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== 恒温性の意義 ==
=== 利点 ===
恒温性、内温性の意義について、よくある誤解は「温度が高いほど化学反応が速く進むために体温を高く保つ」である。これならば最低体温は(最低限の活動性を保証するために)安定するが、最高体温はある程度変動するはずである。また、高い温度により化学反応が速ければ速いほど有利なのであれば人間の発汗のような冷却機能は不要なはずである。事実は逆で内温性生物でまず安定するのは最高体温であり、典型的な変温性とされる生物でも冷却機能は備えていることが多い(例:陸上維管束植物の気孔開閉や葉の定位運動)。生物には活動最適温があり、必要以上の[[体温]]上昇は危険である([[熱中症]])。</br />
また、生物体内の酵素は温度により活性が変化するために単純に高温で反応が早くなるわけではない。酵素反応の最適温はその生物にとっての最適温でもない。例えば多くの[[アミラーゼ]]([[デンプン]]分解酵素)は60℃近辺に反応最適温を持つが、それを産生する多くの生物(ヒトや麹菌など)は60℃では死亡してしまう。</br />
内温性の利点とは外温から体温をよりその生物の最適温に近づけられることである<ref>例えば、[[フユシャク]]と[[マルハナバチ]]は共に0℃の外気温でも飛翔できる。しかし、変温動物であり、最適体温が低いフユシャクは晩秋~冬しか活動(飛翔)できないが、内温動物で活動最適体温そのものは高温であるマルハナバチは春〜冬でも飛翔できる</ref>。このため、動物では気候帯を越えるような広域分布種の多くは恒温もしくは内温性である。恒温性生物とは、内温性生物のなかでもある程度広い温度域の中で最適温度近辺の体温を保てるほど高度な体温制御機構を発達させた生物である。</br />
また、より非活動的な生物、例えば植物ではごく少数例しか発見されていない。恒温性とされるのは2007年現在世界で上記の[[ハス]]・[[ザゼンソウ]]・[[ヒトデカズラ]]の3種でしかも恒温部分は開花中の花器ないし花序のみである。内温性はより広くの種や部位で認められ、例えば多くの大型樹木は早春の萌芽期初期には周囲の雪が融解するほど体温を上昇させ、幹で数度の温度を保つ。このことにより、零度以下の気温の中で糖類の転流を促進する。これも恒温性とは見なせないが、広くとらえれば内温性とは見なせる。</br />
=== 欠点 ===
恒温といえるほどに体温を安定させるためには産熱と冷却を行わねばならない。後述するように[[体温]]を上昇させることは産熱を盛んにし体表面の断熱性を向上させればよいので比較的容易である。しかし、外気温以上に冷却することは困難である。そのためか、多くの恒温動物、特に放熱に不利な陸上生物では住環境温度よりもかなり高い体温(30-44℃)を持つのが普通である。多くの鳥類や哺乳類、ミツバチなど高度の体温恒常性を持つ生物では、低気温時のみならず休息や睡眠時にもさほど体温を下げられない(下げると死亡する。=[[低体温症]]を参照)。この体表から逃げる熱を補うための熱を体内で作り続ける=餌が大量に必要であり、[[食糧]]確保の面で変温動物よりもリスクが大きい。おおざっぱに言って、同程度の体重の変温動物の数十倍程度(双方最適体温の時。同体温で比べれば数倍程度)の[[代謝]]率(≒必要食料量および産熱量)であるとされている。例えば、[[コアラ]]と[[ナマケモノ]]は樹上で木の葉を摂食し、ほとんどを眠って過ごすというよく似た生態と同程度の体重を持つ哺乳類であるが、典型的な恒温動物とされる[[コアラ]]の日当たり摂食量は500g以上に達するのに対し、典型的な変温動物とされる[[ナマケモノ]]は10g程度である。</br />
このため、体温の維持が難しい寒冷地に生息する小型種を中心に休息時や[[冬眠]]・[[睡眠]]時、低気温時などでは維持設定体温を下げる、もしくは体温を維持しないという適応するものが存在する<ref name="drop body temp"/>。</br />
 
ただし、一般論として、変温動物も恒温動物も体重が大きくなればなるほど体重あたり代謝率は下がる(Kleibarの法則;全[[代謝]]量は体重の3/4 乗に比例)ことに留意する必要がある。例えば体重5g程度の典型的な変温動物である[[ニホンカナヘビ]](@20℃)の代謝率は体重が100万倍、5t程度の典型的な恒温動物のアフリカゾウの代謝率と同程度であり、[[シロナガスクジラ]](100〜200t)よりは大幅に高い。つまり、他の要因も関係するが、変温動物の方が体重あたり要求餌量が少なくてすむとか絶食耐性があるということは一概には言えない(例えばマッコウクジラの回遊時の推定絶食期間は数か月にもおよび、ほとんどの変温動物よりも絶食耐性が高い)。
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現生動物において比較するかぎり、体温の恒常性の有無と[[成長]]速度、あるいは急速な[[成長期]]の有無には関連性は特に認められない。例えば、典型的な恒温動物である[[ヒト]]は誕生してから15年で体長で4倍・体重で20倍程度に成長するに過ぎないが、典型的な変温動物である[[カイコ]]は30日で体長で30倍・体重で5000倍にも成長する。同じく変温動物である[[ニホンカナヘビ]]では1年で体重で20倍程度、人間と同程度の成体体重の陸上脊椎動物である[[アミメニシキヘビ]](15歳程度)の誕生時体重は100g程度(つまり5〜600倍)であり、[[ワニ]]の成長速度はこれよりも速い。
 
また、[[完全変態]]昆虫の多くは[[幼虫]]期は非常に急速に成長し、成虫はほとんど成長しない。つまり成長期が存在する。しかも、スズメガを見ればわかるようにほとんど成長しない成虫は恒温性であっても急速な成長をする幼虫期は通常典型的な変温動物である。[[四肢動物]]でも同様で、典型的な変温動物である[[アマガエル]]や[[アベコベガエル]]は幼体である[[オタマジャクシ]]は急速に成長するが、上陸後の[[カエル]]の体重増加は非常に緩やかである。[[ニホンカナヘビ]]でも最初の一年は体重が急速に増加するがその後(5〜6年の[[寿命]]がある)の体重増加は緩やかである。</br />これらは決して特殊な例外ではない。逆の例(恒温・内温動物の方が成長が早い・成長期がある)を例示することも極めて容易である(上の例を、[[ヒト]]→[[ゾウガメ]]、[[カイコ]]→[[カンガルー]]や[[ミツバチ]]、[[ニホンカナヘビ]]→[[ウサギ]]、[[アミメニシキヘビ]]→[[ウシ]]、[[ワニ]]→[[ライオン]]などとし、倍率なども適宜動かせばよい)。つまり、化石生物などで個体の成長速度が速いことや、急速な成長期があることが類推できる形質が認められても、恒温動物であろう、もしくは逆に変温動物であろうという推定は成立しない。むしろ、恒温変温にかかわらず[[r戦略]]傾向を強く持つ種では[[成長]]速度が速く([[ハツカネズミ]]、[[ネコ]]や[[ニホントカゲ]]では誕生4週で3倍程度)、[[r-K戦略説|K戦略]]傾向を強く持つ種の成長速度は遅い([[ヒト]]、[[ウシ]]や[[ムカシトカゲ]]では誕生1年で3倍程度)。
 
<!-- 恒温動物のみが成長速度が早い・急速な成長期があるなどという、実際に動物を育ててみればすぐわかる嘘を誰が(調べる気も起きないが)もっともらしく言い始めたのだろうか? 少なくともこんなことを生きた生物を相手にしている専門家が口にした例を知らない。こんな非科学的な思いつきを、いくら昔で詳細がわからないとはいえ、古生物学者(というより恐竜学者か)は一般向け書物に書かないでほしいモノではある。 一般人をバカにする・もしくは不勉強も大概にして欲しい。読者も学者が言うことを無批判に信じてはいけない、自らも考えなければならないないという例示になれば幸いである