「ユダの窓」の版間の差分

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しばらくして気がついたジェームズが時計を見ると6時30分だった。そして、床にはエイヴォリーが胸に深々と矢を突き刺さされて死んでいた。3枚の矢羽根のうち中央の1枚は半分ちぎれており、正面の壁の矢が2本になっていた。[[オーク]]材の重く頑丈なドアには内側から差し錠が掛かっており、窓は二つともスティール製のシャッターが閉まっており、さらに内側から差し錠が掛かっており、外部からの侵入を阻んでいた。そして、ほかには出入り口はなかった。ドアを叩く音にやむなくジェームズはドアを開け、[[執事]]のダイアーとエイヴォリーの秘書のアメリア・ジョーダン、隣家に住むランドルフ・フレミングが部屋に入ってきて事件の発覚するところとなった。
 
ェームズ は、ウィスキーソーダに混ぜられた薬を飲まされ、その後は何も知らないと主張したが、部屋の中のウィスキーのデカンターとソーダ水のサイフォン、4つの[[タンブラーグラス]] には薬を入れられた形跡はなく、ジェームズの身体からも薬の徴候は見つからなかった。また、ジェームズが着ていたコートのポケットにはアンズウェル大尉の[[拳銃|ピストル]]が入っていた。さらにエイヴォリーの胸に刺さった矢からはジェームズの指紋だけが検出された。
 
ジェームズはエイヴォリー・ヒューム謀殺の罪名で逮捕され、起訴された。そして3月4日、舞台は中央刑事裁判所に移った。被告側の弁護人にはヘンリ・メリヴェール卿が就いた。裁判の中ではジェームズに不利な証言が相次いだ。12月の末まではメアリとジェームズの結婚を喜んでいたエイヴォリーが、年が変わるとジェームズに対して悪印象持っていると見受けられるようになった。問題の1月4日の朝、メアリからの手紙でジェームズがロンドンを訪れることを知ったエイヴォリーは午後1時30分にジェームズに電話をかけ、電話を切った後に「アンズウェルの奴め、きっちり片をつけてくれるぞ」と述べていた。また、執事に午後6時に来客があることを伝えるととともに、その来客を「信用ならない奴」と述べていた。さらに、エイヴォリーに会ったときのジェームズの「僕がお宅に伺ったのはむやみに人を殺したりするためじゃありません」との発言や、それからしばらくした後のエイヴォリーの「おい、君、いったい、どうした? 気でも狂ったか?」との発言に続く格闘のような物音なども執事に聞かれていた。これらの状況から訴追側は、メアリとの結婚を反対されたジェームズがエイヴォリーと口論になり、そのあげくにエイヴォリーの胸に矢を突き立てて殺害し、自らは薬物で眠らされたふりをしたのだと論告した。
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* 江戸川乱歩は「カー問答」(『[[宝石 (雑誌)#別冊宝石|別冊宝石]]』、カア傑作集、[[1950年]])<ref>カー短編全集5『黒い塔の恐怖』([[創元推理文庫]])所収。</ref>の中で、カーの作品を第1位のグループから最もつまらない第4位のグループまで評価分けし、本作を第1位のグループ6作品の5番目に挙げている<ref>第1位のグループ6作品には筆頭に『[[帽子収集狂事件]]』、次いで『[[プレーグ・コートの殺人]]』などが挙げられている。</ref>。
* [[1981年]]に欧米の作家・評論家17人に対して実施した密室長編ものの人気投票ベスト10<ref>『密室大集合 アメリカ探偵作家クラブ傑作選 (7)』([[エドワード・D・ホック]]編、[[ハヤカワ文庫|ハヤカワミステリ文庫]]、[[1984年]])所収。</ref>で、本作は5位となった<ref>カーの作品([[カーター・ディクスン]]名義含む)では他に、『[[三つの棺]]』(1位)、『[[曲った蝶番]]』(4位)、『孔雀の羽根』(10位)が挙げられ、さらに次点の4作品中の1つに『爬虫類館の殺人』も挙げられている。</ref>。
* 「[[東西ミステリーベスト100]]」(『[[週刊文春]]』)では、[[東西ミステリーベスト100#1985年版|1985年版]]で35位<ref>カーの作品(カーター・ディクスン名義含む)では他に、『[[火刑法廷]]』(14位)、『三つの棺』(26位)、『[[皇帝のかぎ煙草入れ]]』(69位)が挙げられている。</ref>、[[東西ミステリーベスト100#2012年版|2012年版]]で44位<ref>他に、『火刑法廷』(10位)、『三つの棺』(16位)、『皇帝のかぎ煙草入れ』(37位)が挙げられている。</ref>に挙げられている。
 
== 他作品との関連 ==