「リュート」の版間の差分

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今日リュートと呼ばれる楽器の構造上の特徴は、ルネサンス期に作られたいわゆる'''ルネサンスリュート'''で代表することができる。それ以後のリュート族の楽器はルネサンスリュートを改良・改造したものであるので、ルネサンスリュートと多くの特徴を共有している。ルネサンスリュートの構造の概要は以下の通りである。
 
材質は通常木製である。ボディーは、「洋梨を半分に切ったような」形状と表現されることが多く、背面が丸く湾曲しているのが特徴。前面は[[ギター|クラシックギター]]と同様に薄い表面板がある。表面板には[[ギター]]のサウンドホールに相当する穴があるが、これはギターのようにただぽっかりと空いているのではなく、通常唐草模様をはじめとする幾何学模様などの図案が表面板をくに透かし彫ぬいてつくられており、これを'''ローズ'''(rose,[[バラ]]の意)あるいは'''ロゼッタ'''(rosetta)と呼ぶ。中世からルネサンス初期のものにはローズが表面板とは別にはめ込まれているものもあり、大型の楽器では複数のローズをもつこともある。背面は'''リブ'''(ribs、[[肋骨]]の意)と呼ばれる両端が細くなった形の湾曲させた木片を並べて組み立てられており、これにより深く丸まった独特の形を形成している。リブは[[バナナ]]の皮をむいたときのような形でもあり、リブの組み立ては地球儀をつくるときの原理と似ている。楽器の強度を高めるために、表面板の裏には力木(bracing)と呼ばれる桟が貼ってあるが、中空になったリブの内面には力木はない。
 
ネックは軽い木で作られるが、弦の下の指板(フィンガーボード)にはエボニー(黒檀)などの耐久性の高い堅い板が付けられている。指板は[[ルネサンス音楽|ルネサンス期]]までは平坦で、以後はカーブのあるものが増える。現代のギターなどとは異なり指板の表面は胴体の表面版と同じ高さである。指板には通常[[ガット]]を巻き付けた[[フレット]]があり、高音域には木製などのフレットが表面板に直接貼り付けられている。ルネサンスリュートはヘッド(ネックの先端にある、ペグを固定する台座)が後部にほとんど直角に折れ曲がっていて、これはおそらくナット(ネック側で弦の振動を止める部分、ネックの折れ曲がる部分に位置する)にテンションの低い弦を密着させるための工夫と思われる。ペグは木製のシンプルなもので、テーパーがかかっており、先端がペグボックスの穴に差しこまれているだけで、[[ギア]]などのほかの[[調律|チューニング]]のための仕組みはない。
 
ナットやブリッジは硬質の木材、時には[[象牙]]や[[骨]]で作られており、ブリッジはギター同様表面板に直接取り付けられている。このような構造のため、リュートは大きさの割には軽い楽器であるといえる。