「ATP合成酵素」の版間の差分

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1997年、[[ネイチャー]] (vol. 386, pp. 299–302) に野地、吉田らの研究による "Direct observation of the rotation of F1-ATPase" という題の論文が掲載された。これはATP合成酵素の F<sub>1</sub> 部位の回転を実際に観察したという画期的な実験法を述べた論文であり、この論文を通じて「ATP合成酵素は回転している」というボイヤーの説が現実のものとなった。この観察は[[一分子細胞生物学]]の基礎となりうる歴史的なものであった。同年、ボイヤー、ウォーカー、[[イェンス・スコウ|スコウ]](イオン輸送ATPアーゼの発見)が、ATP合成酵素の研究に寄与したとして[[ノーベル化学賞]]を受賞した。
 
== ATP合成酵素の一分子観測<ref name="F1-ATPaseRotation">{{Cite journal | last1=Noji | first1 = Hiroyuki | last2=Yasuda| first2 = Ryohei| last3=Yoshida | first3 = Masasuke| last4=Kinosita JR | first4 = Kazuhiro |doi = 10.1038/386299a0| title = Direct observation of the rotation of F<sub>1</sub>-ATPase | journal = [[:en:Nature|Nature]] | volume = 386 | pages = 299–302 | year = 1997 | pmid = 9069291| jstor = | pmc = }}</ref> ==
== ATP合成酵素の一分子観測 ==
回転触媒説をのものとしたこの実験は、アイディアに富んだ面白い実験である。以下にプロセスを示す。
#[[ヒスチジン]]タグを付けた[[組み換えタンパク|組み換え]] F<sub>1</sub> 部位を作成する。
#[[ヒスチジン]]タグを特異的に吸着するガラス表面タグ付きのF<sub>1</sub> 部位を固定する。
#F<sub>1</sub> 部位のγサブユニットに蛍光標識した[[アクチン]]フィラメントをストレプトアビジンを用いて接着する。
#溶媒中にATPを添加する。
#[[蛍光顕微鏡]]でガラスの表面を観察する。
#アクチンフィラメントの回転がATPの[[加水分解]]によって引き起こされる現象が観察できる。
少々乱暴ながらも簡潔比喩的に説明すると、回転していると思われる部分に、回転方向と水平方向に顕微鏡で動画が観測できる大きさの細長い[[付箋]]を貼り付けて、その付箋が回転しているかどうかを観測したのである。この方法を用いると回転のみならず、アクチンの長さを変化させることによって発生トルクも測定することができる。この方法で測定したATP合成酵素は、生体内で毎秒100回転していることがわかった。また[[エネルギー変換効率]]は 100% 近く、これほど性能効率いATP利用系は生物体内ですらこの他に見つかっていない(例えば[[ミオシン]]は 20%、[[ダイニン]]は 50% 程度)。
 
== ATP合成ステップのモデル ==
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