「ヘヴィメタル」の版間の差分

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今日ヘヴィメタルと形容される音を最初に取り扱ったバンドについては諸説ある。イギリスの批評家はブラック・サバスが元祖だとし、アメリカの批評家はレッド・ツェッペリンこそが元祖だと主張することが多いが、多くの批評家はその両者を対等に扱っている。[[ステッペンウルフ]]や[[アイアン・バタフライ]]、[[ブルー・チアー]]などを挙げる批評家も少数ながら存在する<ref>Weinstein (2000), pp.&nbsp;14–15.</ref>。
 
ヘヴィメタルの由来となったものとしては、[[キンクス]]の「[[ユー・リアリー・ガット・ミー]]」<ref>Weinstein (1991), p. 18; Walser (1993), p. 9</ref>など[[ビートルズ]]「[[ヘルター・スケルター]] - ''Helter Skelter''<ref>Blake (1997), p. 143</ref>」(『[[ザ・ビートルズ (アルバム)|ザ・ビートルズ]]』収録、1968年発表)がある。これらのサウンド、激しい[[リフ]]の上にシャウトするコーラス部などの音楽的な要素と、ヘルター・スケルターに影響されて[[シャロン・テート]]らを惨殺し当時大きな話題となった狂信的な悪魔崇拝者カルト集団首領[[チャールズ・マンソン]]による米国での殺人事件と結びついたイメージも後の[[パンクロック]]やヘヴィメタルに影響を与えた。
 
その他にも1960年代後半から[[クリーム (バンド)|クリーム]]、[[ヴァニラ・ファッジ]]、[[レッド・ツェッペリン]]、[[ディープ・パープル]]を始めとするラウドなロックが多数現れた。また、[[ステッペンウルフ]]が[[1968年]]に出した「ワイルドで行こう(ボーン・トゥ・ビー・ワイルド)」の歌詞には、[[オートバイ]](のエンジン音)を"Heavy Metal"に例える箇所がある<ref>Walser (1993), p. 8</ref> 。これらのバンドも音的にヘヴィメタルな要素を多分に含んでいるが、いずれも[[ハードロック]]の範疇に留まると見なすことが多い。
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英国の[[ハードロック]]は [[1970年代]]初頭に一時代を築き上げるが、複雑で難解になっていく演奏技術への反動などから、1970年代半ばに[[パンク・ロック]]・ムーヴメントが起きる。かつての[[ハードロック]]は「オールド・ウェイヴ」と呼ばれるようになり、ブリティッシュ・ハードロック・シーンはその勢いを失っていった。しかしながらアンダーグラウンドシーンでは様々な若手バンドが、一部ではパンクの過激さをも取り入れながら、新しい時代のハードロックを模索するようになっていた。サウンズ誌の記者[[ジェフ・バートン]]により『[[NWOBHM]](ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)』と名付けられたこのムーヴメントは、パンクの収束と入れ替わるようにやがてイギリス全土に広がった。[[1980年]]には[[アイアン・メイデン]]、[[デフ・レパード]]がメジャーデビューし、シーンは一気に活性化していく。それらのバンドと比べると商業的な成功は大きくなかったものの、[[ヴェノム (バンド)|ヴェノム]]や[[ダイアモンド・ヘッド (バンド)|ダイアモンド・ヘッド]]ものちのメタルシーンに影響を与えた<ref>Weinstein (1991), p. 44</ref>。
 
NWOBHM勢に結成は先立ちながら、同時期のヘヴィメタルの立役者として強烈な存在感を放つのが、同じくイギリス出身の[[ジューダス・プリースト]]である。ブルースの影響を捨て去ることで、ジャンルの隆盛に寄与したのである<ref name="Walser 1993, p. 6">Walser (1993), p. 6.</ref><ref>"As much as Sabbath started it, Priest were the ones who took it out of the blues and straight into metal." Bowe, Brian J. ''Judas Priest: Metal Gods''. ISBN 0-7660-3621-9.</ref>。1969年の結成当初は比較的オーソドックスなハードロックをプレイしていた彼らであるが、やがて硬質で疾走感のあるギター[[リフ]]を用い、金属的な高音ボーカルでシャウトするなどの音楽様式を作り出した。さらに1970年代後半からはレザー・ファッションを取り入れるなど、ステージ・パフォーマンスの面でも後々までステレオタイプ化されるような「ヘヴィメタル」のイメージを作り上げた。また[[モーターヘッド]]は、[[ロックンロール]]にパンクロック的な要素やスピード感のあるリズムを導入し、後の[[ハードコア・パンク]]や[[スラッシュメタル]]の先駆けにもなった。さらに[[ディープ・パープル]]のコンピレーション・アルバムが大ヒットするなど、かつてのハードロックバンドの再評価、活躍も見られた。
 
イギリス国外のバンドについては、ドイツの[[スコーピオンズ]]、[[アクセプト (バンド)|アクセプト]]、フランスのトラスト、オランダの[[ヴァンデンバーグ (バンド)|ヴァンデンバーグ]]、デンマークの[[プリティ・メイズ]]や[[マーシフル・フェイト]]、スペインの[[バロン・ロッホ]]などが注目された。日本では、[[1976年]]に[[BOWWOW]]、[[1981年]]に[[LOUDNESS]]がデビューし、共に日本国外においても人気を博した。