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[[File:エフエム椿台.jpg|thumb|200px|right|[[あきた椿台エフエム放送|エフエム椿台]](秋田県)の旧局舎外観]]
'''コミュニティ放送'''(コミュニティほうそう、{{En|community broadcasting}})とは、[[放送法]]に規定する[[基幹放送]]の一種である。限られた地域での放送であることから'''コミュニティFM'''とも言われる。
 
文言としては、[[総務省|総務]][[省令]][[放送法施行規則]]別表第5号の第8[[放送対象地域]]による基幹放送の区分(4)にある。定義は、同表の(注)12に「一の[[市町村]]([[特別区]]を含み、[[地方自治法]]第252条の19に規定する[[政令指定都市|指定都市]]にあつては区とする。以下同じ。)の一部の区域(当該区域が他の市町村の一部の区域に隣接する場合は、その区域を併せた区域とし、当該区域が他の市町村の一部の区域に隣接し、かつ、当該隣接する区域が他の市町村の一部の区域に隣接し、住民のコミュニティとしての一体性が認められる場合には、その区域を併せた区域とする。)における需要に応えるための[[放送]]」とある。
 
<small>促音の表記は[[原文ママ]]</small>
 
== 概要 ==
[[電波法施行規則]]や放送法に定義する[[超短波放送]]、いわゆる[[超短波放送|FM放送]]の[[電波の周波数による分類|周波数]]を用いる<ref>基幹放送普及計画 第1基幹放送の計画的な普及及び健全な発達を図るための基本的事1(1) 1.(1)ア(ウ)超短波放送</ref>ので市販のFM[[ラジオ]]で聴取できる。
<!--電波法施行規則第2条第1項第25号、放送法第2条第17号-->
FM放送の一種であることから'''コミュニティFM'''とも呼ばれる。
事業者は[[電波法]]に基づく[[地上基幹放送局]]の免許が必要で、この地上基幹放送局の免許申請時の基幹放送の種類を表すコードは、無線局の目的コード及び通信事項コードを規定する[[告示]]
<ref>[http://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/a72aa65151.html 平成16年総務省告示第860号 無線局免許手続規則別表第2号第1等の規定に基づく無線局免許申請書等に添付する無線局事項書の無線局の目的コードの欄及び通信事項コードの欄に記載するためのコード表]別表第1号「2 基幹放送の種類コード」 総務省電波関係法令集(総務省電波利用ホームページ)</ref>
に「超短波放送(コミュニティ放送)」を'''CFM'''と規定しており、CFMとも略される。
 
[[地上基幹放送]]の一種であるが、放送対象地域が従来の[[広域放送]]や[[県域放送]]より狭く、「[[地域密着]]」「市民参加」「[[防災]]および災害時の放送」がコミュニティ放送の特徴と言われる<ref name="OCU">{{PDFlink|[http://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/infolib/user_contents/kiyo/111S0000003-0301-1.pdf 日本におけるコミュニティFMの構造と市民化モデル]}} 創造都市研究e([[大阪市立大学]]大学院創造都市研究科紀要)Vol.3, No.1(2008年)</ref>。
特に[[市町村防災行政無線|防災行政無線]]と比べて[[コスト]]が1/10〜1/100と低いため、[[地方自治体]]が[[第三セクター]]会社を設立して参入する例が多く見られる<ref name="TKU">{{PDFlink|[http://www.tku.ac.jp/kiyou/contents/hans/119/jhns119_5_tamura.pdf 多様化するコミュニティFM放送]}} [[東京経済大学]]人文自然科学論集第119号 2005年3月20日</ref>([[臨時災害放送局]]も参照)。地域メディアとしては[[ケーブルテレビ|CATV]]とよく比較される<ref name="TKU"/><ref>CATV局自身やその関連会社によって運営されているコミュニティ放送局も存在する</ref>。
地域メディアとしては[[ケーブルテレビ|CATV]]とよく比較される<ref name="TKU"/>。
 
事業者は[[電波法]]に基づき[[地上基幹放送局]]の[[無線局免許状|免許]]が必要で、第二級[[陸上無線技術士]]以上の[[無線従事者]]により管理も要する。しかしされねばならないが、[[規制緩和]]によって創設された制度であるため、電波法第7条第6項に規定する開設時の資料提出は不要である<ref name="TKU"/>。
特に[[市町村防災行政無線|防災行政無線]]と比べて[[コスト]]が1/10〜1/100と低いため、[[自治体]]が[[第三セクター]]会社を設立して参入する例が多く見られる<ref name="TKU">{{PDFlink|[http://www.tku.ac.jp/kiyou/contents/hans/119/jhns119_5_tamura.pdf 多様化するコミュニティFM放送]}} [[東京経済大学]]人文自然科学論集第119号 2005年3月20日</ref>([[臨時災害放送局]]も参照)。地域メディアとしては[[ケーブルテレビ|CATV]]とよく比較される<ref name="TKU"/><ref>CATV局自身やその関連会社によって運営されているコミュニティ放送局も存在する</ref>。
[[識別信号#呼出符号|呼出符号]](コールサイン)は「JOZZ」
<ref>かつて「JO×Z」は[[NHKラジオ第2放送]]の県庁所在地以外の放送局(現在はJOIZを除いて支局へ降格するにあたって廃止)に指定されるものとされ、JOZZは[[NHK]]新居浜局に指定されていた時期があった。臨時目的放送が法制化されるとNHKに指定されていないものを指定されるものとされた。コミュニティ放送制度化の際、コミュニティ放送局にJOZZが、臨時目的放送局に「JOYZ」が指定されるものとされた。
</ref>で始まり、その後に1[[数字]](0〜9の地域番号)と2[[英字]]、最後に「-FM」がつく。
免許の有効期間は5年。但し、最初の有効期限は1年を超え4年以内一定の10月31日まで<ref>[http://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/a71ab21181.html 平成23年総務省告示第275号 電波法施行規則第8条第1項の規定に基づくコミュニティ放送を行う地上基幹放送局について同時に有効期限が満了するよう総務大臣が別に告示で定める日](総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)に「平成27年11月1日及びその後5年ごとの11月1日とする。」とあることによる。</ref>となる。
告示[[基幹放送用周波数使用計画]]第1総則12により、原則として周波数は、76.1MHz、76.2MHz、76.3MHz、76.4MHz、76.5MHzのいずれか、[[空中線電力]]は20W以下であるが、空中線電力の特例としては[[FM久米島]](FMくめじま)の80W、[[エフエムわっかない]](FMわっぴ〜)の50Wがある<ref>このほかに、[[臨時災害放送局]]として運営している一部のコミュニティーFM([[臨時災害放送局#開局事例|当該記述参照]])で、臨時に上記の20Wを超えて放送することもある。</ref>。
<ref>コミュニティ放送局を増力して[[臨時災害放送局]]とすることがあるが、この場合でも免許人は地方自治体であり、コミュニティ放送事業者はその運用を委託されるもので、コミュニティ放送として放送するのであれば本来の空中線電力を超えてはならない。</ref>。
また、[[実効輻射電力]](ERP:アンテナの[[利得]]によって強められ放射される実際の電力)は上限無し。
 
全国組織として[[日本コミュニティ放送協会]](JCBA)があり、2015年(平成27年)9月現在、全国のコミュニティFM放送局292局のうち220局が加盟している<ref>[http://www.jcba.jp/ 日本コミュニティ放送協会]のコミュニティ放送開局状況を参照</ref>。
事業者は[[電波法]]に基づき[[地上基幹放送局]]の[[無線局免許状|免許]]が必要で、第二級[[陸上無線技術士]]以上の[[無線従事者]]の管理も要する。しかし、[[規制緩和]]によって創設された制度であるため、電波法第7条第6項に規定する資料提出は不要である<ref name="TKU"/>。
 
告示[[基幹放送用周波数使用計画]]第1総則12により、原則として周波数は、76.1MHz、76.2MHz、76.3MHz、76.4MHz、76.5MHzのいずれか、[[空中線電力]]は20W以下であるが、空中線電力の特例としては[[FM久米島]](FMくめじま)の80W、[[エフエムわっかない]](FMわっぴ〜)の50Wがある<ref>このほかに、[[臨時災害放送局]]として運営している一部のコミュニティーFM([[臨時災害放送局#開局事例|当該記述参照]])で、臨時に上記の20Wを超えて放送することもある。</ref>。
 
また、[[実効輻射電力]](アンテナの[[利得]]によって強められ放射される実際の電力。ERP)は上限無し。免許の有効期間は5年。但し、最初の有効期限は1年を超え4年以内の10月31日まで<ref>[http://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/a71ab21181.html 平成23年総務省告示第275号 電波法施行規則第8条第1項の規定に基づくコミュニティ放送を行う地上基幹放送局について同時に有効期限が満了するよう総務大臣が別に告示で定める日](総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)に「平成27年11月1日及びその後5年ごとの11月1日とする。」とあることによる。</ref>となる。[[識別信号|呼出符号]](コールサイン)は「JOZZ」<ref>元々「JO×Z」はNHKラジオ第2放送の県庁所在地以外の放送局に割り当てられたコールサイン(現在はJOIZを除いて支局へ降格するにあたって廃止)・[[イベント放送局]](地域のイベント開催時や、[[臨時災害放送局]]として、期間限定放送で割り当てる)の共通コールサインであり、実際、コミュニティ放送開局前にJOZZの割り当てをされた局が1つだけ存在した。コミュニティ放送の開局が認可されたのに伴いJOZZのイベント・災害放送への使用ができなくなり、[[1995年]]からこれらの放送についても専用コールサイン「JOYZ-×××」に統一されることになった</ref>で始まり、その後に1[[数字]](0〜9の地域番号)と2[[英字]]、最後に「-FM」がつく。
 
全国組織として[[日本コミュニティ放送協会]](JCBA)があり、2015年(平成27年)9月現在、全国のコミュニティFM局292局のうち220局が加盟している<ref>[http://www.jcba.jp/ 日本コミュニティ放送協会]のコミュニティ放送開局状況を参照</ref>。
 
2013年1月23日現在
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※廃局後同じ地域で別局が開局した例が4局ある。
 
なお、[[栃木県]]では[[1994年]]([[平成]]6年)開局を目指し[[栃木市]]で「[[栃木コミュニティ放送]]」が設立され[[予備免許も交付され]]を取得したが、開局に至らなかった。その後も栃木県内で開局の動きが無く、日本で唯一コミュニティーFM放送局が存在しない県となであていたが、2015年(平成27年)1月、同じ栃木市の「FMくらら857」(運営母体・[[免許人]]は[[ケーブルテレビ (企業)|ケーブルテレビ株式会社]])に予備免許<ref>[http://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/press/27/0127ho.html 栃木県栃木市のコミュニティ放送局に予備免許] (総務省関東総合通信局[[2015年]][[1月28日]]確認)</ref>が交付されより、同年11月3日開局し、これによりコミュニティーFM放送局の空白県が解消されなくなっ
<ref>なお同局は正式開局前の2015年9月15日-10月29日に、9月9-11日にかけて発生した[[平成27年9月関東・東北豪雨]]の被害が甚大であったことを受けて同じ周波数・[[送信所]]を使用した[[臨時災害放送局]]「とちぎさいがいエフエム」として、プレ開局を行った</ref>。
 
まれに、[[免許を要しない無線局|免許不要局]]で[[微弱無線局#第1号|微弱電波]]を使用する[[ミニFM]]と混同されることがある。
 
== 沿革 ==
西[[ヨーロッパ]]では、[[1970年代]]に放送事業の規制緩和によってコミュニティ・ラジオ局が次々と誕生した<ref name="OCU"/>。[[日本]]では[[1980年代]]から「[[地方の時代]]」等の[[キャッチコピー]]が流行りはじめたが、実際のラジオにおける変化は[[1980年代]]に入ってからである。また、ラジオ工作の延長で[[微弱無線局]]であるミニFMが[[流行|ブーム]]となり、これを利用して店舗やイベント会場でも放送がおこなわれた。
[[1988年]]([[昭和]]63年)には、技術的期間限定審査がら小出力かつ限定された地域伴う対象とする「[[イベント臨時目的放送]]」が法制化され、実用に耐えるレベルの放送が可能になった<ref name="OCU"/>。
<ref>昭和63年法律第29号による放送法改正および昭和63年郵政省令第56号による放送法施行規則改正</ref>された。
 
[[1980年代]]後半の[[バブル景気]]期には、[[郵政省]][[告示]]放送普及基本計画(現・[[総務省]]告示[[基幹放送普及計画]])に従って[[テレビジョン放送]]の分野では[[民放テレビ全国四波化]]が進み、一方でラジオでは[[民間放送|民放]][[県域放送]]FM局の開局が進むなど、[[地方]]で[[ローカル局]]が次々現れた<ref name="OCU"/>。
 
このような放送の多様化の流れと同時進行で、[[1983年]](昭和58年)に郵政省(当時)が「[[テレトピア構想]]」を提唱し、[[1985年]](昭和60年)の「ニューメディア時代における放送に関する懇談会」、1988年(昭和63年)からはじまった「放送の公共性に関する調査研究会」においてコミュニティFMについて言及がなされた<ref name="OCU"/>。[[1991年]](平成3年)[[7月]]に開催された[[臨時行政改革推進審議会]](第三次行革審)では多様で個性的な地域づくりが提唱され、
[[1992年]](平成4年)1月放送法施行規則の一部改正<ref>平成4年郵政省令第2号による放送法施行規則改正</ref>によりコミュニティ放送が化された。同年[[12月24日]]の「[[FMいるか]]」([[北海道]][[函館市]])が第1号として開局している。
 
参入の基準は次のとおり。
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|}
 
[[1994年]](平成6年)に[[北海道]][[帯広市]]の[[おびひろ市民ラジオ]](FM-WING)と[[エフエムおびひろ]](FM-JAGA)が競願、両者とも一本化を拒否したため、郵政省が両局に免許交付を行い事態収拾を行ったこと、[[1995年]](平成7年)の[[阪神・淡路大震災]]以後、地域における非常用伝達手段を確保することを理由に、市区町村単位での複数開局や空中線電力の増強など規制緩和が進んだ。また、[[エフエム熱海湯河原]]のように、県境(同局の場合は[[静岡県]]と[[神奈川県]])を越えた地域圏を[[放送#放送区域|放送区域]]とする局も現れた。
 
このような規制緩和と個人消費拡大、更には前述の阪神・淡路大震災による防災意識の高揚に支えられて、[[1996年]](平成8年)から[[1999年]](平成11年)の間に開局が相次ぎ、全国各地でこの放送形態が浸透した。一方でこの頃は[[失われた10年]]と呼ばれた時期でもあり、[[1997年]](平成9年)[[4月1日]]に[[消費税]]が5%へ引き上げられると、個人消費の冷え込みが始まり、開局はしたものの[[スポンサー]]を失って経営が苦しくなる局が出現しあり、[[1998年]](平成10年)[[11月30日]]に[[FMこんぴら]]が閉局した。ただし、逆に既存の県域放送局を聴取率で凌駕し、県域局から[[CM]]移転を受けて経営が良くなる局も出現しあって、過当競争になる地域も生まれた。そのため、新規開局数は[[景気循環]]との相関が強くなる。
 
[[2014年]](平成26年)には、[[関東地方]]等におけるコミュニティ放送の割て可能周波数のひっ迫に対応するため、85〜90MHz(テレビ放送のガードバンドとされていた周波数に限)及び90〜95MHzを、東京23区及びその周辺における新たな割当周波数とする方針が示され
<ref>[http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8793116/www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/press/26/1017ho.html 「関東地域におけるコミュニティ放送について ≪東京23区及びその周辺における周波数の選定が困難な状況の解消≫」(] [[関東総合通信局]] 報道資料 平成26年10月17日・関東総合通信局)([[国立国会図書館]]のアーカイブ:2014年10月18日収集)</ref>。
 
== 経営 ==
経営体免許人してなるのは、[[地方自治体]]と民間の共同出資による第三セクター[[会社]]が多いが、同様な地域性があるCATV事業者またはその[[ケーブルテレビ]]会社の子会社]]、[[地方紙]]や[[タウン情報誌]]の子会社、[[特定非営利活動法人]]が運営するものもある。
 
通常、FM県域放送あれば、都道府県内全域に連日放送(県域放送)を行う義務があり、[[親局]]は500 - 10kW、[[中継局]]では10 - 100W程度で実施している。一方、コミュニティ放送は、連日放送を行う義務はなく(但し、連日放送を行っている局が多い)、放送区域も、基本的に人が住んでいる「コミュニティ」のみをターゲットとすることができる。結果、放送がこえる範囲は狭いが、放送が聞こえる場所には多くの人がいることから、県域放送局と比べると、ある意味でコストパフォーマンスが良い。これは、[[航空法]]改正に伴う[[新規参入]]の場合と相通ずるところがある。
 
しかしながら、県域放送局に比べても規模がコンパクトであるためか、経済情勢に左右される経営基盤の脆弱な事業者も多く、地方都市はおろか、[[政令指定都市]]にも創業者の死去や出資元の経営不振をきっかけに[[倒産]]した事業者が散見される。
 
== 自主制作番組 ==
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== 外部リンク ==
* [httphttps://wwwdsk.tele.soumu.goor.jp/j/adm/system/bc/commudskwiki/index.htmphp?%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E6%94%BE%E9%80%81 コミュニティ放送] 総務省電波利用ホームページ法令wiki([[情報通信振興会]])
* [http://www.jcbatele.soumu.go.jp/j/adm/system/bc/commu/index.htmlhtm 有限責任中間法人日本コミュニティ放送協会] 総務省電波利用ホームページ
*[http://www.jcba.jp/index.html 日本コミュニティ放送協会]
 
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