「三上章」の版間の差分

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== 三上章の理論 ==
しかし[[益岡隆志]]の研究(『三上文法から寺村文法へ』)とその研究過程で公刊の運びとなった[[博士論文]]によってその緊密な体系性が明らかとなった。{{要出典範囲|date=2014年2月25日 (火) 14:57 (UTC)|「三上文法」はテーマ、アプローチにおいて現代の[[理論言語学]]に先行し、それらが論理的緊張関係の下で地位が与えられている。さらにその中ではそれまでの国内外の理論に対する批判的発展も含まれており、[[国語学]]と[[言語学]]の美しい調和が見られる}}
 
=== 主語廃止論 ===
{{main|日本語#主語廃止論}}
{{独自研究範囲|date=2014年2月25日 (火) 14:57 (UTC)|三上の研究は、日本語研究において[[統語論]]を他の領域と分けて研究した点にもっとも先駆的なところを見出すことができる。[[論理学]]においては[[意味論]]と統語論が截然と分かたれているが、[[自然言語]]の研究においては、かつては大勢とは言えなかった。[[生成文法]]における統語論の研究から一般的となったこのような方法論に関して三上は時代に先んじていたと言え、生成文法の研究者の中に三上の研究を支持する者が多く、また逆に三上も生成文法を「科学的」と評価していた。三上の活動の中でもっとも有名なのは「主語廃止論」であろう。これは、正しく捉えるならば、[[用語]]の混乱による研究の停滞を激しく攻撃したものであり、決して「[[主語]]」相当のものを言語研究から排除するものではなかった。三上のこの戦略は成功したとも言えるし、失敗したとも言える。それは、三上以前に用語の混乱を逃れるため、[[話題|主題]]を顕在化して持つ文と持たない文の違いを深く研究した[[松下大三郎]]がいるし、さらに元はと言えば「主語」とは論理学において主題相当のものにあたるものの訳語であった。そして一方では「主語廃止論」をよそに、現在も[[学校文法]]で「主語」という言葉が用いられ、日常にも浸透している。しかし、そういった戦略的側面を除いても、「主語」で隠されていた様々な現象を解き明かしていった三上の功績は現代的観点からも輝きを失っていない。例えばガで表示される名詞句の他の格に対する圧倒的な特殊性(三上は「優位性」と述べた)の指摘、主題に関わるさまざまな現象の観察の深化など}}。
 
=== 活用の研究 ===
{{独自研究範囲|date=2014年2月25日 (火) 14:57 (UTC)|日本語の統語論における「主述関係」という、重大テーマと考えられていたものは[[擬似問題]]として消去され、それによって[[述部]]と他の要素との関係というテーマが浮かび上がってきた。これには[[述語]]と[[補語]]の関係ももちろん含まれるが、三上が新たに切り開いたのは主節述部に従属する述部の性質の研究である。これはすなわち「[[活用]]」の研究である。しかし活用研究とは言っても[[本居春庭]]より続く研究の流れではなく、むしろ西洋の活用([[法 (文法)|ムード]])に近い視座であり、さらにそれを統語現象から特徴付けていくこと、他の現象との関連性を見出していくこと、という点で重要な結果をもたらした。三上はムードは段階性を持つ力学的概念として「陳述度」、あるいは言葉にひねりを加えて「ムウ度」と呼んだ。これは従属節述部の補語をまとめる(三上の表現では「食い止める」)力と、主節述部からの支配の強弱を表す力を指す用語で、この一語で二つの力学的概念を表すことは、その両者に相関関係を認めるということであった。これは[[南不二男]]の[[従属句]]と文の[[段階]]の研究に先んじるものである}}。
 
{{独自研究範囲|date=2014年2月25日 (火) 14:57 (UTC)|主節の陳述度を1とし、今日の[[日本語学]]の用語でいうと[[命題]]にあたる「不定法部分」(連用形節などがこれにあたる)の陳述度を0として二つの極を設定し、様々な従属節述部を1から0の間の値に位置づけた。この陳述度決定において重要なのが''実験''であり、統語論に科学的手法の一つを加えることになった。実験の一つに「ガノ可変」がある。現代日本語においては、形容動詞を除き終止形と連体形の区別はない。しかしだからといって等しい陳述度を担うのではなく、終止法においては連体法より高い、主節に近い値を持つ。ガノ可変は典型的には[[関係節]]に見られる現象で、この現象を指標として陳述度の違いを検出した。このような実験によって従属節述部は「~式」という分類がなされる(単式、軟式、硬式、遊式)}}。
 
{{独自研究範囲|date=2014年2月25日 (火) 14:57 (UTC)|このような研究で、[[構成素]]構造の階層性を示す[[樹形図]]に相当する「立ち木式」が示された。その一方で陳述度には「通過する」「迂回する」というような表現が用いられ、線状に並ぶ要素間に働く力学的概念と考えることができる。後者については今日から考えると、文頭から順に解析していく際に、パーザが構成素構造の構築において複数の述部に支配させるか、保留して文末で解決させるか、というような考え方と結びつけることができ、またそれを[[範疇文法]]にしたがって等価な表現にすぐに置き換え可能なものということができよう。三上は時代の先を行き過ぎていたと言える}}。
 
=== 動詞の分類 ===
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