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'''アルバート・ハミルトン・フィッシュ'''('''Albert Hamilton Fish'''、[[1870年]][[5月19日]] - [[1936年]][[1月16日]])は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[連続殺人|連続殺人者シリアルキラーー]]、[[カニバリズム|食人]]者。「'''満月の狂人'''」(Moon Maniac)、「'''グレイマン'''」(Gray Man)、「'''ブルックリンの吸血鬼'''」(Brooklyn Vampire)などの異名で知られている。正確な[[数字]]は明らかではないが、多数の児童を暴行して殺害([[1910年]]から[[1934年]]までに400人を殺したと自供)。肉を食べる目的で殺害された児童もいる。児童だけではなく、成人も殺害しているとされる。なお、「満月の狂人(Moon Maniac)」という異名は、犯行が[[満月]]の日に行われたことが多かったことに因む。
 
アメリカ犯罪史で史上最悪の殺人鬼と呼ばれている。
 
身長165cm、体重58kg。(130 pounds and 5 feet 5 inches tall)
 
== 若年期・犯罪 ==
ハミルトン・フィッシュとして[[ワシントンD.C.]]で生まれる。この家系では代々[[精神疾患]]患者が多かった。5歳の時、[[父]]の死により[[孤児院]]に預けられ、ここで成長する。この孤児院では教鞭による指導が行われており、フィッシュはこれによって叩かれている。この鞭打ちが、フィッシュに快感をもたらした。[[尻]]をむき出しにして鞭で叩かれ、その最中に勃起した。この環境は、フィッシュに[[SM (性風俗)|サドマゾ]]嗜好を与えたと考えられている。一方で、「反省するたびに鞭打ちを喰らうのだが、これは何の意味も無い。子供たちは、鞭で殴られるたびに悪くなっていった」とも語っている。彼はこの頃を振り返り、自分は鞭打ちを楽しみにする唯一の子供だったと、述懐している。

[[1898年]]、9歳年下の女性と結婚し、6子を儲ける。フィッシュの実子は「フィッシュによる暴力などは無く、一般的な子供時代をすごした。ただ、時折自分を釘が打ち込まれた板で叩くように頼んだものだった」と語っている。後に「オイボレのスカンク野郎」「奴にしてやれることなど何もない」と罵ってもいる。妻との離婚後、家に遊びに来た子供に対して、[[鋲]]を打ちつけた[[板]]を渡して、自分の尻を叩くように言っている。子供から、どうしてこんなことをさせるのか問われると、フィッシュは、「これによって名状しがたい感覚が体を貫く、[[キリスト]]の[[受難]]を越えなければならない」と語っていた。フィッシュは自分の体が殴られるたびに喜び、涎を流して射精し、それを子供たちに見せ付けた。結婚19年目、フィッシュの妻が、近所に住む精神薄弱者と恋に落ち、さらには同居させて欲しいと言い出した。フィッシュは1度2人を別れさせるも彼女は再びその男と密会していたことで、フィッシュは妻を追いやった。彼はしばしば雑誌の恋人募集欄を読み、「板でも[[釘]]でも何でも使って私を叩いて欲しい。あなたの奴隷になりたいのです」というSM行為を懇願する[[手紙]]を、未亡人に送っていた。だが、返事は一通も来なかった。
 
[[ファイル:Pelvis_of_Albert_Fish_(X-ray).jpg|thumb|200px|針が突き刺さったフィッシュの陰嚢のレントゲン写真]]
塗装工であったフィッシュはその後全米を放浪する。著名な精神科医のフレデリック・ワーサム([[:en:Fredric Wertham|Fredric Wertham]])は、フィッシュの中には[[サディズム]]と[[マゾヒズム]]の両方が強烈に同居していると診断している。報道によると主に性器の周辺に針を打ち込んで自慰行為に耽っていた。相手が見つからないうちは、自分で自分の体を痛めつける必要があった。フィッシュは自分の体の到る所に針を突き刺すことにした。この習慣は彼が逮捕されるまで止まらなかった。自身の[[陰嚢]]に針を突き刺したときの痛さは正気ではいられなかったと述べている。さらには自身の背中の内側や、[[骨盤]]に針を打ち込んであるとも述べている(実際に、彼の[[レントゲン]]写真では、陰嚢部分に細いものも太いものも曲がったものも合わせて29本もの針が見つかっている)。最初は刺してすぐに引き抜くが、深く刺せば刺すほど快感が強まるために、引き抜くのが困難になるほど深く刺すようになったという。また、彼はライターオイルをしみこませた[[綿球]]を自身の[[直腸]]に入れて[[火]]をつけ、身体の内部が焼けるような感覚に酔いしれたとう。

放浪時、23州に渡り殺人を行ったと公言しており、犠牲者の多くは主に[[黒人]]の貧しい家の出身だった。そして、貧しい黒人たちはフィッシュの犯罪に対して十分な行動ができる見込みが薄かった。彼は犠牲者の遺体を食人し、遺体ばかりではなく[[尿]]や[[血液]]、[[排泄物]]までも食べた。彼自身はそれらの傾向は幼少期に受けた[[虐待]]により培われたと述べている。また、彼は「神」が自身に殺人による「伝道」を指示したと主張している。彼の殺人にはしばしば時間をかけた拷問も含まれていた。フィッシュが調理する際に快適な様に、子供の肉を柔らかくするために子供たちを縛り上げ、半分に切られ釘が打ち込んである[[ベルト]]で子供たちを鞭打ちした。彼はこのベルトを「地獄の器具」(instruments of hell)と呼んだ。
 
なお、フィッシュ自身の証言によると、爪の裏側に針を通そうとしたが、痛みを快楽に変えることができるフィッシュですら、そのあまりの痛さに途中で止めてしまったという。