「音楽民族学」の版間の差分

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'''音楽民族学'''(おんがくみんぞくがく)とは、もともとは民族音楽学、すなわち[[民族学]](ethnology)と[[音楽学]](musicology)とがあわさったものである(ethno-musicology)。少なくともその発祥は、一般的に言われる[[民族音楽]]を研究対象とする学問ということではない。実質的には、西洋伝統音楽以外の音楽を対象としている。しかし研究対象としての「民族音楽」というものが実際には、西洋芸術音楽とその他という図式の下に成立していることは明白である。[[ガムラン]]音楽や[[雅楽]]といったいわゆる「民族音楽」が固有の文化に属する音楽であるのであれば、西洋芸術音楽も例外なく、固有の文化に属した「民族音楽」であることは絶対に否定し得ない。ゆえに非西洋音楽の研究を民族音楽学とするのは、「民族音楽」なる音楽があたかも実際に存在しているかのような錯覚を生む差別的な述語であるために、近年は音楽の民族学的研究という意味での[[音楽民族学]]という名称を使うのが一般的になりつつある。また[[音楽人類学]]といった言い方もされることがある。
 
かつては特に、各民族の音楽を比較する分野を[[比較音楽学]]といったが、この名称は民族音楽学といわれる以前の19世紀末の欧米列強の植民地音楽と西洋音楽とを「比較」するということを端緒としていた。これは植民地の音楽と西洋音楽との比較によって、音楽の始原を追求し、音楽がいかに原始的な形態から西洋音楽のような進化した形態になるのかということの解明をひとつの目的としていた。このような歴史を踏まえ、近年では使われなくなりつつある。