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{{改名提案|シャベル|date=2016年9月}}
{{出典の明記|date=2014年1月}}
[[File:Solid spade (frog view).jpg|right|thumb|220px|シベル]]
'''シベル'''({{Lang-en|shovel}})は、土砂、[[石炭]]、砂利、[[雪]]などの粗い粉状の素材を持ち上げて移動させるための[[道具]]であり、柄と柄の先端に取り付けられたスプーン状の幅広の刃からなる。'''シベル'''とも表記される。[[漢字]]では'''円匙'''と書き、「えんし」または「えんぴ(本来は誤読だが[[日本軍|旧日本軍]]・[[自衛隊]]を中心に呼称される)」と読む。[[方言]]で'''シャボロ'''と呼ぶ地方もある。'''スコップ'''({{Lang-nl|schop}})は本来同義語であるが、使い分けている場合が多い([[シベル#シベルとスコップ|後述]])。同様の目的を持つ大型の土木機械([[油圧ショベル]])もシベルと呼ばれる。
 
== シベルとスコップ ==
[[日本]]の[[JIS規格]]では足をかける部分があるものを'''ショベル'''(シャベルではなくショベルと定義されている)、無い物を'''スコップ'''と記されている<ref name=jis>[http://kikakurui.com/a8/A8902-1988-01.html 日本工業規格 ショベル及びスコップ]</ref>。西日本地域では、足をかける部分があるものをシベル、無い小型の物をスコップと呼び、このJIS規格に概ね沿った呼び名で広く使われている。しかし、東日本地域では、人力で掘るために足をかける部分のあるものをスコップと言い、JIS規格や西日本地域の呼び方と入れ替わっている。それらの代表的なものが剣先スコップ・角スコップである。
 
また、大型の物をショベル、小型の物をスコップと区別する場合もある。一般には大きさによってシベルとスコップを使い分けており、西日本では大型のものをシベル、小型のものをスコップと呼ぶ。逆に、おもに東日本では大型のものをスコップ、小型のものをシベルと呼ぶ人が多い<ref>{{Cite web |url=https://japanknowledge.com/articles/blognihongo/entry.html?entryid=215 |title=第203回 「スコップ」と「シャベル」 |accessdate=2014-07-16 |author=神永 曉(小学館国語辞典編集部) |date=2014-03-24 |work=日本語、どうでしょう? |publisher=[[ジャパンナレッジ]]|language=}}</ref>。
 
== 規格 ==
[[日本工業規格]](JIS)では土木用・農事用・家庭用のショベルおよびスコップについて、'''JIS A 8902 ショベル及びスコップ (Shovels and Scoops)'''として規格化されている<ref name=jis />。原案作成は全国ショベル・スコップ工業協同組合で、[[1954年]]([[昭和]]29年)[[1月30日]]に制定された。[[1988年]](昭和63年)[[1月1日]]付けで改正されたJIS A 8902では、土砂などをすくう先端部を'''[[スプーン|さじ]]部'''、柄を'''軸部'''または'''柄部'''、末端の持ち手を'''握り部'''と称し、さじ部には規定の[[成分]]からなる[[鋼板]]またはこれと同等以上の品質の鋼板を、軸部には[[カシ]]またはこれに準じる品質の堅い[[木材]](規定の[[含水率]]以下)か、構造用[[鋼]]・[[ステンレス鋼]]・[[アルミニウム]]・[[樹脂]]などの[[パイプ]]を材料に用いるよう定めている。ショベルおよびスコップの図面が記載された付図を参照すると、さじ部が足を掛けることのできる形状になっているものがショベル(付図1 - 5)、そうでないものがスコップ(付図6)となっており、ショベルのうち、さじ部の形状がとがっているものを'''丸形'''(付図1、3)、四角いものを'''角形'''(付図2、4)としている。また、握り部については[[アルファベット]]の[[Y]]の字の形と定めている。
 
== 種類 ==
[[File:Steel trowel.jpg|thumb|150px|園芸用こて]]
ベルは使用目的に合わせて様々な種類がある。
表面にはさび止めの塗装や鍍金が施されるが、砂利等と擦れることにより短期間で摩滅してしまう。この状態で泥がついたまま放置するとたちまち腐食してしまうため、使用後は洗い流し乾燥させてから保管する。
 
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; 窓スコップ
: ブレードにいくつも穴が開けられている、粒の大きい砂利を篩い分けたり、粘土質など固まりやすい対象をすくうためのスコップ。通常のスコップより軽いため、大きな土塊になるものを扱う作業の労力を軽減する。
; 石炭用シベル
: 幅広で平らな刃を持ち、[[石炭]]がこぼれ落ちないように刃の両脇が曲げられている。'''D'''の字状(柄から二又に分かれた取っ手に横棒)の取っ手が付いている。
; [[除雪#建築物における除雪|雪かき用シャベル]]
: 刃は[[アルミニウム]]や[[プラスチック]]製の軽量で、非常に幅広で湾曲している。取っ手として柄に横棒が取り付けられている。[[雪]]を押し、持ち上げるように設計されている。老若男女を問わず扱えるように軽量化した代償としてブレードが軟らかい材質で作られており、特に舗装路上で使うと急速に磨耗するのが欠点で、消耗品として割り切る必要がある。
; スペード([[英語]]:spade)
: 土掘り用のシベルで、刃はゆるく湾曲しており両脇は無い。刃の先端は尖っているが、反対側は平たく成形されている。刃を地面に突き刺して土をすくう。この時刃の平たい部分に足を掛け、体重を載せる事で刃を地面に深く差しこむことができる。spade(原義は「剣」)の日本語訳としては[[鋤|踏み鋤]]が当てられるが、こちらは農具である。
; 塹壕用シベル
: 軍用シベルである。刃の形状は剣先スコップ、もしくはスペード型に似ている。塹壕用シベルの第一義的な任務は[[塹壕]]を掘ったり整備したりすることであるが、塹壕戦においては敵兵との不意の遭遇も多かった。そのころには刀槍による[[白兵戦]]は廃れていたが、手持ちのシベルは近接格闘・護身には有用な[[武器]]になることから、殺傷力を高めるために縁を研いで刃付けするものがあった。現在は折りたたみ可能な物が主流であるため、武器としての利用には適さないことが多い。
; 園芸用こて([[英語]]:[[:en:Trowel|trowel]])
: 片手で持つ小型のシベルで、苗の植え替えなど[[園芸]]用途に用いるもの。'''移植ごて'''とも呼ぶ。
 
== 軍隊でのシベル ==
[[File:USMC ETool.jpg|thumb|150px|[[折畳式]]の[[w:Entrenching tool|Entrenching tool]]]]
ベルは戦場において、特に[[第一次世界大戦]]以来、飛び交う銃弾や砲爆弾の破片から生身の兵士が命を守るための[[塹壕]]を掘る道具として、また自らの排泄行為のために地面に穴を掘るための道具(排泄物の臭気を巻き散らさない事は戦場の住環境を守るためだけでは無く、敵側に気配を察知されないためでもある)として必需品となった。ときには[[白兵戦]]の際の打突[[武器]]としても有用である。[[第二次世界大戦]]の時[[ソビエト軍]]兵士と[[赤軍パルチザン]]もシャベルを白兵武器として使い、現代の[[ロシア軍]][[スペツナズ]]もシベルを使う戦闘技術を訓練している。このため[[歩兵]]を筆頭とする[[兵士]]の個人携行物となっているほか、多くの[[軍用車両]]の装備品の一つとしてシャベルが採用されている。これらは車内に納められるか車外に[[ツルハシ]]や[[ジャッキ]]などとセットでクランプ留めにされ、車両がスタックした場合や[[陣地]]を構築する際に活用される。
 
[[大日本帝国陸軍|日本陸軍]]では土木工事用の大きなシベルを「大円匙(だいえんぴ)」、携行用を「小円匙(しょうえんぴ)」と呼び分けていた。大円匙は工兵が使用するものであり、工兵達は歩兵の携帯する小円匙を「耳かき」と呼んで軽んじてたという。兵士の個人携行物の一つである小円匙は、柄の中ほどと、刃の上側(柄の取りつけ部付近)に孔が設けられており、ここにロープを通して肩に担えるようになっていた。柄頭部分に取っ手は無いが先端は丸く成形されている。折りたたむことはできないが、柄は外すことができ、携行時は二つに分離して[[背嚢]]に下げる。なお[[1930年代]]後半に制式採用された[[九八式円匙]]の刃部は[[防弾]]鋼鈑で作られ、刃中央部の孔を覗き穴として、簡易な[[防楯 (日本軍)|防盾]]([[盾]])として使用できるようになっていた。
 
[[アメリカ陸軍]]では、[[第二次世界大戦]]中の[[1943年]]にM1943 [[w:Entrenching Tool|Entrenching Tool]](直訳すると「1943年型塹壕掘り工具」)を採用している。M1943は柄と刃の取りつけ部分が回転して[[折りたたみ]]ができる設計で、携行に優れるだけで無く、刃が柄と90度の角度で固定できるので、[[鍬]](くわ)のように使うことができた。柄頭部分に取っ手はない。同様の構造のものが、現在でも各国で軍用あるいは民生用として製造されている。
 
[[ソビエト連邦軍]]([[赤軍|労農赤軍]])は[[銃砲身|砲身]]部分を柄として、[[スペード]]形の底板を刃として組み替える、[[迫撃砲]]兼シベルとなる特殊な兵器を装備していた([[37mm軽迫撃砲]])。後継兵器として、現代ロシア軍にも単発式[[グレネードランチャー]]兼シベルとなるものが存在する。
 
== 脚注 ==
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* [[スコップ三味線]]
 
{{DEFAULTSORT:しへる}}
[[Category:道具]]
[[Category:建設機械]]