削除された内容 追加された内容
表記ガイド違反等
編集の要約なし
1行目:
[[ファイル:Antibody.png|300px|thumb|right|免疫グロブリン(抗体)。色の薄い部分が軽鎖、先端の黒い部分が可変部。適合する抗原が可変部に特異的に結合する。]]
'''抗体'''(こうたい、{{lang-en-short|antibody}})とは、[[リンパ球]]のうち[[B細胞]]の産生する[[糖タンパク質|糖タンパク]]分子で、特定のタンパク質などの分子('''[[抗原]]''')を認識して結合する働きをもつ。抗体は主に[[血液]]中や[[体液]]中に存在し、例えば、体内に侵入してきた[[細菌]]や[[ウイルス]]、微生物に感染した細胞を抗原として認識して結合する。抗体が抗原へ結合すると、その抗原と抗体の複合体を[[白血球]]や[[マクロファージ]]といった食細胞が認識・貪食して体内から除去するように働いたり、リンパ球などの免疫細胞が結合して[[免疫|免疫反応]]を引き起こしたりする。これらの働きを通じ、[[脊椎動物]]の感染防御機構において重要な役割を担っている([[無脊椎動物]]は抗体を産生しない)。1種類のB細胞は1種類の抗体しか作れないうえまた一1種類の抗体は1種類の抗原しか認識できないため、ヒト体内では数百万〜数億種類といった単位のB細胞がそれぞれ異なる抗体を作り出し、あらゆる抗原に対処しようとしている。
 
「抗体」という名は抗原に結合するという機能を重視した名称で、物質としては'''免疫グロブリン'''(めんえき-グロブリン、immunoglobulin)と呼ばれる。「Ig(アイジー)」と略される。すべての抗体は免疫グロブリンであり、血漿中のγ(ガンマ)グロブリンにあたる。
 
== 構造 ==
19行目:
 
=== 定常領域と可変領域 ===
Fab領域のうち先端に近い半分は、多様な[[抗原]]に結合できるように、アミノ酸配列に多彩な変化がみられる。このFab領域の先端に近い半分を'''可変領域'''('''V領域''')といい、軽鎖の可変領域を'''V<sub>L</sub>領域'''、重鎖の可変領域を'''V<sub>H</sub>領域'''と呼ぶ。V領域以外のFab領域とFc領域は、比較的変化の少ない領域であり、'''定常領域'''('''C領域''')と呼ばれる。軽鎖の定常領域を'''C<sub>L</sub>領域'''と呼び、重鎖の定常領域を'''C<sub>H</sub>領域'''と呼ぶが、C<sub>H</sub>領域はさらにC<sub>H</sub>1~C1〜C<sub>H</sub>3の3つに分けられる。重鎖のFab領域はV<sub>H</sub>領域とC<sub>H</sub>1からなり、重鎖のFc領域はC<sub>H</sub>2とC<sub>H</sub>3からなる。ヒンジ部はC<sub>H</sub>1とC<sub>H</sub>2の間に位置する。
 
=== 相補性決定領域とフレームワーク領域 ===
可変領域のうち、直接抗原と接触する領域は特に変化が大きく、この超可変領域を'''[[相補性決定領域]]''' (complementarity-determining region: '''CDR''') と呼び、それ以外の比較的変異の少ない部分を'''フレームワーク領域''' (framework region: '''FR''') と呼ぶ。軽鎖と重鎖の可変領域に、それぞれ3つのCDR (CDR1~CDR3CDR1 - CDR3) と、3つのCDRを取り囲む4つのFR (FR1~FR4FR1 - FR4) が存在する。
{{-}}
 
== 種類 ==
抗体は定常領域の構造の違いにより、いくつかの'''クラス''' ('''アイソタイプ''')に分けられる。多くの哺乳類では、定常領域の構造の違いによりIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類のクラスの免疫グロブリンに分類される。それぞれのクラスの免疫グロブリンは大きさや生理活性が異なり、例えばIgAは粘膜分泌型の分子であり、IgEは[[肥満細胞]]に結合して[[アレルギー]]反応を引き起こす。さらにヒトの場合、IgGにはIgG1~IgG4IgG1〜IgG4の4つのサブクラスが、IgAにはIgA1とIgA2の2つのサブクラスがあり、それぞれ少しずつ構造が異なっている。IgM、IgD、IgEにはサブクラスはない。
 
また、免疫グロブリンは血中や粘膜への分泌型の他、[[B細胞]]の細胞表面に結合した型(膜型)のものがある。
61行目:
: IgM、IgD、IgG、IgA、IgEの5種類を持つ
 
また、同じ哺乳類でもサブクラスの種類には種ごとに違いが見られる。例えばヒトIgGのサブクラスがIgG1~IgG4IgG1〜IgG4の4種類であるのに対し、マウスIgGではIgG1, IgG2a, IgG2b, IgG3の4種類である。
 
== 働き ==