「セミオートマチックトランスミッション」の版間の差分

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1930 - 1960年代にはマニュアルトランスミッション(以下、MT)の変速機構のままクラッチのみを自動化したセミATが[[ヨーロッパ]]で市販された。小型車 - 中級[[大衆車]]では古くは{{仮リンク|サキソマット|en|Saxomat}}に代表される遠心クラッチと真空サーボ(バキュームアクチュエータ)の併用式が用いられ、後にアクセル開度に応じて制御されるソレノイドを利用した[[電磁クラッチ]]や油圧で乾式単板クラッチを作動させる方式([[ルノー・トゥインゴ]]の「イージーシステム」など)が登場、中級以上の車種の一部には流体継手([[トルクコンバータ]])と乾式単板クラッチの併用式(ポルシェ・スポルトマチック)も用いられた。
 
自動クラッチ車は[[シフトレバー]]がニュートラルに入るか、ギアを入れる方向に力を掛けた際に負圧や油圧で強制的にクラッチを断続する事で、クラッチペダル無しでも変速操作が完了するようになっている。日本の自動車メーカーが国内向けとして販売した車種では、[[1950年代]]末から60年代に掛けて、RT20型[[トヨタ・コロナ]]や310型[[日産・ブルーバード]]、AF7型[[コニー・360]]などでサキソマットの採用例があり<ref>http://www.aichikikai.co.jp/club/vintage/file-07.html</ref>、その後、1960年代初頭に[[神鋼電機]]が[[日野自動車]]と電磁式オートクラッチを共同開発。[[日野・コンテッサ]]に「シンコー・ヒノマチック」<ref>http://www.toyota.co.jp/Museum/kandayori/backnumber/magazine90/magazine90_3.pdf</ref>、富士重工業も[[スバル・360]]に「オートクラッチ」として採用した<ref>http://www.geocities.jp/misamima90/t04.htm</ref>。なお電磁式はシフトレバーに[[静電容量スイッチ]]が内蔵され、シフトレバーに触れることでクラッチを切断する構造となっていた<ref>日本では1960年代の[[日野・コンテッサ]]や[[スバル・360]]、[[スバル・レックス|スバル・レックス(初代、550cc後期型)]]、[[日産・チェリー|日産・チェリー(F10系)]]、[[日産・パルサー|日産・パルサー(N10系)]]の例がある。</ref>。しかし、意図せずシフトレバーに触れて不意にクラッチが切れることを防ぐため、レバーに触れ始めてからクラッチが切れるまでにある程度のタイムラグが設けられていた。その後も[[ダイハツ工業]]が1980年代初頭の[[ダイハツ・クオーレ]]で、乾式単板クラッチと真空サーボを併用した「イージードライブ」を採用していた。
 
これらの形式はトルクコンバータ式の[[オートマチックトランスミッション]]のギア段数が少なく、動力損失や重量増大も大きかった時代、[[燃費]]の低下やエンジン騒音などを嫌気したメーカーによって「軽量で動力ロスのない形式」として開発が進められた。トルコン式フルATは元々は大排気量で[[エンジンの振動]]が少なく、高回転までスムーズに吹け上がる[[V型8気筒]]が主流で、他の国では高級なエンジン形式である[[直列6気筒]]すら最廉価版として位置付けられていたハイパワーな[[アメリカ車]]のために開発されたものであり、排気量や最大出力、エンジンの振動を考慮した実用回転数に一定以上の制約が避けられない[[直列4気筒]]や[[直列2気筒]]などが主流にならざるを得ない日本車や欧州車では、最大段数が少なく歯車比が低いアメ車とほぼ同じ構成のトルコン式フルATを搭載したAT車の走行性能や快適性は、同一車種のMT車と比較してどうしても大きく低下する傾向があった為である。