「超音速輸送機」の版間の差分

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== 概要 ==
超音速で飛行するためには、超音速で巡航するときの[[抗力]]を出来できるだけ低減する必要があるとともに、巡航速度に到達する前、音速付近の[[マッハ]]約0.8から1.2程度にかけての速度域(遷音速)で急に大きくなる抗力係数も低減しなくてはいけない。遷音速での抗力係数は[[衝撃波]]を作るために費やされる[[造波抗力]]も加わるために、高亜音速域(マッハ0.8程度で、遷音速域に入る直前)の場合の3倍以上にもなる。しかし、遷音速を超えると抗力係数は減少に転じ、マッハ2を大きく超える領域での航続率は高亜音速でのそれとほぼ同等になる。
 
しかし、一般の旅客機で用いられるような[[翼平面形]]と[[翼型]]を持った[[翼]]で超音速飛行を行うと、翼に発生する[[揚力]]は大きく減少し、抗力は格段に増大する。通常形の翼では、マッハ2の速度において、衝撃波の影響によりその揚力の半分ほどが失われる。効率の指標である揚抗比(揚力÷抗力)の点で判断すると、超音速航行による燃費向上はほとんどないことになる。このため、超音速での巡航をなるべく効率的に維持し、なおかつ低速の離着陸時においても分な揚力を発生する[[翼平面形]]の研究に多くの労力が傾けられた。[[イギリス]]や[[ソビエト連邦|ソ連]]では超音速輸送機の翼平面形研究のためだけの実験機を製作している。
 
1950年代を通して、SSTの概念は技術的には可能と思われていたが、経済的に可能かどうかははっきりはしなかった。<!--経済のスピード化の進展から見ると、-->多くの燃費がかかる超音速による商業飛行も、少なくとも中距離から長距離の飛行に関しては採算が取れるように思われた。より直接的には、既存の亜音速航空機の3倍の速度で航行することで[[航空会社]]の保有機数が3分の1で済むことになり、人件費と整備コストの低減が期待された。
 
== 開発 ==