「結核菌」の版間の差分

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治療は治療は結核ですべき内容。
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細胞壁に[[ミコール酸]]と呼ばれる脂質を多量に含有し、通常の[[グラム染色]]では染まりにくく結果が安定しないため、グラム不定と呼ばれることもある。ただし、[[細胞壁]]の構造と加温グラム染色法からグラム陽性菌として分類するのが一般的である。一方、媒染剤を加えて加温しながら染色を行う[[染色 (生物学)#チール・ネールゼン染色|チール・ネールゼン染色]]などの強力な方法を用いると、染色が可能になるだけでなく、一旦染まった色素液が脱色されにくいという特徴を持ち、強い脱色剤である塩酸アルコールに対しても脱色抵抗性を示す。この染色法を'''抗酸性染色'''と呼び、本法で染色されるマイコバクテリウム属は'''抗酸菌'''(acid-fast bacteria, この場合のfastは「退色しない」「固定された」の意)とも呼ばれている。抗酸菌は、増殖の遅い([[コロニー]]が肉眼で判別可能なまで増殖するのに1週間以上かかる)遅発育菌群 (slow growers) と、増殖の早い迅速発育菌群 (rapid growers)、培養不能菌([[らい菌]]のみ)の3つに大別される。結核菌はこのうち遅発育菌群に属し、分離培養には3週間以上かかることがある、
 
結核菌群と[[癩菌]](らいきん)以外の抗酸菌を[[非結核性抗酸菌]](古くは非定型抗酸菌)と呼んで区別している。
抗酸菌のうち、結核菌(''Mycobacterium tuberculosis''、ヒト型結核菌)、[[ウシ]]型結核菌(''M. bovis''、ウシ型菌、ウシ菌)、マイコバクテリウム・アフリカナム (''M. africanum'')、[[ネズミ]]型結核菌 (''M. microti'') の4菌種は、(1) 37℃で増殖可能だが28℃で増殖しない、(2) 耐熱性の[[カタラーゼ]]を持つ、などの点で他の抗酸菌とは鑑別される。この4種を'''結核菌群''' (''M. tuberculosis'' complex) と呼ぶ。結核菌群と[[癩菌]](らいきん)以外の抗酸菌を非結核性抗酸菌(古くは非定型抗酸菌)と呼んで区別する。結核菌群の4種はいずれも遅発育菌群であり、[[培地]]でのコロニー形成に多大な時間を要するため同定が困難であった。現在は[[分子生物学]]的手法を用いて、遺伝子増幅により同定可能となっている。
; 結核菌群
抗酸菌のうち以下の4種は'''結核菌群''' (''M. tuberculosis'' complex) と呼ばれ(1) 37℃で増殖可能だが28℃で増殖しない、(2) 耐熱性の[[カタラーゼ]]を持つ、などの特徴により抗酸菌と鑑別される。
* 結核菌:ヒト型結核菌 (''Mycobacterium tuberculosis'')
* [[ウシ]]型結核菌 (''M. bovis'')
* マイコバクテリウム・アフリカナム (''M. africanum'')
* [[ネズミ]]型結核菌 (''M. microti'')
 
結核菌群の4種はいずれも遅発育菌群であり、[[培地]]でのコロニー形成に多大な時間を要するため同定が困難であった。現在は[[分子生物学]]的手法を用いて、遺伝子増幅により同定可能となっている。
生化学的性状および病原性の点で、4種それぞれに相違点を持つ。このうち、結核菌 (''M. tuberculosis'') が[[結核]]の原因菌としてヒトへの病原性を示すほか、''M. bovis''と''M. africans''がまれにヒトに感染する。''M. microti''はヒトに対する病原性を持たない。また''M. bovis''を長期間継代培養して弱毒化したものが[[BCG]]であり、結核予防のための[[ワクチン]](弱毒生菌ワクチン)として利用されている。
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培養について:強毒株はコード形成、小川培地などの特殊な培地、液体培養ろ液はツベルクリン、
抵抗性;[[紫外線]]に弱い。
 
生化学的性状および病原性の点で、4種それぞれに相違点を持つ。このうち、結核菌 (''M. tuberculosis'') が[[結核]]の原因菌としてヒトへの病原性を示すほか、''M. bovis''と''M. africans''がまれにヒトに感染する。''M. microti''はヒトに対する病原性を持たない。また''M. bovis''を長期間継代培養して弱毒化したものが[[BCG]]であり、結核予防のための[[ワクチン]](弱毒生菌ワクチン)として利用されている。
マクロファージ内増殖の機構と結核発症のメカニズムについて
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== 病原性 ==
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== 診断 ==
* 肺結核において、[[喀痰]]が排出される場合には、喀痰の塗抹染色、抗酸菌培養、[[DNA]][[ポリメラーゼ連鎖反応]] (PCR)、RNA増幅(Direct TBなど)などにより菌の存在を確認する(DNA-PCRでは死菌でも検出するため確定診断とはならない)。
:抗酸菌培養では[[非結核性抗酸菌]]との鑑別のため[[ナイアシン]]試験が行われる
*局在病変については、それぞれの臓器にあわせた画像診断・組織診断を施行する。[[リンパ節]]、腸、[[脾臓]]、骨(いわゆる[[カリエス]])などの感染症もみられる。
**例:肺では胸部[[X線写真|レントゲン]]、胸部[[コンピュータ断層撮影|CT]]、[[気管支鏡#検査|TBLB(経気管支肺生検)]]、肺[[病理学|生検]]など。腸結核では[[消化管]][[内視鏡]]、[[胃透視]]、[[注腸造影]]など。リンパ節では[[生検]]。カリエスでは[[核磁気共鳴画像法|MRI]]など。