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[[File:Henry Fonda and Bette Davis in Jezebel trailer.jpg|thumb|250px|典型的な女性映画のひとつである『[[黒蘭の女]]』(1938)。[[ベティ・デイヴィス]]と[[ヘンリー・フォンダ]]が主演をつとめる。デイヴィスは慣習に逆らったせいでフォンダ演じる[[フィアンセ]]と社会的名声を失う[[南部美人]]を演じる。ヒロインは自己犠牲により名誉を回復する。<ref>Basinger, Jeanine. ''Jezebel''. Audio commentary, 2006 DVD re-issue.</ref>]]
 
'''女性映画('''{{Lang-en|woman's film}}''')'''とは[[映画]][[ジャンル]]のひとつである。[[女性]]中心の[[ナラティヴ]]で女性の主人公を有し、女性客にアピールするよう作られたものを指す。女性映画は通常、家庭生活や[[家族]]、[[母親]]としての生き方、自己犠牲、[[ロマンス]]をめぐる問題など「女性の関心事」とされるものを描く{{sfn|Doane|1987|pp=152&ndash;53}}。こうした映画は[[サイレント映画]]の時代から1950年代、あるいは1960年代初め頃までしばしば作られていたが、最も人気があったのは1930年代から1940年代頃であり、[[第二次世界大戦]]の時期に絶頂期を迎えた。[[ハリウッド]]は20世紀後半になっても伝統的な女性映画の要素を持つ映画を作り続けていたが、アメリカにおいて"woman's film"という単語自体は1960年代頃からそれほど使われなくなっていった。 [[ジョージ・キューカー]]、[[ダグラス・サーク]]、[[マックス・オフュルス]]、[[ジョセフ・フォン・スタンバーグ]]などの[[映画監督]]の作品が女性映画のジャンルに含まれる作品としてしばしばあげられる<ref>{{cite book | last = Heung | first = Marina | authorlink = | editor1-first = Angela | editor1-last = Howard | editor2-first = Frances M. | editor2-last = Kevenik | title = Handbook of American Women's History | url = | publisher = Garland | location = New York | year = 1990 | chapter = | chapterurl = | isbn = 978-0-8240-8744-9 }}</ref>。[[ジョーン・クロフォード]]、[[ベティ・デイヴィス]]、[[バーバラ・スタンウィック]]などがこのジャンルで最も活躍したハリウッドスターであった{{sfn|Basinger|2010|p=163}}。
 
このジャンルのはじまりは[[D・W・グリフィス]]のサイレント映画にまで遡る。[[映画史]]研究者や[[批評家]]は回顧的にこのジャンルとそこに含まれる正典と考えられる作品を定義するようになった。1980年代に「女性映画」というジャンルが批評における概念として確立するまでは、多くの古典的女性映画は「[[メロドラマ]]」と呼ばれることが多かった。