが、内部の構造は大きく異なる。巻き貝の殻は、奥までが一続きでほとんど奥まで肉が入っているのに対し、オウムガイの殻の内部には規則正しく仕切りが作られ、細かく部屋に分けられている。もっとも出口に近い部屋が広く、ここに体が収まり、それより奥は空洞である。<br>
 
この空洞の部分にはガスと液体が入っており、浮力をそこから得ている。このガスと液体の容積の比率を調節することによって自分自身の全体としての比重を変化させて浮力の調整をしている。<Br>
この空洞の部分にはガスと液体が入っており、浮力をそこから得ている。このガスと液体の容積の比率を調節することによって自分自身の全体としての比重を変化させて浮力の調整をしている。ガスと液体の容積の調整は弁のような機構的な構造によるものではなく液体の塩分濃度を変化させることによる浸透圧の変化によって水分を隔壁内外へ移動させる事で行う。そのために海水中での深度調整の速度は他の海洋生物に比べると遅い。<br>
 
死んで肉が無くなると殻が持つ浮力のために浮かびやすく、[[海流]]に乗って長距離を流される事もあり、[[日本]]沿岸にもよくその殻が漂着する。
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殻の形態や構造は[[中生代]]の[[アンモナイト]]にも似ているが、むしろそれより古く、[[古生代]]の[[チョッカクガイ]]などと共通の祖先を持つ([[アンモナイト]]はイカやタコに近縁とされる)。チョッカクガイの化石は[[示準化石]]に指定されているが、現生のオウムガイと違い、殻は槍の先のように真っ直ぐに伸びていた。因みに、オウムガイがチョッカクガイの直系の子孫にあたるという説もあったが、現在では否定されている。
 
現在オウムガイの仲間として確認されている種はオウムガイ、パラオオウムガイ、ヒロベソオウムガイ、コベソオウムガイ、オオベソオウムガイ等である。基本的に、名前の呼び方はオウムガイだが、たまに、「オオムガイ」と呼ぶこともある。
基本的に、名前の呼び方はオウムガイだが、たまに、「オオムガイ」と呼ぶこともある。
 
== 名前に関して ==
日本語のオウムガイは、殻を正位置に立てた場合、黒い部分(生息時は、ここに「ずきん」が被っている)が[[オウム]]の[[嘴]]に似ている為にこの名がついたものである。英名は[[ノーチラス]](Nautilus)で、ギリシャ語で水夫、船舶を意味する。
英名は[[ノーチラス]](Nautilus)で、ギリシャ語で水夫、船舶を意味する。
 
ガスの詰まった殻内部の容積を調節して浮き沈みする仕組みは[[潜水艇]]と同様である。そのため、[[ジュール・ヴェルヌ]]は『[[海底二万里]]』に登場する潜水艦にこの名を使い、また現実の多くの潜水艦にもこの名が使われた([[ノーチラス (原子力潜水艦)|アメリカの原子力潜水艦]]など)。