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バリウム(重晶石)の年間生産量のピークは1981年の830万トンであり、そのうち7-8%だけが金属バリウムやその化合物の生産に利用された<ref name=Ullman5>[[#Ullman2007|Ullman 2007]], p. 5.</ref>。これは、バリウムの最大の用途が{{仮リンク|掘穿泥水|en|Drilling fluid}}における[[加重剤]]としての用途であり、この目的には重晶石をそのまま粉砕して硫酸バリウムとして利用するためである<ref>{{Cite web|url=http://mric.jogmec.go.jp/public/report/2011-07/Ba.pdf|title=31.バリウム|publisher=石油天然ガス・金属鉱物資源機構|accessdate=2013-01-09}}</ref>。[[シェールガス]]の採掘増加に伴う掘穿泥水の需要増によって、2016年にはピーク時の生産量を越える930万トンにまで需要が拡大するものと予想されている<ref>{{Cite web|url=http://www.sojitz.com/jp/news/2012/20120713.html|title=双日、メキシコにおける世界最大級のバライト鉱山へ出資〜石油・ガス採掘時の掘削泥水原料として需要拡大〜|publisher=双日|accessdate=2013-01-09}}</ref>。2011年におけるバリウム生産量はその50%以上を中国が占めており、それに14%のインド、8.4%のモロッコ、8.3%のアメリカが続いている<ref>{{Cite web|url=http://minerals.usgs.gov/minerals/pubs/commodity/barite/mcs-2012-barit.pdf|title=BARITE|publisher=[[アメリカ地質調査所]]|year=2012|accessdate=2013-01-08}}</ref>。
 
バリウムは空気中で容易に酸化されるため単体の金属バリウムを得ることは困難であり自然から金属バリウムが産出することはなく、金属バリウムは主に[[重晶石]]から抽出することで生産されている<ref name=CDC/>。採掘された重晶石は手選、[[ログウォッシャー]]を用いた洗鉱(水力によって重晶石と脈石や粘土を分離させる)、粉砕、[[比重選鉱]]など分別工程によって石英から分離される。良質の重晶石はこの工程で重晶石と脈石の分離が可能であるが、石英が鉱石に非常に深く貫入していたり、[[鉄]]や[[亜鉛]]、[[鉛]]の濃度が高い場合、あるいは「[[黒鉱]]」内の重晶石には、[[オレイン酸]]などを用いた[[浮遊選鉱|泡沫浮遊選鉱]]([[:en:Froth flotation|en]])によって[[選鉱]]される。この過程によって重晶石としての純度は質量濃度で98%まで高められ、不純物として含まれる鉄や[[二酸化ケイ素]]が除去される<ref>[[#Ullman2007|Ullman 2007]], p. 7.</ref>。この重晶石は非常に溶解し難いため、重晶石を直接的に金属バリウムや他のバリウム化合物を得るための前駆体とすることはできず、重晶石中の[[硫酸バリウム]]を[[硫化バリウム]]に還元するために[[炭素]]とともに加熱する前処理が行われる<ref name=CDC>{{cite web| title = Toxicological Profile for Barium and Barium Compounds. Agency for Toxic Substances and Disease Registry| publisher = [[Centers for Disease Control and Prevention|CDC]]| date = 2007.| url = http://www.atsdr.cdc.gov/toxprofiles/tp24.pdf|accessdate=2012-01-17}}</ref>。
:BaSO<sub>4</sub> + 2C → BaS + 2CO<sub>2</sub>
こうして得られた水溶性の[[硫化バリウム]]は、その水溶液を酸素と反応させることで[[水酸化バリウム]]が、[[硝酸]]と反応させることで[[硝酸バリウム]]が、[[二酸化炭素]]と反応させることで[[炭酸バリウム]]が得られるなど、様々なバリウム化合物を生産するための前駆体となる<ref name=ullman6>[[#Ullman2007|Ullman 2007]], p. 6.</ref>。また、[[硝酸バリウム]]を熱分解させることで酸化物が得られる<ref name=ullman6/>。金属バリウムは酸化バリウムを[[アルミニウム]]とともに1100{{℃}}で還元させることによって得られる。この反応では、はじめに金属間化合物であるBaAl<sub>4</sub>が形成される<ref name=Ullman3>[[#Ullman2007|Ullman 2007]], p. 3.</ref>。