「自転と公転の同期」の版間の差分

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[[ファイル:steady state.png|300px|thumb|br>
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互いに重力で引き合う二つの天体には、それぞれ相手の天体から潮汐力が働く。この潮汐力は、2天体を結ぶ軸の方向では天体を引き伸ばし、この軸に垂直な方向では天体を圧縮する向きに作用する。ここで潮汐力を受ける天体が十分に柔軟で、潮汐力の強さが十分に大きければ、天体の形がわずかに変形することになる。天体がある程度以上の質量を持つと、[[自己重力]]が十分に強くなり、[[静水圧平衡#天体物理学|静水圧平衡]]の状態となるため、一般にほぼ球形をしている。しかし、このような潮汐力が働くと、天体は2天体の軸方向にわずかに伸びた[[楕円体]]となる(図(A))。<br>
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ここで、2天体の公転運動に合わせて回転する座標系に乗り、潮汐力を及ぼす方の天体 A(例:地球)から潮汐力を受ける天体 B(例:月)の相対運動を眺めるとする。なお天体 A(例:地球)は図の下部に位置するものとする。<br>
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[[ファイル:gyaku.png|right|説明図]]この回転系から見た時に、天体 B(例:月) が天体 A(例:地球) に対して'''相対的に'''自転している場合には、天体 B(例:月) の楕円体の形は安定ではない。天体 B(例:月) の自転に合わせて B (例:月)の赤道上の地点は楕円体の膨らみの部分を定期的に通過し、地面が上下することになる。ここで天体 B(例:月) を構成する物質の[[粘性]]が全く無い場合を除くと、この変形には一定の時間がかかるため、実際には天体 B(例:月) の膨らみは天体 A(例:地球) に最も近い点ではなく、B(例:月) の自転方向に少し通り過ぎた位置が最も膨らむことになる。すなわち、B(例:月) の楕円体の長軸は2天体を結ぶ直線からやや外れた位置に来る(図(B))。<br>
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この B(例:月) の膨らみが A(例:地球) からの重力を受けると、B(例:月) の左上部(緑色)より、右下部(黒色)が距離的に A(例:地球) に近いので僅かであるが右下部への重力が大きくなる。つまり B(例:月) の現在の自転方向(図Bでは左回り)と逆向きのトルクが発生する。従って B(例:月) の楕円体の長軸を A-B の直線上に揃えようとする方向、すなわち B(例:月) の相対的な自転にブレーキをかける方向に[[トルク]]が働くことになる(図(C)中の赤円弧矢印)。この作用によって A(例:地球) に対する B(例:月) の相対的自転運動は次第に減速し、やがて B(例:月) は A(例:地球) の方向に常に膨らみを向ける(A(例:地球) にいつも同じ面を向ける)ようになる(図(D))。<br>