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'''育児休業'''(いくじきゅうぎょう)とは、子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業のことである。事業所により[[就業規則]]などで独自の上乗せ規定を設けられている場合もあるが、本項目では、日本において、[[1991年]]に制定された[[育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律]](平成3年法律第76号)(通称:育児介護休業法)によって定められた育児休業について説明する。
{{出典の明記|date=2013年7月}}
'''育児休業'''(いくじきゅうぎょう)とは、子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業のことである。事業所により[[就業規則]]などで独自の上乗せ規定を設けられている場合もあるが、本項目では、[[1991年]]に制定された[[育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律]](平成3年法律第76号)(通称:育児介護休業法)によって定められた育児休業について説明する。
この説明は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律(平成21年法律第65号)による2010年6月30日(ただし一部の規定は、常時100人以下の労働者を雇用する事業主については2012年7月1日。調停については2010年4月1日、勧告に従わない場合の公表制度等については2009年9月30日)以降の制度に基づくものである。
 
育児休業の期間中には、勤務の実態に基づき[[給与]]は支給されないか減額されるが、それを補うものとして、[[雇用保険法]](昭和49年法律第116号)第61条の4の規定により'''育児休業給付金'''の支給を受けることができる。休業は法律により定められている労働者の権利であるため、事業所に規定が無い場合でも、申し出により休業することは可能であり、問題がある場合には事業所に対して[[厚生労働大臣]]から助言・指導・勧告がなされる。
 
==休業取得の条件==
育児休業を取得するには、次の条件を満たすことが必要である。取得する者の'''男女は問わない'''。また、子が実子であるか[[養子]]であるかも問わない。家族などで事実上、子の世話が可能な者がいても、それに関係なく取得は可能である。事業所によっては[[就業規則]]などで独自の上乗せ規定を設けている場合もある。
 
===雇用の形態===
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===期間===
育児休業は、子が1歳に達するまでの間に取得することができる(法5条1項柱書本文)。[[産前産後休業|産後休業]]期間(出産日の翌日から8週間)は含まない。ただし、次のいずれかの事情がある場合には、1歳6か月まで取得できる(同条3項)。
#[[保育所]]に入所を希望し、申込みをしているが、入所できない場合(規則4条の2第1号)
#子の養育を行っている配偶者が、やむを得ない事情で養育が困難となった場合(同条2号各号)
また、配偶者と交替する形で育児休業を取得することができる。ただし、1人の子について1回限りしか育児休業を取得できない(法5条2項)。
 
厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」によると、育児休業制度の規定がある事業所において、子が何歳になるまで育児休業を取得できるかについてみると、「1歳6か月(法定どおり)」が84.8%(平成26年度同調査では84.9%)と最も高くなっており、次いで「2歳~3歳未満」9.2%(同7.6%)、「1歳6か月を超え2歳未満」4.0%(同4.6%)の順となっている。
 
===手続き===
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==育児休業給付制度==
育児休業期間中の賃金については、法令上は[[賃金]]の支払いを事業主に義務付けておらず、各事業所の就業規則等による。厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」によると、育児休業中の労働者に会社や企業内共済会等から金銭を支給している事業所割合は15.2%(平成24年度同調査では18.9%)であり、このうち「毎月金銭を支給する」は8.6%(同10.3%)にとどまっている。
 
育児休業の期間中ためは、勤務賃金実態に基づき[[給与]]は給さ払いを受けられないか減額されるが、それを補うものと者に対して、[[雇用保険法]](昭和49年法律第116号)第61条の4の規定により'''[[雇用保険#育児休業給付|育児休業給付金]]'''の支給を受けることができる。休業は法律により定められている労働者の権利であるため、事業所に規定が無い場合でも、申し出により休業することは可能であり、問題がある場合には事業所に対して[[厚生労働大臣]]から助言・指導・勧告がなされる。
次の条件をすべて満たした場合、育児休業給付を受けることができる。
#一般被保険者(短時間労働被保険者を含む)である
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#各支給単位期間において、休業開始時の賃金に比べ、80%未満の賃金で雇用されている。
 
支払われる育児休業給付金の金額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の'''67%(育児休業の開始から6か月180日経過後は50%)相当額'''である。ただし、各支給対象期間中(1か月)の賃金の額と育児休業給付金との合計額が賃金日額×支給日数の'''80%を超えるときには、当該超えた額が減額'''されて支給される。
 
==取扱い==
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==公務員の場合==
公務員は、国家公務員の育児休業等に関する法律3条<ref>および国会職員の育児休業等に関する法律、裁判官の育児休業に関する法律、地方公務員の育児休業等に関する法律。</ref>により、子が3歳に達する日まで育児休業をすることができる。
 
== 育児休業の取得の状況 ==
厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」によると、平成25年10月1日から平成26年9月30日までの1年間に'''在職中に出産した女性'''のうち、平成27年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は81.5%(平成26年度同調査では86.6%)、女性の有期契約労働者の育児休業取得率は73.4%(同75.5%)となっている。一方、同期間に配偶者が出産した男性のうち、平成27年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は2.65%(同2.30%)、男性の有期契約労働者の育児休業取得率は4.05%(同2.13%)となっている。男女間で大きな差があり、現在の日本では'''男性の育児休業取得率が極めて低い'''ことが、女性の就労や待機児童等の子育て支援問題の原因の一つと目されている。育児休業の取得期間をみても、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した女性の育児休業期間は、「10か月~12か月未満」が31.1%(平成24年度同調査では33.8%)と最も高く、次いで「12か月~18か月未満」27.6%(同22.4%)、「8か月~10か月未満」12.7%(同13.7%)の順となっている。一方、男性は「5日未満」が56.9%(同41.3%)と最も高く、'''1か月未満が8割を超えている'''。
[[育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律|育児介護休業法]]では育児休業は男女問わず労働者の権利として認められていて、雇用主は育児休業の申請に応じて雇用を維持しなければならないのだが、実際には正常に機能していない。日本の社会には、「男と女は異なる社会的役割がある。男は社会で働き家族を養う収入を得る。女は専業主婦として家事や育児をする。」という考えや、「育児休業を取得されたら、同じ職場で働く人にとっては迷惑でしかなく、また経営者にとっては甚大な損害である。」という考えを持ち、その考えに基づいて経営リスクを排除するため、結婚・妊娠・出産した女性を、様々な方法で退職に追い込んだり、降格および減給の対象とする暗黙の人事制度を実施している雇用主も多数存在する([[マタニティハラスメント]])。
 
厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」によると、育児休業制度の規定がある事業所の割合は、事業所規模5人以上では73.1%(平成26年度同調査では74.7%)、事業所規模30 人以上では91.9%(同94.7%)となっていて、規模が大きくなるほど規定がある事業所割合は高くなっている。特に事業所規模500人以上では100%となっている。産業別にみると、複合サービス事業(100%)、電気・ガス・熱供給・水道業(95.3%)、金融業、保険業(93.6%)で規定がある事業所の割合が高くなっている。
そのような雇用主が多数存在するので、結婚・妊娠・出産した女性の側も、そのような人事制度の職場に在職を続けても仕事と育児の両立は不可能であるので、そのような人事制度の職場を見限って、自分や子供の利益を守るために退職・転職する事例も多数ある。その結果、日本では、結婚・妊娠・出産以前や、子供が小学校高学年や中学生程度の育児負担が少なくなる以後と比較して、結婚・妊娠・出産から子供が小学校低学年の育児期の女性の就業率が低くなっている。
 
[[育児休業ただし介護休業等育児又は家族介護を行う労働者これら福祉調査関する法律|は、第1子出産前に退職した女性は含まれていない。育児介護休業法]]では育児休業は男女問わず'''労働者の権利'''として認められていて、雇用事業主は育児休業労働者からの申請に応じて雇用を維持し休業させなければならないのだ。しかしな実際には正常に機能していない。日本の社会には、「男と女は異なる社会的役割がある。男は社会で働き家族を養う収入を得る。女は[[専業主婦]]として家事や育児をする。」という考えや、「育児休業を取得されたら、同じ職場で働く人にとっては迷惑でしかなく、また経営者にとっては甚大な損害である。」という考えを持ち、その考えに基づいて経営リスクを排除するため、結婚・妊娠・出産した女性を、様々な方法で退職に追い込んだり、降格および減給の対象とする暗黙の人事制度を実施している雇用主も多数存在する([[マタニティハラスメント]])。
育児休業の取得は、雇用主が法律の趣旨を認識し順守し、女性が結婚・妊娠・出産後も在職・仕事を継続したほうが企業や雇用主にとっても有益であるという考えを持ち、それを実施する意思がない限り、取得は不可能である。雇用主にそのような認識と意思があるかないか、意思を実施するかしないかは、大企業でも女性の結婚・妊娠・出産後の就業率が低い企業もあり、中小企業でも女性の結婚・妊娠・出産後の就業率が高い企業もあるので、企業規模の大小には関係なく、雇用主の認識とそれを実施する意思によって決まる。
 
そのような雇用主が多数存在するので、結婚・妊娠・出産した女性の側も、そのような人事制度の職場に在職を続けても仕事と育児の両立は不可能であるので、そのような人事制度の職場を見限って、自分や子供の利益を守るために退職・転職する事例も多数ある。その結果、日本では、結婚・妊娠・出産以前や、子供が小学校高学年や中学生程度の育児負担が少なくなる以後と比較して、結婚・妊娠・出産から子供が小学校低学年の育児期の女性の就業率が低くなっている。
『平成27年版男女共同参画白書』によると、2013年度における男性の育児休業取得率は、民間企業で2.03%(前年比0.14%ポイント増)、国家公務員では2.77%(同0.73%ポイント増)となっている。しかしいずれも、女性(民間企業83.0%,国家公務員98.3%)と比較すると、依然として低水準にあり、男女間で大きな差がある。
現在の日本では育児休業を取得している人の大部分は女性である。
 
==脚注==