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{{For|その他の用法|橋 (曖昧さ回避)}}
[[File:Akashi Bridge.JPG|thumb|250px|[[明石海峡大橋]]]]
'''橋'''(はし)、'''橋梁'''(きょうりょう)とは、人や物が、[[谷]]、[[川]]、[[海]]、[[窪地]]や[[道路]]、[[線路 (鉄道)|線路]]などの交通路上の交差物を乗り越えるための構造物である(道路、窪地、線路などを跨ぐ橋は'''[[陸橋]]'''と呼ばれる)。
乗り越えるものにより、'''[[跨道橋]]'''や'''[[跨線橋]]'''など、個別の名称で呼ばれることもある。一方、[[水]]を渡すための橋を[[水道橋]] (aqueduct) と呼び、地上に長い区間連続して架けられている橋は[[高架橋]] (viaduct) と呼ばれる。
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=== 古代の橋 ===
[[File:Pont du Gard FRA 001.jpg|thumb|[[ポン・デュ・ガール]]]]
[[紀元前5世紀]]から[[紀元前6世紀|6世紀]]ごろには[[バビロン]]や中国で[[石橋|石造]]の[[桁橋]]が架けられていた。紀元前4000年ごろの[[メソポタミア|メソポタミア文明]]では石造[[アーチ橋]]が架けられている。紀元前2200年ごろ、バビロンでは[[ユーフラテス川]]に長さ 200 [[メートル|m]] のレンガ橋が架けられた。アーチ橋の架橋技術は、古代メソポタミア地方で発祥した技術が、東西に伝播して西洋と東洋それぞれ独自に発展したとする研究が<!--元工学博士の武部健一により-->発表されている{{sfn|武部健一|2015|p=9|ps=、武部「アーチは東漸したか」『第九回日本土木史研究発表会論文集』より孫引き。}}。
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=== 中世・近世日本の橋 ===
[[File:Hiroshige le pont Nihonbashi à l'aube.jpg|thumb|[[歌川広重]]『[[東海道五十三次]]』より「[[日本橋 (東京都中央区)|日本橋]]」]]
律令制度の衰退とともに交通路も衰退し、橋の整備も資力や技術に乏しい現地にゆだねられたため、架橋技術は発達しなかった。更に治水技術の未熟からしばしば発生した雪解けや大雨に由来する増水にも弱く、船橋のような仮橋や渡し舟による代替で間に合わされるケースが多かった。こうした傾向は江戸時代末期まで続き、江戸時代に大河川に架橋がされなかったのも、実際には軍事的な理由とともに技術的要因による部分も大きかった。
そうした中でも特徴的な架橋の例はあり、[[鎌倉時代]]においては僧侶の勧進活動の1つとして、[[重源]]による瀬田橋や[[忍性]]による宇治橋の再建などが行われた。これは人々の労苦を救うとともに架橋を善行の1つとして挙げた[[福田思想]]の影響によるところが大きいとされている。安土桃山時代から江戸時代に入ると、都市部や街道においてようやく橋の整備が進められるようになった。江戸時代の大都市には[[江戸幕府|幕府]]が管理した橋と町人が管理して一部においては渡橋賃を取った橋が存在し、江戸では「御入用橋」「町橋」、大坂では「[[公儀橋]]」「町人橋」と称した。また、江戸時代以前の日本では木造の橋がほとんどであったが、九州や琉球では大陸文化の影響を受け、明出身の僧侶[[如定]]による[[長崎市|長崎]]の[[眼鏡橋 (長崎市)|眼鏡橋]]の造営をはじめとする石造りの橋が多く作られるようになり、江戸時代末期に作られた[[肥後国]]の[[通潤橋]]は同地方の石工らによって様々な工夫がされたことで知られている{{sfn|浅井建爾|2001|p=212}}。また、石積みの橋桁と木製のアーチを組み合わせた[[周防国]][[岩国市|岩国]]の[[錦帯橋]]など、中小河川における架橋技術の発達を示す例が各地でみられるようになった。
この他、[[八橋]]と言って、川底が浅い場所に杭を打ち、その杭の間に板を渡すという方法で作られたために、川の途中で曲がりくねった構造をした木造の橋が作られたこともあった。なお、2016年現在の日本においても「八橋」と言う地名が残っている。
=== 産業革命後の橋 ===
[[File:The world's first iron bridge.jpg|thumb|[[アイアンブリッジ (橋)|アイアンブリッジ]]]]
18世紀末期から19世紀にかけて、産業革命によって生じた[[鉄]]を用いた橋が出現する{{sfn|浅井建爾|2001|p=221}}。鉄の出現により橋梁技術が飛躍的に向上し、橋脚と橋脚の間隔を示す支間長(スパン)が大幅に伸びて長大橋が建設されるようになる{{sfn|浅井建爾|2001|p=221}}。日本で最初の鉄橋は、1868年(慶応4年)に長崎の眼鏡橋が架かる中島川の下流にオランダ人技師の協力を得て架けられた[[くろがね橋]]である{{sfn|浅井建爾|2001|p=221}}。純日本国産の鉄橋第1号は、1876年(明治11年)に東京の[[楓川]]に架けられた[[楓川#楓川に架かる橋|弾正橋]]であり{{sfn|浅井建爾|2001|p=221}}、鋼橋としては、1888年(明治21年)に完成した[[東海道本線]]の天竜川橋梁が日本初である{{sfn|浅井建爾|2001|p=221}}。さらに鉄道網の進展、[[自動車]]の普及と交通量の変化に合わせて重い[[活荷重]]に耐えられる橋が要求されるようになって、1900年代に入ってから鉄筋コンクリート製の橋も造られるようになった{{sfn|浅井建爾|2001|pp=212,221}}。また、経済の急速な発展に伴い、経済的で短い工期が重視された。
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日本全国には約15万7千(15m以上)の橋がある。橋に求められる要件は、橋に掛かる荷重を支えること及び荷重が掛かっても変形が大きくなり過ぎないことである。特に[[地震]]や[[台風]]の多い日本では、地震発生時及び台風通過時の安全性を確保することが重要になる。また、橋には実用性だけではなく、デザイン性も求められる。橋のような大きく目立つ構造物はその地域のシンボルになりうるため、構造物自体の優れたデザイン性や周囲と調和するデザインを有していなければならない。
さらに、莫大に膨れ上がった[[公共事業]]費の削減が叫ばれる日本では経済性も重要である。国が直接管理する橋は5年ごとの定期点検が行われているが、7県と1567市町村では橋の点検をしていないことが2007年時点で判明
{{Main2|日本の道路橋に対する技術基準の変遷については、[[道路橋示方書]]を}}
== 一般的な構造 ==
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=== 上部構造 ===
上部構造(Super-structure)は川や道路などを横断する部分であり、車両や人間はこの上、または内部を通過することで橋を渡る。支間長に応じて各種の構造形式が提案されており、橋の外観にもっとも影響を与える部分である(構造別による橋の種類を参照)。桁橋やトラス橋などの場合、主に荷重を受け持つ主桁や主構などと、車両や人などを直接支える路面をつくる床板(しょうばん)、床板を支える縦桁と横桁が主要な部材である。[[吊り橋]]や[[斜張橋]]では主塔やケーブルも上部構造に含まれる。さらに、車両や人などが橋から落下するのを防ぐ高欄(こうらん、欄干・らんかん)や自動車防護柵、照明柱などの付加物、下部構造とをつなぐ[[支承]](ししょう)や道路と橋梁の境にあたる[[伸縮継手]]も上部構造に含まれる。
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橋の構造形式には以下のような種類がある。なお、主な部材に働く力については、[[構造力学]]、[[材料力学]]、[[力学]]などの項目を参照のこと。
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*[[吊り橋]] - [[ケーブル]]、[[ロープ]]など曲がりやすいが引張強度が大きい部材から桁あるいは床版を吊り下げた橋を呼ぶ。近代以降の大規模な吊橋は、両岸に大きな質量を持つ[[アンカーブロック]]やアンカレイジと呼ばれる[[橋台]]とその橋台の間に2本以上の[[主塔]]を設け、その間に張り渡したケーブルから通行路となる桁を吊り下げる形式を採る。このような吊橋では、桁および荷重の全ては、ケーブルおよびケーブルから下げられたハンガーが受け持つため、桁自体は通行路として橋の形状を保つ程度の剛性があれば十分なことから[[補剛桁]]と呼ばれる。ケーブルには引張力、主塔には圧縮力が作用する。アンカレイジはケーブルに生じる引張力に対してその質量および底面の摩擦力によって抵抗する。なお、主塔とケーブルが接触する主塔頂部のサドルの形状を固定式とする場合、荷重の偏在によっては主塔に曲げ応力が生じる場合があるので留意する。ケーブルには高強度の鋼、主塔には鋼やコンクリートが主に用いられる。橋台から床版を直接吊り下げる「吊床版橋」がある。アンカレイジを用いず桁の両端でケーブルを固定する「自碇式吊橋」「自定式吊橋」という形式もあるが、橋桁に大きな圧縮力が働くので設計が複雑になる。
*[[斜張橋]] - 吊り橋の一種で、支点となる主塔から斜めに張ったケーブルで橋桁を吊ったもの{{sfn|浅井建爾|2001|pp=214-215}}。主塔上部から斜めに伸びた多数のケーブルが橋桁などの鉛直荷重を受け持つとともに、桁に対して圧縮力となる軸力を導入する。ケーブルには引張力が生じるため、鋼製。主塔には圧縮力がはたらき、桁には曲げモーメントと軸力が作用するため、コンクリートが用いられることが多いが、軟弱地盤の場合は主塔にも鋼構造が用いられる。また、多々良大橋のように、主塔の設置箇所の制限から、中央径間と側径間との延長のバランスが悪い場合、主塔に曲げ応力が生じるのを回避するため、単位長さ重量の大きいコンクリートと小さい鋼とを組み合わせた複合構造を用いることもある。ケーブルの張り方によって、主塔側面の異なった高さから斜め平行に張られる「ハープ」と主塔上部の一点から放射線状に張られる「ファン」の2つの形式があるほか、張る面を桁中央(道路の場合は中央分離帯)に寄せる1面吊り、桁側端に分離する2面吊り、1面に2条近接させる形式等、さまざまなバリエーションがある。<ref name = "橋 HASHI"/>。美観に優れることから、近年採用例が増えつつある{{sfn|浅井建爾|2001|pp=214-215}}。
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[[File:Tower bridge London Twilight - November 2006.jpg|thumb|跳開橋 [[タワーブリッジ]]]]
[[File:Ponte Vecchio 001.jpg|thumb|家屋付きの橋 [[ヴェッキオ橋]]]]
* [[可動橋]] - 河川上を船が通過するときに橋の一部が動くことで航路を確保している橋。架橋技術の進歩で桁下の空間が大きくとれるようになったので新規の架橋は少ない。形状によりさらに旋回橋、昇開橋、跳開橋、引込橋、等に分類される。
* [[運搬橋]] - 可動橋と同様、航路を確保するために考えられた形式。非常に高い位置に橋をかけ、そこからワイヤーで吊したゴンドラを行き来させることで人や荷物を対岸まで輸送する。現存数は非常に少ない。
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=== 中世・近世 ===
[[File:Mostar bridge.jpg|thumb|[[スタリ・モスト]]]]
* [[魔橋]]([[スイス]]/シェーレネン渓谷) - 石造アーチ橋。[[アルプス山脈|アルプス]]越えの新規ルート開拓でヨーロッパの交通史で重要。「魔橋」または「悪魔の橋」 (Devil's bridge) は、他にも欧州各地に存在。
* [[盧溝橋]](中華人民共和国・[[河北省]]/[[永定河]]) - 石造アーチ橋([[1192年]])
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=== 近代~現代 ===
[[File:GoldenGateBridge-001.jpg|thumb|[[ゴールデン・ゲート・ブリッジ]]]]
* [[ウェストミンスター橋]]([[ロンドン]]/[[テムズ川]]) - 石造アーチ橋([[1750年]])
* [[アイアンブリッジ (橋)|アイアンブリッジ]](コールブルックデール橋)([[イギリス]]・[[アイアンブリッジ峡谷]]) - 世界初の鉄橋。アーチ橋([[1779年]])世界遺産に登録されている。
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[[File:20100724 Iwakuni 5235.jpg|thumb|[[錦帯橋]]]]
[[File:Togetsukyo in Kyoto Arashiyama.jpg|thumb|[[渡月橋]]]]
伝統があるか、または伝統的な構造を
*'''街道筋の橋'''
*:江戸時代まで、街道筋といえども橋は多くなく、大きな川ほど[[渡し船]]や[[川越 (渡河)|川越]](かわごし)を使って越えるものが多かった。架橋の少なかった理由は維持経費などの関係と、また防衛上の理由も大きい。
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==== 近代的な橋 ====
<!--各項目ごとに五十音順で-->
近代以降に近代的な技術を使って新設された橋。
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== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書 |author=浅井建爾 |edition= 初版|date=2001-11-10 |title=道と路がわかる辞典 |publisher=[[日本実業出版社]] |isbn=4-534-03315-X |ref=harv}}
* [[鈴木理生]]『江戸の橋』三省堂 ISBN 4-385-36261-0
* {{Cite book|和書|author=武部健一 |title=道路の日本史 |edition= |date=2015-05-25 |publisher=[[中央公論新社]] |series=中公新書 |isbn=978-4-12-102321-6 |ref=harv}}
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{{河川関連}}
{{
[[Category:橋|*]]
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[[Category:建築物]]
[[Category:工作物]]
[[new:ज्याभः]]
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