「満洲語」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Kureha908 (会話 | 投稿記録)
項目の追加。音韻の説明を詳細に。参考文献を追加。
31行目:
民間の漢人は満洲語と[[満洲文字]]の習得は禁止されていた。漢人で満洲語と満洲文字を学ぶことを許され、中央政治に参加できたのは[[科挙]]合格者の[[状元]]と[[榜眼]]のみであった。
 
== 系統 ==
満州語は、言語学的には[[ツングース諸語]]に分類される[[膠着語]]である。[[アルタイ諸語|アルタイ語族]]があるとすれば[[ツングース語派]]に分類されることになる。満州語の表記は、[[モンゴル文字]]を改良して作られた[[満州文字]]を使う。
満州語は、言語学的には[[ツングース諸語]]に分類される[[膠着語]]である。[[アルタイ諸語|アルタイ語族]]があるとすれば[[ツングース語派]]に分類されることになる。南ツングース語群に属する。女真語とは近縁とされるが、親子関係にはない。
 
== 方言および変種 ==
南北2つの方言があったとされる。
 
41 ⟶ 42行目:
東音:寧古塔を中心に東は日本海に至る地域の方言。
 
・2017年現在、中国東北部(黒龍江省三家子など)で継承されている満州語(現代満語)は、東音を主体として北音の影響を受けて成立し言語変種である。
 
=== 南部方言 ===
55 ⟶ 56行目:
=== 母音 ===
 
==== 単[[母音]] ====
以下の7つがある。
 
72 ⟶ 73行目:
ioi:{{IPA|y}}のような音であったとみられる(外来音)。
 
==== [[二重母音]] ====
-i系統:ai, ei, oi, ui, ūi
 
96 ⟶ 97行目:
!唇音
!歯茎音
!後部歯茎音
!そり舌音
!硬口蓋音
!軟口蓋音
![[口蓋垂音]]
|-
!閉鎖音・破擦音
|p, b
|t, d
|c, j
(ts,dz)
|k, g
|-
!鼻音
|![m]
|![n]
!
!
!
!ng[ŋ]
!
|-
!破裂音
|p[p], b[b]
|t[t], d[d]
|c[tʃ], j[dʒ]
|
|
|k[k], g[ɡ]
|k[q], g[ɢ]
|-
!破擦音
|
|(ts[ts], dz[dz])
|
|
|
|
|
|ng
|-
!摩擦音
|f[f]
|s[s]
,(ž)[ʃ]
|(ž[ʐ])
|h
|
|h[x]
|h[χ]
|-
!震え音
|
|r[r]
|
|
|
|
|
126 ⟶ 150行目:
!側面音
|
|l[l]
|
|
|
|
|
|-
!接近音(半母音)
|w[w]
|
|
|
|y[j]
|
|y
|
|}
 
*p―bなど無声・有声の対立は、かつて有気・無気({{ipa|pʰ}}―{{ipa|p}}など)の対立だったという見方もある。
*sは{{IPA|s}}であるがiの直前でのみ{{IPA|ʃ}}であった。
156 ⟶ 185行目:
*語末に来うる子音はnのみである(ただし外来語はこの限りでない)。
*通常、音節頭あるいは音節末に子音が連続しない(ただし、音節末子音と音節頭子音が連続することはありうる)。
 
== 表記 ==
満州語の表記は、[[モンゴル文字]]を改良して作られた[[満州文字]]を使う。
 
一方でラテン文字転写も盛んに行われている。主な転写法にメーレンドルフ式と漢語拼音式があり、違いは以下の通りである。
{| class="wikitable"
!音素
!メーレンドルフ式
!漢語拼音式
!
|-
|{{IPA|ʊ}}
|v
|
|-
|[ʃ]
|x
|
|-
|[tʃ]
|c
|q
|
|-
|[ts]
|ts
|c
|
|-
|[dz]
|dz
|z
|
|-
|[ʐ]
|
|-
|二重母音
|ao,eo,io,oo
|au,eu,iu,ou
|
|}
 
== 文法 ==
220 ⟶ 295行目:
*動詞は終止形・連体形・副動詞形(接続形)がある。連体形は文末に来て終止形として用いられることが少なくない。
*後置詞は、ある種の単語の後ろに来て様々な文法的意味を付け加える付属語である。大きく分けて、体言の格形の後ろに来て格関係を表すもの、用言の後ろに来て副動詞的に用いられるもの、文末について様々なニュアンスを表すもの(日本語の[[終助詞]]に似る)がある。
 
== 語彙 ==
満州語の語彙には主に3つの特徴がある
 
1:漁労、採集、畜産、騎射に関する語彙が非常に豊富である。これは満州族が本来は狩猟民族であったことに由来する。
 
2:ツングース諸語の一種であるため、他のツングース系言語と共通する語彙が多い。
 
3:満州語の語彙の三分の一は外来語であるとみられる。最も多いのは中国語(北京語)からの借用であるが、モンゴル語、チベット語、サンスクリット語由来とみられる単語もある。
 
== 逸話 ==
 
== 満洲語研究機関・研究家 ==
231 ⟶ 317行目:
<references />
 
== 書籍および参考文献 ==
* [[津曲敏郎]]著 『満州語入門20講』([[大学書林]]) [[2002年]][[1月20日]]第1版発行 ISBN 4-475-01857-9
* [[河内良弘]]、[[清瀬義三郎則府]]編著 『満洲語文語入門』(京都大学学術出版会) 2002年6月25日
* 李永海編著『满语语法』(中央民族大学出版社)2011年3月第1版発行
* 爱新觉罗瀛生著『满语口语音典』(華芸出版社)2014年12月第1版発行
 
== 関連項目 ==