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eMedicineTopic = arthritis |
MeshID = D001168 |
}}'''関節炎'''(かんせつえん、{{lang-en-short|Arthritis}})は、[[関節]]の[[炎症]]をともなう[[疾病]]の総称。症状には局所症状と全身症状があり、局所症状としては発赤、腫脹、圧痛、こわばり、可動域制限などが知られ、全身症状としては発熱、全身倦怠感、体重減少などが知られている。関節炎と関節周囲炎の区別としては関節炎は他動的に動かしても関節痛が認められ、どの方向に動かしても痛みがあることが特徴とされている。運動時痛とは関節障害を疑う徴候であるが、腱鞘炎の場合、自分で動かすと痛いが他動的に動かすと痛みを感じないとされている。
 
== 代表的疾患 ==
;: [[性感染症|STD]]、腸炎、[[乾癬]]などの既往が重要である。
 
== 関節の診察アプローチ ==
関節痛患者診療は以下の点に留意しながら診療を行う。関節痛に対する9stepアプローチといわれる。
;Step1 診察する場所による有病率の違いを意識する。
一般の診療所、特に整形外科外来で関節痛を訴える患者の割合は[[変形性関節症]]や筋骨格痛などの疾患頻度が高くなる。総合病院のリウマチ膠原病科の外来では[[関節リウマチ]]や自己免疫性疾患が多くなる。夜間の救急外来では感染症など全身疾患の一症状としての関節痛、結晶誘発性関節炎(痛風や偽痛風)、[[化膿性関節炎]]などの頻度が高くなる。急性発症の経過の関節炎では致死率の高い化膿性関節炎も含まれるため注意が必要である。
 
;Step2 関節痛か関節周囲痛か確認をする
関節外の痛みを関節痛と訴える場合もあるので疼痛部位を確認する。関節近くに疼痛部位がある場合は関節痛と関節周囲痛を区別する。関節裂隙での痛み、全ての関節可動域方向での痛みがある場合には、関節痛が示唆される。関節炎は他動的に動かしても関節痛が認められ、どの方向に動かしても痛みがあることが特徴とされている。運動時痛とは関節障害を疑う徴候であるが、[[腱鞘炎]]の場合、自分で動かすと痛いが他動的に動かすと痛みを感じないとされている。自動痛よりも他動痛が大きい場合は関節周囲痛が示唆される。関節痛の場合は非炎症性の関節痛と関節炎を区別する。関節周辺に腫脹、圧痛、熱感、発赤など局所の炎症所見があれば関節炎が疑わしい。大関節の腫脹はわかりにくいことも多く、可動域の制限の方が他覚的に確認しやすい場合がある。関節炎では関節全体に炎症が波及し関節可動域に制限が出る。安静時痛を伴う場合には関節炎を、安静時痛を伴う場合は関節炎を、安静時痛を伴わず活動時もしくは活動後に増悪する場合には非炎症性(変形性関節症など)を鑑別に考慮する。
 
;Step3 頭痛関節数を確認する
単関節痛と多関節痛では想起される鑑別疾患が大きく異なる。1関節の痛みを訴えるのが単関節痛である。2~3関節程度の少関節痛は、多関節痛に移行する前の段階をみている可能性がある。4関節以上の観察痛があった場合は多関節痛として評価する。
 
;Step4 急性と慢性の時間経過を区別する
痛みの持続期間が6週間以内の場合は急性、6週間以上の場合は慢性と評価する。
 
;Step5 年齢と性別から鑑別疾患を想起す。
若年から壮年の男性では痛風、脊椎関節炎、反応性関節炎、淋菌性関節炎が想起される。若年から壮年の女性では[[パルボウイルス]]感染症、関節リウマチ、[[SLE]]が想起される。高齢になると男女を問わず偽通風、変形性関節痛、関節リウマチ、[[リウマチ性多発筋痛症]]、悪性腫瘍関連の頻度が増える。また全年齢を通じて女性の場合は[[甲状腺疾患]]、自己免疫疾患(関節リウマチ、SLE、[[シェーグレン症候群]]、[[全身性強皮症]])、[[サルコイドーシス]]なども想起される。
 
;Step6 疼痛関節の分布から疾患を想起する
上肢では手指のPIP関節/MCP関節/手関節を中心に分布する多関節痛なら関節リウマチ、手指の遠位のDIP関節中心ならば変形性関節症や乾癬性関節炎が想起される。下肢の膝関節中心ならば血清反応陰性脊椎関節炎、結晶誘発性関節炎、変形性関節症、関節リウマチなどが想起される。足趾のMTP関節の単関節炎ならば痛風を考える。また、ある関節が痛くなり、関節痛が軽快するタイミングで別の関節が痛くなる場合、移動性があると表現する。移動性関節炎の場合は反応性関節炎、結晶誘発性関節炎、淋菌性関節炎、[[リウマチ熱]]、[[感染性心内膜炎]]などが想起される。左右非対称性の関節炎の場合は脊椎関節炎(乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、反応性脊椎炎、炎症性腸疾患に関連する関節炎など[[血清反応陰性関節炎]])を想起する。付着部炎(腱や靭帯が骨につく部位の炎症)を伴う場合も脊椎関節炎が想起される。背部痛、腰臀部痛、胸鎖部痛などが腱や靭帯の痛みの好発部位である。またソーセージ様の両手指のむくみも同様に付着部炎の所見である。
 
;Step7 問診での鑑別
問診で特徴ある疾患を想起することができる。
 
症状
{| class="wikitable"
!nowrap|問診項目!!nowrap|鑑別疾患
|-
|腹痛/長期の下痢/血便||炎症性腸疾患
|-
|日光過敏症/頬部後半/精神神経症状||SLE
|-
|ドライマウス/ドライアイ||シェーグレン症候群
|-
|発熱(特に38度以上)||SLE、成人Still病、血管炎、感染性心内膜炎、結晶誘発性関節炎、化膿性関節炎
|-
|繰り返す口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍/陰部潰瘍||ベーチェット病
|-
|炎症性腰痛(45歳までの発症、徐々に出現、3ヶ月以上持続、朝のこわばり、運動により改善)||脊椎関節炎
|-
|レイノー現象||シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、MCTD、強皮症
|}
 
生活歴
{| class="wikitable"
!nowrap|問診項目!!nowrap|鑑別疾患
|-
|アルコール多飲歴/利尿薬内服||痛風
|-
|山登り・屋外作業||リケッチア関連感染症
|-
|出身地(特に九州)||HTLV-1関連関節炎
|-
|性交渉歴||HBV/HCV/淋菌/HIVなどの性感染症
|-
|小児との接触歴||パルボウイルス感染症
|-
|海外渡航歴||デング熱、チクングニア熱、その他渡航感染症
|}
 
;Step8 身体所見での鑑別
身体所見で特徴ある疾患を想起できることがある。
{| class="wikitable"
!nowrap|身体所見!!nowrap|鑑別疾患
|-
|結膜炎||シェーグレン症候群、反応性関節炎
|-
|ぶどう膜炎||ベーチェット病、サルコイドーシス、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎
|-
|側頭動脈の発赤・腫脹||側頭動脈炎
|-
|耳下腺腫脹||シェーグレン症候群
|-
|耳介の発赤||再発性多発軟骨炎
|-
|口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍||ベーチェット病
|-
|口腔内齲歯||シェーグレン症候群、感染性心内膜炎
|-
|乾癬様皮疹||乾癬性関節炎
|-
|慢性遊走性紅斑||ライム病
|-
|筋力低下||筋炎
|-
|結節性紅斑||ベーチェット病、サルコイドーシス、炎症性腸疾患、溶連菌感染症
|-
|ソーセージ指、皮膚硬化||全身性強皮症、MCTD
|-
|ゴットロン徴候||皮膚筋炎
|-
|爪周囲の出血点||全身性強皮症、皮膚筋炎
|-
|眼瞼・舌裏側・手指。足趾の出血点、心雑音||感染性心内膜炎
|-
|ばち指||肥大性肺性骨関節症、肺癌
|-
|外陰部潰瘍||ベーチェット病
|}
 
;Step9 診断のための検査
単関節炎の場合は化膿性関節炎や結晶誘発性関節炎の評価目的の関節穿刺を行う。多関節炎では関節リウマチの疾患頻度が高く、その他の自己免疫疾患のスクリーニングを合わせておこなう。多関節炎の評価のためによく行われる検査ではCRPやESRを含めて一般採血、尿検査(定性、沈渣、g/Cr比)、甲状腺機能、リウマトイド因子、抗CCP抗体、抗核抗体、手指・足趾のX線撮影、疼痛部位のX線撮影が行われる。
 
== 関節の検査 ==
=== 関節の診察 ===
;視診
視診では指を開いて対称性を確認する。指が一致しなくともMCP関節が両側で腫れていたら対称性ありとする。しかしMCP関節とPIP関節といったように関節の部位が異なった場合は対称とは言わない。
;手首の可動域を調べる
底屈、背屈で行う。
 
=== 関節穿刺 ===
関節穿刺の最もおい適応は原因不明の急性単(少)関節炎である。特に化膿性関節炎を少しでも疑う場合は思考するべきである。また原因不明の慢性単関節炎も適応であり結核性関節炎など稀な疾患の診断に役立つこともある。穿刺部に皮膚感染を起こしている場合と出血傾向の場合は禁忌と成る。蜂窩織炎と鑑別が困難な場合は関節のMRIや超音波検査を検討する。人工関節は関節穿刺は相対的禁忌となる。関節穿刺の合併症は感染と出血である。穿刺に伴う[[感染]]のリスクは1万回に1回以下といわれている。
 
関節液の解釈
{| class="wikitable"
!nowrap|関節液!!nowrap|外観!!nowrap|粘性!!nowrap|白血球数(/μL)!!nowrap|多核球割合!!nowrap|結晶!!nowrap|培養
|-
|正常||透明||高||<200||<10%||なし||陰性
|-
|非炎症性||透明||高||200~2000||<10%||なし||陰性
|-
|炎症性関節炎||半透明||低||2000~50000||様々||なし||陰性
|-
|結晶誘発性関節炎||混濁||低||200~>50000||>90%||痛風では尿酸結晶、偽痛風ではCPPD||陰性
|-
|化膿性||混濁||様々||200~>50000||>90%||なし||陽性
|-
|血性||血性||低||なし||なし||なし||陰性
|}
 
化膿性関節炎を疑うときは培養とグラム染色を優先する。化膿性関節炎グラム染色は感度が低いが特異度が極めて高い。検体が少量の場合は培養検査を最も優先する。Rule of 2sといわれているが、細胞数が多いほど、分画で好中球が多いほど化膿性関節炎の可能性が高くなる。
{| class="wikitable"
!nowrap|細胞数(/μl)!!nowrap|分類
|-
|~200||正常
|-
|200~2000||非炎症性
|-
|2000~20000||炎症性
|-
|20000~||化膿性
|}
 
血性の関節液の場合は多くは関節腔内の小血管の損傷である。関節液の特徴と疾患を下記のようにまとめる。
{| class="wikitable"
!nowrap|関節液の特徴!!nowrap|疾患
|-
|非炎症性||変形性関節症、外傷性、SLEなど膠原病
|-
|炎症性||関節リウマチ、脊椎関節炎、SLEなど膠原病
|-
|結晶誘発性||痛風、偽痛風
|-
|化膿性||細菌性関節炎、結核性関節炎
|-
|血性||外傷性、シャルコー関節、腫瘍性(絨毛結節性滑膜炎など良性腫瘍)、血友病などによる出血傾向、結核性関節炎
|}
 
== 関連項目 ==
* [[結核性関節炎]] - [[結核菌]]が原因。
* [[乾癬#関節症性乾癬|乾癬性関節炎]](関節症性乾癬) - [[乾癬]]の一病型。
 
 
== 脚注 ==
== 参考文献 ==
* Dr.岡田の膠原病大原則(第2巻) ISBN 978-4904357064
* 外来で診るリウマチ・膠原病Q&A ISBN 9784784964444
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