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== 概要 ==
一般的な汎用のコンピュータ、特に[[System/360]](1964)以降に設計された[[命令セット]]アーキテクチャを実装しているコンピュータは、あらゆる用途に対応できる半面、計算機としては、高性能なコンピュータが欲される用途である[[計算科学]]のように、少々複雑なこともあるが同じ式で表される計算を大量に繰返すなどの用途には、必ずしも性能対価格比的に優れているとは限らない。専用計算機は、汎用性を犠牲にして特定の計算用途に特化したハードウェアの構成によって性能対価格比を高めた、目的を限定した[[数値計算]]専用の計算機である(数値計算以外の専用計算機もあるが、多くは数値計算用である)。
通常の計算機では多種多様な用途へ対応できるようにするため[[オーバーヘッド]]が大きく、特定の用途では使用しない機能を備えていた。専用計算機では汎用性を犠牲にして特定の計算用途に特化したハードウェアの構成によって処理速度を高めている。古くは黎明期のコンピュータには特定の用途の計算のみに特化した機種が存在したり、1982年にはオランダのA.F バッカー達による[[分子動力学]]に特化した計算機を開発する試みがあり、1990年にATOMSが製作された<ref name="TFLOPS" />。アメリカではR.ファインらによってFASTRUNが開発され<ref name="TFLOPS" /><ref>{{cite book| author=Srinivas Aluru | authorlink= |title=High Performance Computing - HiPC 2007| publisher=Springer Science & Business Media| date=2007年|pages=188|url=|isbn=9783540772194}}</ref>、[[マサチューセッツ工科大学]]の[[ジェラルド・ジェイ・サスマン]]のグループによってDigital Orreryが開発された。日本では1980年代に[[FX型デジタル分光相関器]]や[[QCDPAX]]、[[重力]][[多体問題]]に特化した[[GRAPE]]が開発され、2000年代初頭には[[DEGIMA]]が開発された<ref name="TFLOPS">{{cite book|和書| author=杉本大一郎 | authorlink=杉本大一郎 |title=手作りスーパーコンピュータへの挑戦 <small>テラ・フロップス・マシンをめざして</small> | publisher=[[講談社]][[ブルーバックス]]| date=1993年2月20日|pages=|url=|isbn=9784061329560}}</ref>。2008年にはD. E. Shaw Researchによって[[アントン (スーパーコンピュータ)|アントン]]が開発された。特定の用途に特化した仕様なので[[汎用計算機]]と比較して市場が小さいため、[[規模の経済]]の利点を享受出来ないため、汎用性のある[[CPU]]ほど[[ムーアの法則]]に則った高性能化が進まず、市販品は限定的な普及に留まった<ref>[http://www.kfcr.jp/grapedr.html K&F Computing Research 製品情報 : 科学技術計算向け加速ボード GRAPE-DR]</ref><ref>[http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/future_sc/note009.html 専用計算機は?]</ref><ref>[http://jun.artcompsci.org/talks/tsukuba20090223.pdf 作るか買うか∼専用計算機に未来はあるか]</ref>。[[デジタルシグナルプロセッサ]]や画像処理に特化した[[Graphics Processing Unit]](GPU)も専用計算機の一種といえる。
 
発想としては必ずしも新しいわけではない。ディジタルコンピュータ以前からある[[アナログ計算機]]はほぼ全てがある種の専用計算機のようなものであるし、前述のように1964年に「360度の用途に対応」としてSystem/360が登場する以前の黎明期のコンピュータは、「科学技術計算用」か「事務処理用」の、どちらかに寄った設計とするのが通例であった(不向きな用途の計算や処理が、不可能というわけではないが、プログラミングや実行効率の点で大きく不利となる)。
近年では[[FPGA]]による[[再構成可能コンピューティング]]により[[暗号化]]や[[動画]]の圧縮、伸張、[[画像処理]]、[[ニューラルネットワーク]]処理などのロジックをチップ内部に持てるようになり、特定の用途の処理を高効率かつ高速化が可能になる<ref>[http://www.publickey1.jp/blog/16/fpgafpga.html インテル、FPGA大手のアルテラ買収を完了]</ref><ref>[http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/future_sc/note010.html 他の可能性は? --- I. FPGA と再構成可能計算]</ref>。一例としてマイクロプロセッサーとFPGAで電力当たりの性能を比較した場合、検索処理では約10倍、複雑な金融モデルの解析では実に約25倍もFPGAの方が性能が高いとされる<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXMZO87633350T00C15A6000000/ インテル「2兆円買収」で手に入れる3つの未来]</ref>。
 
通常の計算機では多種多様な用途へ対応できる[[Cray-1]]にうにするため[[オーバーヘッド高性能計算|High-Performance Computing]](HPC)という分野大きく、特定の用途では使用しない機能を備えてい確立され。専用計算機では汎用性を犠牲にして特定計算用途に特化例とたハードウェアの構成によっ処理速度を高めている。古く黎明期のコンピュータには特定の用途の計算のみに特化した機種が存在したり、1982年にはオランダのA.F バッカー達による[[分子動力学]]に特化した計算機を開発する試みがあり、1990年にATOMSが製作された<ref name="TFLOPS" />。アメリカではR.ファインらによってFASTRUNが開発され<ref name="TFLOPS" /><ref>{{cite book| author=Srinivas Aluru | authorlink= |title=High Performance Computing - HiPC 2007| publisher=Springer Science & Business Media| date=2007年|pages=188|url=|isbn=9783540772194}}</ref>、[[マサチューセッツ工科大学]]の[[ジェラルド・ジェイ・サスマン]]のグループによってDigital Orreryが開発された。日本では1980年代に[[FX型デジタル分光相関器]]や[[QCDPAX]]、[[重力]][[多体問題]]に特化した[[GRAPE]]が開発され、2000年代初頭には[[DEGIMA]]が開発された<ref name="TFLOPS">{{cite book|和書| author=杉本大一郎 | authorlink=杉本大一郎 |title=手作りスーパーコンピュータへの挑戦 <small>テラ・フロップス・マシンをめざして</small> | publisher=[[講談社]][[ブルーバックス]]| date=1993年2月20日|pages=|url=|isbn=9784061329560}}</ref>。2008年にはD. E. Shaw Researchによって[[アントン (スーパーコンピュータ)|アントン]]が開発された。特定の用途に特化した仕様なので[[汎用計算機]]と比較して市場が小さいため、[[規模の経済]]の利点を享受出来ないため、汎用性のある[[CPU]]ほど[[ムーアの法則]]に則った高性能化が進まず、市販品は限定的な普及に留まった<ref>[http://www.kfcr.jp/grapedr.html K&F Computing Research 製品情報 : 科学技術計算向け加速ボード GRAPE-DR]</ref><ref>[http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/future_sc/note009.html 専用計算機は?]</ref><ref>[http://jun.artcompsci.org/talks/tsukuba20090223.pdf 作るか買うか∼専用計算機に未来はあるか]</ref>。[[デジタルシグナルプロセッサ]]や画像処理に特化した[[Graphics Processing Unit]](GPU)も専用計算機の一種といえる
 
[[デジタルシグナルプロセッサ]]や画像処理に特化した[[Graphics Processing Unit]](GPU)も専用計算機の一種といえる。これらの応用は広く、DSPを3Dグラフィックスのジオメトリ演算に使用した例(ナムコの[[SYSTEM21]]など)があり、GPUについては[[GPGPU]]は近年発展の著しい分野である。
 
近年では[[FPGA]]による[[再構成可能コンピューティング]]によりは、[[暗号化]]や[[動画]]の圧縮、伸張、[[画像処理]]、[[ニューラルネットワーク]]処理などのロジック専用回路チップ内部に持てるようになり特定[[ASIC]]と比較すれば性能は数段以上劣るも用途処理を高効率かつ高速化が、ASICと違いその場で構成可能になである<ref>[http://www.publickey1.jp/blog/16/fpgafpga.html インテル、FPGA大手のアルテラ買収を完了]</ref><ref>[http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/future_sc/note010.html 他の可能性は? --- I. FPGA と再構成可能計算]</ref>。なお一例としてマイクロプロセッサFPGAの比較は、電力当たりの性能を比較した場合、検索処理では約10倍、複雑な金融モデルの解析では実に約25倍もFPGAの方が性能が高いとされする報告がある<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXMZO87633350T00C15A6000000/ インテル「2兆円買収」で手に入れる3つの未来]</ref>。
 
== 脚注 ==