「ビタミンB12全合成」の版間の差分

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=== 環ADと環BCのカップリング ===
西側の環AD([[臭化シアン|臭素とシアンの]]化合物'''37''')と東側の環BC([[プロピオン酸]]エステルが結合する[[キラル中心|不斉炭素原子]]に関して[[ラセミ体]]になっているチオデキストロリン'''55''')は[[カリウム tert-ブトキシド]]と反応させることで硫黄[[イオン]][[反応中間体|中間体]]を経て[[スルフィド]](チオエーテル)'''56'''となり、両者は結合する<ref name="27(7)-21"/>。
 
このチオエーテルには環BC内の[[二重結合]]の位置の違いによって3つの[[互変異性|互変異性体]]があり<ref name="27(7)-24">[[#27(7)|「天然物化学最近の進歩(1)」『化学の領域』第27巻7号、p.24]]</ref>、'''56'''(I型)がそのまま反応して次の過程に進むことはない。I型は容易に安定なII型に変化し、それ以上[[化学反応|反応]]が進まなくなる。そしてI型と[[化学平衡|平衡]]状態にあるIII型もIII型のみを反応させた場合[[収率]]90%と非常に効率よくできるのだが<ref name="27(7)-22">[[#27(7)|「天然物化学最近の進歩(1)」『化学の領域』第27巻7号、p.22]]</ref>、こちらもI型ほどではないもののII型に変性しやすいので、'''37'''と'''55'''からコリゲノリドを合成する際の収率でみると40%程度にしかならなかった。結果的に、エッシェンモーザーがI型を[[メチル水銀]][[誘導体]]に変換しておくことで[[三フッ化ホウ素]]/トリフェニルリン/[[ベンゼン]]法でコリゲノリドに直接変換できることを発見した。
 
次に4.5[[化学当量|当量]]の[[プロパンニトリル|シアノエチル]][[ホスフィン]](トリβ-シアノエチルリン)、5.3当量の[[トリフルオロ酢酸]]および[[スルホラン]]ないしは[[ニトロメタン]]の存在下<ref name="27(9)-12"/>、60{{℃}}で20時間加熱すると{{仮リンク|エッシェンモーザーの硫黄縮合|en|Eschenmoser sulfide contraction|label=硫黄縮合}}が起こり''シアノコリゲノリド'''''57'''ができる<ref name="27(7)-24"/>。1968年夏の段階でここまで到達していた<ref name="27(7)-21"/>。このとき環Cのプロピオン酸エステル部分が結合する不斉炭素もラセミ体となっている。反応物の[[立体障害]]のため、合成はこの方法でしか進行しない<ref name="27(7)-21"/>。
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