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『'''バットマン:ダークナイト・リターンズ'''』(Batman:The Dark Knight Returns)は、[[DCコミックス]]が出版する[[アメリカンコミック]]『[[バットマン]]』のミニシリーズとして[[1986年]]2月から6月まで4巻が出版された。2001年には続編の『[[バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン|バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン(Batman:The Dark Knight Strikes Again)]]』が出版された。ライターは[[フランク・ミラー]]、インカーはクラウス・ジャンソン。10年前にバットマンを引退したブルース・ウェインは犯罪と戦うために活動を再開する。しかし、その活動はゴッサムシティ警察と政府から反対される。物語はキャリー・ケリーを新たな[[ロビン(バットマン)|ロビン]]として紹介し、[[スーパーマン]]との対決で絶頂に達する。
 
日本では[[1998年]]に[[小学館集英社プロダクション|小学館プロダクション]]から[[柳下毅一郎]]の邦訳で『バットマン:ダークナイト・リターンズ』が出版された。[[2009年]]に[[小学館集英社プロダクション|小学館プロダクション]]より『バットマン:ダークナイト・リターンズ』と『バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン』を収録した『DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』が出版された。
 
== プロット ==
; '''1.''' ."The Dark Knight Returns"
 
: 引退から10年、バットマンことブルース・ウェインは55才になっていた。ゴードン市警本部長と引退10周年を祝った帰り、ブルースは両親が殺された街灯の下でゴッサムを徘徊する[[ストリートギャング]]、ミュータント団に襲われる。ブルースの佇まいに恐れを抱いたミュータント団は逃げ出すが、ブルースは引退を後悔していた。
ブルース・ウェインは[[ロビン (バットマン)|ジェイソン・トッド]]の死により10年前にバットマンを引退した。55才になったウェインは衰弱していたが、ゴッサムシティの為にバットマンは必要だと復帰を考える。
: その頃、[[アーカム・アサイラム]]ではブルースの資金援助による、[[トゥーフェイス]]の顔を元に戻す手術が成功していた。医師団はこれでトゥーフェイスは消え去ったと宣言する。しかし、トゥーフェイスはかつての部下の所に現れる。
[[アーカム・アサイラム]]で[[トゥーフェイス|ハービー・デント]]は精神治療と整形手術(ウェインが資金を出した)を受け、治療は完了したとして退院した。しかし、デントは身代金を目当てに爆弾で都市を占拠する。 バットマンはデントを倒す際に、顔は修復されたにもかかわらず、デントの心が完全にトゥーフェイスである事を理解する。
: 帰宅したブルースは悪夢にうなされる。6歳の頃、ウサギを追って穴に落ちたブルースは、洞窟で巨大な蝙蝠に遭遇したのだった。
 
: 眠れぬブルースはTVをつけるが、TVに映ったのは両親が殺された日に見に行った「[[奇傑ゾロ]]」だった。両親の死が脳裏に浮かび上がったブルースはチャンネルを変えるが、映るのは犯罪のニュースばかり。我慢の限界だったブルース。こうしてバットマンはゴッサムに帰ってきた。
; '''2.''' ."The Dark Knight Triumphant"
: しかし、社会は彼の自警行為を認めず、医師団は彼を異常者呼ばわりし、ミュータント団のボスは彼に宣戦布告をする。そして、アーカムで廃人と化していた[[ジョーカー (バットマン)|ジョーカー]]は彼の復活で意識を取り戻す。
 
: トゥーフェイスがゴッサムのツインタワーに爆弾を仕掛け市を脅迫する。しかし爆弾はジョーカーの部下により細工が加えられており、結果にかかわらず爆発するようになっていた。死闘の末、トゥーフェイスを捉えたバットマンは、トゥーフェイスの傷一つ無い顔の内面に、傷だらけの彼の姿を見る。
バットマンはミュータント団と呼ばれているギャングから、13才のキャリー・ケリーを救う。 ケリーは模造品のロビンのコスチュームを買って、バットマンを助ける為に彼を捜し、バットマンを発見する。そこではバットマンとミュータント団の軍隊が戦っていた。バットマンは兵器でミュータント団の軍隊を破るが、ミュータント団のリーダーは白兵戦でバットマンを倒す。 ケリーは牽制してバットマンが逃げるのを手伝う。ジェームズ・ゴードン本部長と新しいロビンの助けを借りて、バットマンは自身の力でミュータント団のリーダーを破り、ミュータント団は解散する。そして、一部は犯罪者に過度の暴力を使用する自警団体“Sons of Batman(バットマンの息子達)”に名前を変える。
; 2. The Dark Knight Triumphant
 
: バットマンの自警行為に、政府はバットマンの逮捕を目的としてエレン・インデルをゴードン本部長の後釜に据えた。
;'''3''' 4.."Hunt The Dark Knight Falls"
: 市民はバットマンの復活を歓迎し、かつて彼に救われた13歳のキャリー・ケリーは[[ロビン (バットマン)|ロビン]]のコスチュームを自作し、自警活動を開始する。
 
: その頃、バットマンはゴッサムを牛耳るミュータント団にバットタンクで攻撃を仕掛けていた。バットマンはミュータント団のボスの挑発に乗って直接対決に挑み、窮地に立たされる。止めを刺されそうになったバットマンはキャリーによって救われるのだった。
ホワイトハウスで大統領はスーパーマンにバットマンを逮捕する可能性を示唆して、大統領とスーパーマンはゴッサムシティでのイベントを検討する。 そして、スーパーマンは第三次世界大戦に火をつけるかもしれないアメリカとソビエトの戦争でアメリカを支援する。バットマンの復帰はアーカム・アサイラムで廃人になっていたジョーカーを目覚めさせた。ジョーカーはテレビのトークショーの出る事を許すようにウォルパー博士を誘導して、テレビスタジオで有毒ガスを使って逃亡する。バットマンとロビンはジョーカーを追う。ジョーカーは遊園地で人々を殺していた。バットマンは激しい戦いの末にジョーカーを破る。バットマンに殺人の罪を負わせるために、ジョーカーは自身の首を折って自殺する。ゴッサム警察との対立の後にバットマンは逃走する。そして、バットマンに対する警察の捜査が始まった。
: [[ホワイトハウス]]では[[アメリカ合衆国大統領|大統領]]がスーパーマンにバットマンの処遇を任せようとしていた。
 
: ブルースの最後の願いを聞いたゴードンは、刑務所に入れられていたミュータント団のボスへやってくる。[[鉄格子]]を開け、ボスがダクトを抜けて行き着いた場所にはバットマンとミュータント団の手下が待ち構えていた。再び死闘を繰り広げるが、前とは違い、バットマンの前にボスは敗れ去った。
; 3. Hunt'''4''' ."The Dark Knight Falls"
 
:ミュータント団はバラバラになり、その一部は「バットマンの息子」を名乗って過激な自警活動を開始する。
アメリカに敗北したソビエトは[[核弾頭]]をアメリカに向けて発射する。スーパーマンはソビエトの発射した[[核弾頭]]の進路を変えて砂漠で爆発させる。アメリカ合衆国は[[電磁パルス]]の影響を受けて停電し、バットマンは停電から最悪の事態を悟る。そして、バットマンとロビンはバットマンの息子達や刑務所に収監されていたミュータント団を率いて、ゴッサムシティの混乱を鎮圧する。ゴッサムシティは、電磁パルスの最中で最も安全な都市になる。政府はこれを当惑とみなして、スーパーマンにバットマンを片付けるよう命令する。オリバー・クイーンは、政府に仕えているスーパーマンと一匹狼のバットマンは最終的に対立をするとウェインに予測する。スーパーマンはバットマンに会うことを要求し、 バットマンは死ぬかもしれないということを知って両親が殺された路地を場に選ぶ。バットマンは核爆発で瀕死になった事に起因するスーパーマンの弱さに頼る。スーパーマンはバットマンに道理を説こうとするが、バットマンはスーパーマンに白兵戦と兵器を使って戦いを挑む。戦いの中でクイーンがスーパーマンを弱めるために、クリプトンナイトが先端に付いた矢を射る。バットマンはスーパーマンを倒し、より強力なクリプトンナイトを使わない事により、スーパーマンの命を故意に助けた事を明らかにする。これはバットマンのやり方から離れているスーパーマンへの警告を意味していた。バットマンは心臓発作により突然死ぬ。アルフレッド・ペニーワースは脳卒中で死ぬ前に、ウェインマナーとバットケイブを爆破する。そして、バットマンはブルース・ウェイン(財産は消えた)であると暴かれる。 ウェインの葬式の後、彼の死は自身の開発した化学薬品を使って行われたことが明らかになる。クラーク・ケントは葬式に参列していた。クラークは墓からウェインの鼓動が再開するのを聞き、ロビンにウィンクする。ブルース・ウェインはケイブを越えてロビン、クイーンと残りの彼の支持者を洞穴に案内して、犯罪と戦い続ける準備をする。
:新たな本部長インデルは自身の就任式でバットマン捕縛を宣言。大統領の命を受けたクラーク・ケントことスーパーマンはバットマンと接触し、活動を止めようと説得するがバットマンは交戦をも辞さない態度で拒否する。
:アメリカはソ連と局地的な軍事衝突を起こし、スーパーマンは米軍支援の為に戦場に赴く。
:ゴッサムではジョーカーが部下と市民を虐殺して脱走し、[[上院議員]]や[[州知事]]に対し[[テロ]]を行う。バットマンはロビンとジョーカーを追って遊園地へ向かった。死闘の末にジョーカーを絞殺まで追い詰めるが、あと一歩という所で躊躇う。ジョーカーは笑いながら自ら首を折って自殺する。
; 4. The Dark Knight Falls
:インデルはSWATを引き連れて遊園地に赴き、そこでジョーカーの死体を発見する。インデルはバットマンの射殺を命じるが、ロビンによって救出される。
:スーパーマンと米軍に敗北したソ連は、特殊な大型[[核弾頭]]を米軍に向けて発射。スーパーマンが砂漠の無人地帯に向かうよう軌道を変えるのに成功するが、爆発の際の[[電磁パルス]]によりあらゆる電子機器が停止する。アルフレッドにジョーカーから負わされた傷の治療を受けていたバットマンは、停電から最悪の事態を悟る。
:核発射のニュース、停電、飛行機の墜落、火災、巻き上げられた塵による太陽光の遮断、それに伴う寒冷化と立て続けに災害に見舞われたゴッサムはパニックに陥る。バットマンは、「バットマンの息子」や刑務所に収容されていたミュータント団の残党を従えて自警団を結成し街の混乱を鎮めるべく奔走する。
:スーパーマンも核爆発のダメージから回復し、[[戒厳令]]を敷いた大統領は、バットマンを管理下におくべくスーパーマンをゴッサムに再び派遣する。
:バットマンはスーパーマンとの対決に両親が殺された路地を選び、様々な兵器を用意してスーパーマンを攻撃する。ほとんどの兵器はスーパーマンに通用せずピンチに陥るが、本当の切り札は[[グリーンアロー]]が放ったクリプトナイトの矢であった。形勢逆転したバットマンはスーパーマンを倒す。そして心停止で倒れる。ケイブを自爆させたアルフレッドも死を迎えるのだった。
:その死によって正体が明らかとなったブルース・ウェインの葬儀に様々な人が訪れる。列席者の中にはクラークの姿もあった。埋葬が済み、立ち去ろうとしたクラークはバットマンの墓から密かな心臓の鼓動を聞く。
 
== キャラクター ==
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:95歳。ブルースの信頼できる執事。
; [[ロビン (バットマン)]](キャリー・ケリー) ''[[:en:Robin (comics)|Robin]]''
:13歳。両親不在の少女。彼女はバットマンの命を守り、老いたバットマンはアルフレッドの異議に反して彼女に信頼を置きバットマンの相棒、ロビンにする。
; ジェームズ・ゴードン ''[[:en:James Gordon (comics)|James Gordon]]''
:70歳。ゴッサムシティ警察本部長。70歳の誕生日に引退する。彼はバットマンの正体を知っいる。
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:58歳。ハーヴェイ・デントは[[アーカム・アサイラム]]で12年を過ごし、ウォルパー博士によって3年間の整形手術で彼の顔は修復されてる。デントの医者は彼に精神的健康証明書を提供するが、彼の心の中はトゥーフェイスままだった。デントは顔に傷跡があるかのように、包帯でぐるぐる巻きにしている。
; [[ジョーカー (バットマン)|ジョーカー]]
:廃人になっていたが、バットマンの復帰を聞いて緊張状態から目覚める意識を取り戻した。最終対決につながるイベントを作り、バットマンを引き出すために残忍な犯罪の酒宴を計画している。
; ミュータント団のボス
:ミュータント団の狡猾、残忍なリーダー。ゴッサムを支配するために反抗する人間を殺そうとする。
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:トゥーフェイスとジョーカーの精神科医。バットマンをファシストだと批判する。ウォルパーはジョーカーとトゥーフェイスはバットマンの犠牲者だと確信している。ジョーカーをテレビスタジオに連れて行ったが、彼に有毒ガスで殺される。
; エレン・インデル
:35歳。本部長としてジェームズ・ゴードンの後継者。バットマンを批判否定してゴードンと意見が対立する。本部長の就任には政治的思惑が絡んでいた。彼女はバットマンの評論家だが、ジョーカーの犯罪の酒宴の後に自分自身を疑う。
; [[グリーンアロー]](オリバー・クイーン) ''[[:en:Green Arrow|Green Arrow]]''
:63歳。スーパーヒーローが非合法化された後、クイーンは原子力潜水艦の沈没を含む政府の弾圧に対する秘密の反乱を行ってた。彼はスーパーマンを非難するために左腕を失った。この障害にもかかわらず、クイーンはまだ非常に熟練した射手である。
; [[スーパーマン (架空の人物)|スーパーマン]](クラーク・ケント)
:55歳。米国政府のエージェントであり、正体デイリープラネットの記者であるクラーク・ケントである事は公に知られている。彼の心の内では、彼を道具として扱う政府を軽蔑している。それゆえに物語の最終的な敵対者としてバットマンと戦う。彼はこの日および年齢で命を救うことができる唯一の方法であると考えている。最後のクライマックスでは、スーパーマンは政府からの反対を取り除くために最後の試みでバットマンと戦うが、クイーンの放ったクリプトナイトの矢で弱体化され、装甲を纏ったバットマンは彼を放置した。
; [[キャットウーマン|セリーナ・カイル]]
:52歳。セリーナ・カイルはキャットウーマンを引退して、エスコートビジネスを経営している。