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== 来歴・人物 ==
[[教育学者]][[矢川徳光]]の5人姉妹の次女として[[東京府]][[北豊島郡]][[王子町]]大字王子312番地(現・[[東京都]][[北区 (東京都)|北区]][[王子 (東京都北区)|王子]])に生まれ、生後まもなく、[[東京府]][[北豊島郡]][[高田町 (東京府)|高田町]]雑司ヶ谷7丁目1117番地(現・[[東京都]][[豊島区]][[雑司が谷]])に転居。園児として[[キリスト教]]系の[[幼稚園]]で過ごす<ref>矢川澄子『いづくへか』([[筑摩書房]])</ref>。高田第五尋常小学校(現在の[[豊島区立目白小学校|目白小学校]])1年の時、1938年1月、東京市[[世田谷 (世田谷区)|世田谷区]][[新町 (世田谷区)|新町]]に転居。深沢尋常小学校(現・[[世田谷区立深沢小学校]])に転入。1943年、府立第十一高等女学校(現・[[東京都立桜町高等学校]])に入学。1948年、同校を5年で卒業し、旧制の[[東京女子大学]]外国語科(後の[[英文科]]、当時は3年制)に入学、[[1951年]]に卒業。[[岩波書店]]の社外[[校正]]者を経て、1953年9月、新制[[学習院大学]][[英文科]]3年に後期から編入学するも、まもなく独文科に転じ、[[関泰祐]][[教授]]に師事。[[1954年]]、[[同人誌]]「未定」に参加。[[1955年]]3月、学習院大学独文学科卒業。同年4月、[[東京大学]][[文学部]][[美学]][[美術史]]学科に[[学士入学]]したが[[1958年]]に中退。この間、1955年4月、岩波書店校正室のアルバイトで知り合った澁澤龍彦と交際を始める。澁澤の初対面の印象を矢川は「なんと鼻の高い色白の美少年が入ってきた」と語っている<ref name="正論" />。矢川の最初の男性となったのも澁澤であった<ref>矢川澄子「一九五X年・夏」</ref>。当時、3年余りにわたって澁澤から送られた手紙を矢川は晩年も大事に保存していたが、公表はされていない<ref name="正論" />。
 
[[1959年]]1月、[[澁澤龍彦]]と結婚。[[鎌倉市]]小町に住む。当時の心境について後年「ほんとに実家に見切りをつけて、親に背いて一人でふらふらしてるうちに、こんないい家族にめぐり会えたと思って、とっても嬉しかった。澁澤の母も大好きだったし。いまでも、あの苦労を共にした戦友みたいに思えるの」<ref name="正論" />と語っている。結核で正業に就けない澁澤のため、看護婦代わりに献身的に尽くしていた<ref name="ユリイカ" />。このころ、澁澤の要求で4度にわたって[[妊娠中絶]]を行い、その結果、子供を産めない体となった<ref>矢川澄子『兎とよばれた女』</ref>。みずからも妻に繰り返し妊娠中絶させていた[[埴谷雄高]]は自己批判をこめて「[[武田泰淳|武田(泰淳)]]も澁澤も、本当に女房に対してはだめな男。僕の世代は本当にだめですよ。男性横暴で威張っている」「僕の女房も、[[武田百合子|百合子]]さんも矢川さんも本当にかわいそうだと思う」<ref>『五木寛之対談集──正統的異端』</ref>と発言している。松山俊太郎は、矢川が「子供を産みたいと思ったことはなかった」と言ってみたり「産みたかった」と言ってみたり態度が一貫しなかった点を捉え、矢川のことも批判している<ref name="ユリイカ" />。このほか、澁澤は娼婦との妻妾同衾を矢川に要求したことがあると自ら認めている([[丸山明宏]]との対談における澁澤の発言)。
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== 翻訳 ==
*暦物語([[ベルトルト・ブレヒト|ブレヒト]])[[現代思潮社]] 1963
*迷宮としての世界 マニエリスム美術([[グスタフ・ルネ・ホッケ]]、種村季弘共訳)[[美術出版社]] 1966
*最後の夏(R.フーフ)[[新書館]] 1967
*イルカの夏(カテリーネ・アルフライ)[[岩波書店]] 1969
*クレーン([[ライナー・チムニク]])[[福音館書店]] 1969
*おばけリンゴ([[ヤーノシュ]])福音館書店 1969
*たるの中から生まれた話([[テオドール・シュトルム|シュトルム]])[[学習研究社]] 1969 のち福武文庫
*タイコたたきの夢(ライナー・チムニク)福音館書店 1969 『クレーン タイコたたきの夢』福武文庫
*トンデモネズミ大活躍([[ポール・ギャリコ]])[[岩波書店]] 1970
*ふしぎなマチルダばあや(クリスチアナ・ブランド、[[エドワード・アーディゾーニ]]絵)学習研究社 1970
*ベーバとベーバ(エリカ・リレッグ)学習研究社 1970
*さすらいのジェニー(ポール・ギャリコ)学習研究社 1971 のち角川文庫
*こりすのホプシー(ハンス・ピーター・ティール)講談社 1971
*あめのひ(ユリー・シユルヴィッツ)福音館書店 1972
*こんにちはトラクター・マクスくん(ビネッテ・シュレーダー)岩波書店 1973
*まっくろネリノ(ヘルガ・ガルラー)[[偕成社]] 1973
*ふたりと三びきの長い旅(エリカ・リレッグ)学習研究社 1973
*[[アルプスの少女ハイジ|ハイジ]]([[ヨハンナ・シュピリ|J・シュピーリ]])福音館書店 1974
*キスなんて大きらい([[トミー・ウンゲラー]])[[文化出版局]] 1974
*[[ババール|ぞうのババール]] こどものころのおはなし([[ジャン・ド・ブリュノフ]])[[評論社]] 1974
*ババールのしんこんりょこう(ブリュノフ)評論社 1974
*おうさまババール(ブリュノフ)評論社 1974
*ぶたのしあわせ(ヘレン・オクセンバリー)文化出版局 1974
*ねえさんといもうと([[シャーロット・ゾロトウ]])福音館書店 1974
*ねずみのティモシー(マルチーヌ・ブラン)偕成社 1975
*ババールといたずらアルチュール(ブリュノフ)評論社 1975
*ババールとりのしまへ(ブリュノフ)評論社 1975
*ラ・タ・タ・タム ちいさな機関車のふしぎな物語(ペーター・ニクル)岩波書店 1975
*雪のひとひら(ポール・ギャリコ)新潮社 1975 のち文庫
*ババールのひっこし(ブリュノフ)評論社 1975
*ババールのはくらんかい(ブリュノフ)評論社 1975
*ババールとグリファトンきょうじゅ(ブリュノフ)評論社 1975
*ほんものの魔法使 罪のないお話(ポール・ギャリコ)[[大和書房]] 1976 のち[[ちくま文庫]]
*ハメルンの笛ふき([[ロバート・ブラウニング]]詩、[[ケート・グリーナウエイ]]絵)文化出版局 1976.9
*あれみるくかな?(チャールズ・G.ショウ)[[ほるぷ出版]] 1976.3
*お友だちのほしかったルピナスさん(ビネッテ・シュレーダー)岩波書店 1976.12
*クリスマス・イブ([[マーガレット・W・ブラウン]])ほるぷ出版 1976
*マザーグース・ファンタジー([[東逸子]]銅版画)[[すばる書房]] 1977.3
*いつかはきっと…(シャーロット・ゾロトウ文、[[アーノルド・ローベル]]絵)ほるぷ出版 1977.1
*ゴッケル物語([[クレメンス・ブレンターノ]])[[月刊ペン社]] 1977.6
*アンジェロとロザリーヌ(ベッティーナ)文化出版局 1978.5
*シュゼットとニコラ 1-6([[市川里美]])[[冨山房]] 1978-1985
*七つの人形の恋物語(ポール・ギャリコ)[[角川文庫]] 1978.6
*ジムとまめの木([[レイモンド・ブリッグズ]])評論社 1978.8
*ぞうさんレレブム(ビネッテ・シュレーダー)岩波書店 1978.9
*ゆめうりおじさん(リーゼロッテ・シュヴァルツ)[[冨山房]] 1978.12
*[[パウル・クレー]](カタリン・デ・ヴァルタースキリヒェン)シュルレアリスムと画家叢書「骰子の7の目」第8巻 [[河出書房新社]] 1978.5
*にいさんといもうと(シャーロット・ゾロトウ)岩波書店 1978.7
*月へ行った魔術師(クリスチーナ・トゥルスカ)評論社 1978.12
*[[ジャンヌ・ダルク]](M.ブーテ・ド・モンヴェル)ほるぷ出版 1978.3
*てつだいなんてするものか(クルト・バウマン)[[佑学社]] 1979.1
*風の妖精たち(メアリ・ド・モーガン)[[岩波少年文庫]] 1979.2
*まほうのレンズ(リチャード・ヒューズ)岩波書店 1979.3 のち少年文庫
*スーパーうさぎ(ヘルメ・ハイネ)佑学社 1979.6
*アーチボルドのほっぺた(ビネッテ・シュレーダー)ほるぷ出版 1979.7
*へんしんへんしん(ヘルメ・ハイネ)佑学社 1979.10
*パナマってすてきだな(ヤーノシュ)[[あかね書房]] 1979.9
*エドワルトの夢(ウィルヘルム・ブッシュ)月刊ペン社 1979.11
*ジャングル学校(リチャード・ヒューズ)岩波書店 1979.11
*[[少年の魔法の角笛|ふしぎな角笛]] ドイツのまざあぐうす(ブレンターノ、[[アヒム・フォン・アルニム]]編)大和書房 1979.3
*わにくん(ペーター=ニクル)偕成社 1980.1
*トマシーナ(ポール・ギャリコ)角川文庫 1980.6
*けいとのつばさ(キキ・ラドヴィッツ)佑学社 1980.7
*カタリンのなつやすみ(ヘルメ・ハイネ)佑学社 1980.8
*ねずみのヘンリー(マルチーヌ=ブラン)偕成社 1980.9
*あさなゆうなに こどものための詩集1(エレイン・モス選)冨山房 1980.10
*ゆうかんになったユージン(エレン・コンフォード)[[国土社]] 1980.12
*おひとよしのくま(ジーナ・リュック=ポーケ)[[メルヘン社]] 1980.12
*ろばくん一代記(フィリップ・デュマ)文化出版局 1981.2
*セーヌの釣りびとヨナス(ライナー・チムニク)[[童話屋]] 1981.3
*ヨーザとまほうのバイオリン(ヤーノシュ)偕成社 1981.5
*うまにのったお人形(マックス・ボリガー)メルヘン社 1981.9
*ほたるの子ミオ(ボリガー)メルヘン社 1981.9
*朝をよぶ声(マックス・クルーゼ)メルヘン社 1981.12
*ゆきだるまのおきゃくさま(ヤーノシュ)偕成社 1982.12
*どうぶつたちのおめしかえ(パスカル・アラモン)[[福武書店]] 1982.3
*いちばんぼしみつけた こどものための詩集・2(シンシア・ミッチェル選)冨山房 1982.6
*アルプスの花物語(エルンスト・クライドルフ)童話屋 1982.11
*妖精たち小人たち(クライドルフ)童話屋 1982.11
*フォックスおくさまのむこえらび(コリン夫妻)ほるぷ出版 1983.6
*花を棲みかに(クライドルフ)童話屋 1983.11
*森の賢者ヒダエモン([[ミヒャエル・エンデ]])河出書房新社 1984.1
*サーカス物語(エンデ)岩波書店 1984.7
*まぼろしのトマシーナ(ギャリコ)大和書房 1984.10
*ふしぎな子([[E.T.A.ホフマン]])冨山房 1985.12
*[[若草物語]]([[ルイーザ・メイ・オルコット|L.M.オールコット]])福音館書店 1985.3
*ゆきのプレゼント(ベアトリス・シェンク・ド・レーニエ文、ライナー・チムニク絵)童話屋 1986.12
*しろくまくん、どこへ?(ハンス・ド=ビア)童話屋 1987.11
*アーサー・サヴィル卿の犯罪([[オスカー・ワイルド]]、[[小野協一]]共訳)[[国書刊行会]] 1988.7
*妖精の国で(W.アリンガム詩)ちくま文庫 1988.12
*ババールとサンタクロース(ブリュノフ)[[評論社]] 1988
*12月くんの友だちめぐり(ミーシャ・ダミヤン)[[西村書店]] 1988.12
*スノーグース(ポール・ギャリコ)王国社 1988.9 のち[[新潮文庫]]
*オフェリアと影の一座(ミヒャエル・エンデ)岩波書店 1988.10
*はだかのサイ(ミヒャエル・エンデ)岩波書店 1988.10
*アーサーと北風(カルメン・デ・ポサダス・マニェ)[[原生林 (出版社)|原生林]] 1989.12
*むぎばたけ([[アリスン・アトリー]])福音館書店 1989.7
*しろくまくん、つれてって!(ハンス・ド・ビア)童話屋 1990.9
*ひとりっこのオリー(バーニー・ボス)童話屋 1990.2
*[[不思議の国のアリス]]([[ルイス・キャロル]])新潮社 1990.2 のち文庫
*[[鏡の国のアリス]](ルイス・キャロル)新潮社 1991.1 のち文庫
*セーヌの釣りびとヨナス・いばりんぼの白馬(ライナー・チムニク)福武文庫 1991.4
*ザ・ロンリー(ポール・ギャリコ、[[前沢浩子]]共訳)王国社 1992.6 のち新潮文庫
*子供の十字軍(ベルトルト・ブレヒト)[[マガジンハウス]] 1992.1
*おおきなリスとちいさなサイ(ミーシャ・ダミヤン)童話屋 1993.5
*「きよしこの夜」が生まれた日(ポール・ギャリコ)大和書房 1994.12
*しまうまのしゃっくり(デーヴィッド・マッキー)[[徳間書店]] 1995.8
*フィオナの海(ロザリー・K.フライ)[[集英社]] 1996.6
*フィオリモンド姫の首かざり(メアリ・ド・モーガン)岩波少年文庫 1996.9
*針さしの物語(メアリ・ド・モーガン)岩波少年文庫 1997.10
*てんごく(ニコラス・アラン)[[河合楽器製作所]]・出版事業部 1998.2
*帰ってきた星の王子さま(ジャン・ピエール・ダヴィッド)[[メディアファクトリー]] 1998.11
*花の名物語100(ダイアナ・ウェルズ)[[大修館書店]] 1999.6
*[[少年の魔法の角笛|少年の魔法のつのぶえ]] ドイツのわらべうた(ブレンターノ/アルニム編、[[池田香代子]]共訳)岩波少年文庫 2000.6
*シェイクスピア物語([[チャールズ・ラム]])岩波少年文庫 2001.9
*そらへのぼったおばあさん(サイモン・パトック)徳間書店 2001.4
*オテサーネク(エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー)[[水声社]] 2001.12
*ゆうかんになったユージン(エレン・コンフォード)[[リブリオ出版]] 2002.5
*スナグルポットとカドルパイ 森の精霊の冒険ファンタジー(メイ・ギブス)メディアファクトリー 2002.3
*小鳥たち([[アナイス・ニン]])新潮社 2003.4 のち文庫
 
== 参考文献 ==
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[[Category:学習院大学出身の人物]]
[[Category:東京大学出身の人物]]
[[Category:自殺した人物渋沢家]]
[[Category:東京都区部出身の人物]]
[[Category:自殺した人物]]
[[Category:1930年生]]
[[Category:2002年没]]
[[Category:自殺した人物]]