「偶関数と奇関数」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2016年3月}}
[[数学]]において、'''偶関数'''(ぐうかんすう、''{{lang-en-short|even function''}}、あるいは'''奇関数'''(きかんすう、''{{lang-en-short|odd function''}})とは、変数の[[プラス記号正の数マイナス記号負の数|符号]]を反転させる変換に関してそれぞれ、値が不変である、あるいは値の符号が反転する[[関数 (数学)|関数]]のことである。
 
[[ファイル:cos-curve.png|thumb|偶関数の例:余弦関数は ''{{mvar|y''}} 軸対称]]
[[ファイル:sin-curve.png|thumb|奇関数の例:正弦関数は原点対称]]
[[ファイル:sin_and_cos.png|thumb|正弦関数と余弦関数]]
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[[ファイル:Sinh.png|thumb|奇関数の例:双曲線正弦関数]]
[[画像:Quadratic-func.png|thumb
|二次関数のグラフ。{{math|(''x'' − 10)<sup>2</sup>}} を除き偶関数の例である。{{math|1=(''x'' − 10)<sup>2</sup>}} {{math|1== ''x''<sup>2</sup> − 20''x'' + 100}} は 1 次の項を含むので偶関数ではない(奇関数でもない。ただし、{{math|1=''X'' = ''x'' − 10}} に関する偶関数である)。
]]
[[画像:Cubic-func.png|thumb
|三次関数のグラフ。原点を通る 2 つは奇関数の例になっている。{{math|1=''x'' = 0}} で値を持つ奇関数ならば少なくとも原点を通る(逆は必ずしも真ではない)。
]]
 
== 定義 ==
関数 {{math|''f''(''x'')}} が'''偶関数'''であるとは、<!--定義域は?-->
*: <math>f(-x)=f(x)</math>
が任意の ''{{mvar|x''}} について成立することである。また、関数 {{math|''f''(''x'')}} が'''奇関数'''であるとは
*: <math>f(-x)=-f(x)</math>
が任意の ''{{mvar|x''}} について成立することである。
 
== 性質 ==
=== 基本 ===
* 偶関数 ''{{mvar|f''}} は、''{{mvar|xy''}}-平面上に {{math|1=''y'' = ''f''(''x'')}} の[[グラフ (関数)|グラフ]]を描いたとき ''{{mvar|y''}} 軸に関して[[対称性|対称]]([[線対称]])になる。
* 奇関数 ''{{mvar|f''}} は、''{{mvar|xy''}}-平面上に {{math|1=''y'' = ''f''(''x'')}} のグラフを描いたとき原点に関して対称([[点対称]])になる。つまり 特に、{{math|''f''(0)}}値を持つ定義されているならば {{math|1=''f''(0) = 0}} である。<!-- そのグラフは必ず原点を通る。 → f(x)=1/x という反例があるのでコメントアウト。 -->
* 奇関数と偶関数の和は一般には奇関数でも偶関数でもない。(例:{{math|''x'' + ''x''<sup>2</sup>}}
* いくつかの偶関数があるときに、それらの定数倍を足し合わせたもの([[線型結合]])も偶関数になる。
* いくつかの奇関数があるときに、それらの定数倍を足し合わせたものも奇関数になる。
* 2 つの偶関数の積は偶関数<ref name="F1986">大石 進一 『フーリエ解析 (理工系の数学入門コース 6)』 岩波書店、1989年、ISBN 4000077767</ref>
* 2 つの奇関数の積は偶関数<ref name="F1986" />
* 偶関数と奇関数の積は奇関数<ref name="F1986" />
* 偶関数が微分可能なとき1 回微分すると奇関数になる。
* 奇関数が微分可能なとき1 回微分すると偶関数になる。
 
=== 級数 ===
* 偶関数の[[テイラー級数]]は ''{{mvar|x''}} の偶数次の項だけを持つ[[冪級数|べき級数]]である。
* 奇関数のテイラー級数は奇数次の項だけを持つべき級数である。
* 周期的な偶関数の[[フーリエ級数]]は {{math|cos}} の項だけで構成される。
* 周期的な奇関数のフーリエ級数は {{math|sin}} の項だけで構成される。
 
=== その他 ===
* 偶関数かつ奇関数であるような関数 {{math|''f''(''x)'')}} は、 {{math|1=''f''(''x'') = 0''}} しかない。当然 {{math|1=''f''(''x'') = 0''}} ならば {{math|''f''(''x)'')}} は偶関数でかつ奇関数である([[同値]])。
* 偶関数全体の成す集合奇関数全体の成す集合はともに[[ベクトル空間]]の構造を持つ。さらに偶関数の全体は[[交換法則|可換]][[多元環]]を成す。一方、奇関数の全体は積について閉じておらず多元環を成さない。
* {{math|''f''(''x'')}} を任意の関数とするとき、以下は それぞれ偶関数および奇関数となる<ref name="F1986" />。
*:<math>f_e(x) = \frac{f(x)+f(-x)}{2} \quad ,\quad f_o(x)= \frac{f(x)-f(-x)}{2}.</math>
*:関数 {{math|''f{{sub|e}}''(''x'')}} を、関数 {{math|''f''(''x'')}} の'''偶関数部分'''という。添字 ''{{mvar|e''}} は偶 (even) を表す。
*:関数 {{math|''f{{sub|o}}''(''x'')}} を、関数 {{math|''f''(''x'')}} の'''奇関数部分'''という。添字 ''{{mvar|o''}} は奇 (odd) を表す。
* 関数全体の成すベクトル空間は、偶関数全体の成すベクトル空間と奇関数全体の成すベクトル空間の[[直和]]に分解される。すなわちどんな関数も偶関数と奇関数の和としてただ一通りに表される:
*:<math>f(x) = \frac{ff_e(x)+f(-x)}{2} + \frac{f(x)-ff_o(-x)}{2}.</math>
 
== 例 ==
55 ⟶ 56行目:
* [[余弦関数]] {{math|cos ''x''}}
* [[双曲線関数|双曲線余弦関数]] {{math|cosh ''x''}}
* {{math|''x''{{sup|2}}}}, {{math|''x''{{sup|4}}}}, {{math|1=''x''{{sup|0}} = 1}}, {{math|1=''x''{{sup|−2}} = 1/''x''{{sup|2}}}} 等の[[偶数]]次冪関数 {{math|''x''<sup>2''n''</sup>}}''n'' は自然数)。''n'' = 0 なら {{mathmvar|1=''x''{{sup|0n}} = 1}} でありこれも偶関は整)。
* ''x''<sup>−2</sup>, ''x''<sup>−4</sup> 等の関数 ''x''<sup>−2''n''</sup>(''n'' は自然数)
* [[定数関数]]
* 任意の関数 {{math|''f''(''x'')}} に対して {{math|''f''(''x'') + ''f''(−''x'')}}
 
=== 奇関数 ===
64行目:
* [[正接関数]] {{math|tan ''x''}}
* 双曲線正弦関数 {{math|sinh ''x''}}
* {{mvar|x}}, {{math|''x''{{sup|3}}}}, {{math|''x''{{sup|−1}}}} 等の[[奇数]]次冪関数 {{math|''x''<sup>2''n'' − 1</sup> }}''{{mvar|n''}}自然数)
* 逆正関数 (tan{{math|sin<sup>−1</sup>x)''x''}}
* ''x''<sup>−1</sup>, ''x''<sup>−3</sup>等の関数 ''x''<sup>−(2''n'' − 1)</sup> (''n'' は自然数)
* 逆正関数 (sin{{math|tan<sup>−1</sup>x)''x''}}
* 任意の関数 {{math|''f''(''x'')}} に対して {{math|''f''(''x'') − ''f''(−''x'')}}
* 逆正接関数 (tan<sup>−1</sup>x)
* 任意の関数 ''f''(''x'') に対して ''f''(''x'') − ''f''(−''x'')
 
== 脚注 ==