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過去には、タイヤの進行方向に対しておよそ+60度と-60度の角度で交差するコード(プライ)によって構成された繊維層が、平らな鋼製ドラムの上に積み上げられるようにして作られたものが、'''バイアスタイヤ''' (bias ply tire<ref>正式名称は'''バイアスプライタイヤ'''。'''クロスプライタイヤ''' (cross-ply tire) と呼ばれる場合もある。</ref>) と呼ばれていた。コードは'''ビード'''と呼ばれる末端部の鋼製ワイヤーの部分で折り返され、ビードと'''[[トレッド (タイヤ)|トレッド]]'''、'''サイドウォール'''が結合された状態で形成される。カーカスが形成されたのみの状態の、グリーンタイヤと呼ばれるまだ表面形成されていないタイヤは、[[金型]]で圧縮と同時に加硫され、製品の形に成形されトレッドパターンも刻まれる。この成形過程において、コードはタイヤの左右のビードの間でビードワイヤーを中心材としてSの字を描くように張り巡らされる。トレッド上では回転方向に対して60度で張られたコードの角度は、トレッドの下ではの末端にあたるショルダー部分で90度に折り曲げられることでサイドウォール部分に移行し、この面ではコードの角度はビードの円周面に対しておおむね36度前後となる。この角度変化を'''クラウンアングル'''と呼び、前述のような場合にはクラウンアングル24度となる。後年にはコードの角度はサイドウォール上で45度、ビード上で60度<ref>つまり、クラウンアングルはサイドウォールでは15度、ビード上では0度となる。</ref>となるように設定された。浅いクラウン角度はトレッドを支持する剛性を、深いクラウン角度は乗り心地の良さをタイヤに与えることになった。
 
このような構造は、後述するラジアルタイヤのようなトレッド面へのベルト構造<ref>ひいてはカーカス、ブレーカー、トレッドを別に制作して最後に張り合わせる工程</ref>を必ずしも必要としないため、製造工程が単純で製品の価格も安価となる。また、タイヤ全体が容易に屈曲するために乗り心地もよく、前後[[リーフ式サスペンション|リーフ]][[車軸懸架|リジッド]]などでサスペンション性能が貧弱な初期の[[乗用車]]の乗り心地向上に貢献した。トレッド面、サイドウォール共にカーカスコードが斜めに配置されるために面積当たりのコードの量も多くなり、外部の衝撃に対する強度が高い頑丈なタイヤを作ることができる。ただし、容易に屈曲するということはより高い速度での[[転がり抵抗]]の増加も意味し、高速域でのコントロール性やトラクション性能が低くなり、発熱くなるという欠点が存在した。また、コードの量が多いということはそれだけタイヤが重くなるということも意味していたため、乗用車のエンジン性能および最高速度域の向上、ラジアルタイヤの製造技術や耐荷重性能の向上に伴い、次第に自動車用タイヤには用いられなくなっていった。[[車両総重量]]11t11 tを超える重[[貨物自動車|貨物車両]][[航空機]]などでは依然バイアスタイヤが用いられている例もあるが、8t8 t以下級の中量貨物車両まではほとんどがラジアルタイヤへと移行している。なお、[[スペアタイヤ]]に用いられる'''テンパータイヤ'''も構造上はバイアスタイヤであるが、このタイヤのみ'''ダイアゴナルタイヤ''' (diagonal tire) の呼称と表記が用いられる。
 
オートバイでは[[1980年代]]後半以前に設計されたものにおいて、バイアスタイヤが広くみられた。現在市場に多く流通しているサイズ'''以外'''の特殊なサイズを用いるものについては、今日でもバイアスタイヤのみしか選択肢がない場合もしばしば見受けられる。ただし、[[サスペンション (オートバイ)|サスペンション]]のセッティングによっては軽量なラジアルタイヤへの変更により、ばね下重量が軽くなりすぎてかえって乗り心地が悪化する(極端に軽量な[[アルミホイール]]の弊害と同じである)場合もあるため、バイアスからラジアルへの変更が可能な場合であっても注意が必要である。
 
=== ラジアルタイヤ ===
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