「朝鮮料理」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m 誤字
記事の存在する料理追加など
10行目:
[[ファイル:Korea-Seoul-Insadong-Sanchon-02.jpg|thumb|220px|ソウルの精進料理店の膳]]
[[朝鮮半島]]では、現在[[稲作]]が盛んなため、[[米]]食を中心にしてきたように考えられることが多いが、半島の北半分は[[亜寒帯冬季少雨気候]]に属し、伝統的に稲作が行われていた地域は南の[[温暖湿潤気候]]地域の中でも南西部の一部に限られており<ref>
[http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/jimusyo/165SEOUL/index.html 自治体国際化フォーラム]リンク切れ</ref>、食文化的には[[アワ|粟]]や[[キビ|黍]]、[[コムギ|小麦]]、[[ソバ|蕎麦]]、[[モロコシ|高粱]]、[[トウガラシ|唐辛子]]同様に[[近世]]になって[[新大陸]]から導入された[[トウモロコシ]]といった[[畑作]]で得られる[[穀物]]を主食素材としてきた地域も多い。[[ユーラシア大陸]]東部全域を見渡すと、南方の稲作文化圏と北方の[[雑穀]]畑作・[[牧畜]]文化圏の境界部・接点に位置すると言える。又、栽培された[[野菜]]および、[[ワラビ]]、[[ゼンマイ]]、[[キキョウ]](トラジ)といった[[山菜]]の消費量が世界的に見ても高く、それらを用いたメニューが多い。また海に囲まれた地理ゆえ、[[海藻]]類や魚介類の消費量も多く、魚介類の生食も行われるようになった。韓国では以前は一般家庭では肉よりも魚や野菜を主とした食卓が普通であった。[[仏教]]の影響を受け、一部で寺刹料理、[[精進料理]]を食べる人もいる。
 
周辺の[[日本料理]]や[[中華料理]]と比べ、[[スープ]]類(湯:タン、クㇰ)が多く、[[唐辛子]]を用いた料理が多い。唐辛子は元々[[中南米]]原産だが、[[17世紀]]に日本を経由して朝鮮半島に入り(このため当初「倭芥子」と呼ばれた<ref>『芝峰類説』、1613年</ref>)、現在の韓国・朝鮮料理に彩りと辛みを添える上で欠かせない食材の一つとなっている。
 
[[道教]]の[[陰陽五行]]の思想にのっとり、五味(甘、辛、酸、苦、塩)五色(赤、緑、黄、白、黒)五法(焼く、煮る、蒸す、炒める、生)をバランスよく献立に取り入れることを良しとする<ref name="ri">{{cite | author=李信徳 | publisher=[[柴田書店]] | title=韓国料理 伝統の味・四季の味 | version= | year=2001 | chapter= | page=171}}</ref>
 
一食の構成は、メインメニュー(多くはスープ類)に御飯(白米、[[赤米]]や、その他の穀物を炊き合わせた雑穀米など)と、[[キムチ]]、[[ナムル]]等のおかず(ミッパンチャン)が数種類という組み合わせであり、韓定食の飯床(パンサン)のルール(「韓定食の献立」で後述)にある程度従っている。食堂ではキムチなどのミッパンチャンは無料で供され、お代わりも自由である。[[粥]]や[[麺類]]等は[[点心]](軽食)とみなされ、おかずの種類が少なめの小膳が組まれることが多い。一般におかず類の味付けには[[醤油]]、[[胡麻油]]、[[ニンニク]]、[[ネギ]]、[[ショウガ|生姜]]、[[唐辛子]]等による合わせ調味料「[[ヤンニョム]](薬念)」を用いる。肉は、[[ウシ|牛]]、[[ニワトリ|鶏]]、[[ブタ|豚]]、又その[[内臓]]も使う。野菜や山菜からなる[[ナムル]]は各家庭で常備してあり、毎回の食事で多種類のおかずが食卓に並ぶように配慮するのが一般的である。朝鮮半島には[[ヌロンイ]]という食用[[イヌ|犬種]]が存在し、韓国では[[犬食文化#朝鮮半島|犬肉]]もよく食べられる。2006年、韓国の国務調整室が行った調査結果によると、今も年間200万頭の犬が食べられている<ref>[http://japanese.joins.com/article/096/81096.html?sectcode=&servcode= 犬肉、年間200万頭・1兆4000億ウォンを消費]</ref>。[[1988年]]の[[ソウルオリンピック]]開催を境に違法となったが、ソウル市内だけで今も530店舗ほどの犬肉料理店が営業を行っている<ref>[http://www.afpbb.com/articles/-/2378286?pid=2832912 ソウルの犬料理店、初の食品安全検査へ]</ref>。寒冷な気候から保存食である[[発酵食品]]が発達した。[[テンジャン]]や[[コチュジャン]]、[[チョングッチャン]]といった[[味噌]]類や[[キムチ]]、[[マダラ]]の内臓を発酵させた[[チャンジャ]]等を、各家庭ごとに作る。保存食としては、他に魚の[[干物]][[チョッカル]](塩辛)、[[なれずし]]に似た[[シッケ (発酵食品)|シッケ]]、乾燥させた山菜や海草類も作られている。
 
== 様式・マナー ==
22行目:
食事には、[[金属]]製の[[匙]](スッカラッ)と[[箸]](チョッカラッ)を用いる。食器は、現在、白いプラスティック製やステンレス製が一般的である。毒物による暗殺を恐れた王族や両班が、化学変化しやすい[[黄銅]]や[[銀]]の食器を使用することもあった。匙と箸は、日本同様もともと横向きに置いていた。しかし現在では、食卓の右側に縦向きに並べる。匙と箸を併せてスジョ({{lang|ko|[[:ko:수저]]}}、匙箸)といい、匙と箸を置く日本の[[箸置き]]のようなものはスジョパッチム({{lang|ko|수저받침}})という。箸を器の上に置くのは、日本同様マナー違反である。食事中、匙を器の中に入れておいたり、器の端にかけておくこともある。
 
食器を持ち上げるのは原則マナー違反であり、食器は持ち上げずに置いたまま、ご飯や汁物は匙で、汁のないおかずは箸を使って口に運ぶ。ただし、スンニュン([[お焦げ]]に湯を加えてお茶のようにしたもの)を飲む時や、冷麺を食べる時、汁物を食べ終わって最後に飲み干す時などは、器を持ち上げても構わないとする見解もある。ご飯(パ<small>プ</small>)を汁物(クㇰ)に浸し、混ぜて食べる(クㇰパ<small>プ</small>=[[クッパ (料理)|クッパ]])のはマナ違反ではない。床に座って食事をする場合、片膝立座で座るのが朝鮮の正式[[座法]]である。
 
[[儒教]]の影響で、目上の人より先に箸を付けず、目上の人と酒を酌み交わす際には左手をひじや胸に添える。また目上の人の前で飲酒をする場合、目下の者は目上の人から顔を背け、手で口元を隠して飲まなければならない<ref>[http://www.asahi.com/international/korea/TKY200707230477.html 韓国式焼酎の飲み方] 朝日新聞 コリアうめーや!! 2007年7月24日</ref>。また女性は、酌をしてはいけない。食事中の喫煙は目上の人の前では許されず、たとえ街角の屋台であっても、年長者に先立って煙を吹かすのは不快感を与える場合があり、言付け程度の許可は必要である。
29行目:
 
== 飯床 ==
伝統的なご飯膳の組み方を飯床(パンサン)という。「床」とは食べ物をのせる膳のことであり、飯床とは朝夕の献立で、主食のご飯と副食で成り立っている(昼食は[[点心]](チョムシム)と呼ばれ、「心に点をつけるように」お粥や麺類で軽く済ませることが多い)<ref>李、p. 171-172</ref>
 
飯床では、ご飯、スープまたは[[チゲ]]、キムチはすべての場合についてくる。その他におかずの数によって、三楪飯床(サンチョプパンサン)、五楪飯床(オーチョプパンサン)、七楪飯床(チㇽチョプパンサン)、九楪飯床(クーチョプパンサン)、十二楪飯床(シビチョプパンサン)とおかずの数が増える(楪(チョプ)とは蓋付きの器の意)。一般家庭では三楪か五楪の膳が組まれ、七楪、九楪となるとかなり豪華な膳である。十二楪はかつての宮廷だけの献立であった。飯床は、日本の本膳の立て方とも共通点が多い。
 
飯床を基に食堂のメニューとして発達したのが韓定食(ハンジョンシク)であるが、韓定食の名は古い文献には出てこない。各地の[[両班]]の御膳が商品化されたという説が有力。
 
;三楪飯床(一汁三菜)
:ご飯、スープ、[[キムチ]]一品、[[醤]](ジャン)類(調味料)一品、チョリム(煮付け)または[[クイ]](焼き物)一品、[[ナムル]]または生菜(センチェ)一品、常備菜(チャンアチ、[[塩辛]]、[[チャーバン]](干物))一品
48 ⟶ 49行目:
[[ファイル:Koreanthanksgiving-chuseok.jpg|thumb|200px|[[秋夕]]の供え物]]
[[太陰暦]]によって行事を行い、[[四季]]毎に家庭で食材を仕込む習慣がある朝鮮半島では、行事に合わせて'''チョルシク'''(節食)と呼ばれる特別料理を食べる伝統もまだ生きている<ref>朝日新聞社、『週刊朝日百科 世界の食べ物』「第8巻 80号 朝鮮半島2」、pp8-253-256、1983年</ref>。中国や日本の習慣とも関連がある。
*セージョンサン(歳饌床):[[ソルラル]]:[[正月]]、旧暦1月1日。[[おせち料理]]に当たるセージョンサン(歳饌床)。トックク([[トック]]の雑煮)、{{仮リンク|油菓|ko|유과}}(ユグァ、揚げ菓子)、肉類、[[シッケ]]などを用意する。
* [[五穀|オゴ{{仮リンパプ]](五穀飯):|テボルム|ko|유과}}:[[小正月]]、旧暦1月14日から15日に、ナムルとともに[[五穀|オゴクパプ]](五穀飯)を9回食べる他、[[薬食]](ヤクシク)を食べる。
*{{仮リク|サムジンナレファチェ(|ko|삼짇날}}:[[ツツジ上巳]]の花菜):3、旧暦3月3日野に出て遊ぶファジョン(花煎)ノリ(화전놀이)を行う。[[ツツジ]]が咲く地方では、五味子[[チョウセンゴミシ]][[蜂蜜]]を入れた汁にゆでたツツジの花を入れたチンダルレファチェ([[ツツジ]]の{{仮リンク|花菜 (韓国料理)|label=花菜|ko|화채}})を飲む。春の花を乗せて焼いた丸いお焼き、ファジョン({{仮リンク|花煎|ko|화전 (음식)}})を食べる
* 燈夕(トゥンソク(燈夕):4月8日の[[灌仏会]]。寺に参ったり、[[精進料理]]でもてなす。
*[[端午]](タノ):旧暦5月5日。[[ヨモギ]]や[[チョウセンヤマボクチ]]を練り込んで車輪の型で押したトック(車輪餅 チャリュンビョン)や[[ユスラウメ]]のファチェをいただく。
*チャリュンビョン(車輪餅):5月5日に作る車輪模様をつけた[[草餅|よもぎ餅]]。
*[[秋夕|]](チュソク]](秋夕):8):旧暦8月15日の仲秋節。先祖に供えるための供え物を用意する。[[リョクトウ]]などの[[餡]]を詰め、松葉と共に蒸したソンピョン(송편、松편)というトックを食べる。
*パッチュク(小豆粥):[[冬至]](トンジ):[[厄払い]]の目的でにパッチュク([[小豆粥]])を食べる。
 
== 地方料理 ==
62 ⟶ 63行目:
: そのほか、[[スンデ]]クッパも北朝鮮が本場であり、北からの移住民によって韓国に広まった料理である。また、温飯(オンバン)も平壌で発達したクッパの一種である。
; [[咸鏡道]]
: 咸鏡道で多く取れるジャガイモのでんぷんから作った麺に、辛いコチュジャンだれをからめた'''ビビン冷麺'''(ノンマグクス)は、平壌冷麺と並んでよく知られている。韓国では'''[[咸興]]冷麺'''と呼ぶが、これは咸鏡道出身者によって平壌冷麺と差別化のために名づけられた呼称である。平壌冷麺と比べて麺が容易に噛み切れないが、咸鏡道出身者にとっては噛み切ることで冷麺の味が分かるという。
; [[黄海道]]
: 黄海道は穀倉地帯で、北朝鮮のほかの地域に比べて食文化が豊かとされる。北朝鮮で有名な'''[[海州市|海州]]ビビンバ'''は[[ラード|豚の油]]で炒めた飯を使うのが特徴。また生のナムルではなく干したものを使うことも特徴である。また、北朝鮮では淡白な味を好むためか、ビビンバはコチュジャンではなくカンジャン(醤油で食べるという。
; [[京畿道]]
: 1970年代の[[仁川広域市|仁川]]で、[[冷麺]]工場"クァンシン製麺"で間違って太く作られた冷麺の麺に、甘辛いたれをからめた'''チョル麺'''が生まれた。また仁川の[[中華街]]が発祥といわれる'''[[チャジャンミョン]]'''も有名である。
; [[忠清道]]
: 朝鮮半島の中西部に位置し、米や麦などの穀物類を中心にクス(汁麺)・トック(餅類)などの種類も多い。カルグクスの前身ともいわれる'''ジェムルクッス'''が有名。味付けは比較的薄味で量は大目に供される。
; [[全羅道]]
: [[後百済]]の都があった全羅道は肥沃な平野に属し、穏やかな気候ゆえ古来から農耕文化の中心であった。また海産物や山菜が豊富であったゆえ食文化が発達し、現在味といえば全羅道として韓国人に認識されているほど食文化の本場とされている。それは、グルメ番組で店主が全羅道出身であることが強調されるほどだという。
: 全州文化院のソ・スン院長によれば、全羅道で食文化が発達した背景には、宮廷料理、両班の料理、庶民の料理が分けられていた王朝時代において、食材豊かだった全羅道は他の地域に比べて庶民が両班の料理をまねしやすく、両班の料理が郷土料理として定着したことにあるという。
: ビビンバで最も有名なものが全州ビビンバである。韓国でビビンバといえば、全州式であることが多い。南北東西と中心を表す「青・赤・黄・白・黒」で具がまとめられているのが特徴である。
77 ⟶ 78行目:
; [[慶尚道]]
: 平壌冷麺や咸興冷麺よりも知名度は低いが、昔から平壌冷麺と並び有名だったものに'''[[晋州市 (慶尚南道)|晋州]]冷麺'''がある。1994年の北朝鮮の文献『朝鮮の民族伝統』でも、この二つを冷麺の一番として紹介している。晋州冷麺の他の冷麺と大きく異なる特徴は、海産物を使った独特のスープである。晋州ではかつて「北の平壌、南の晋州」といわれるほど[[妓生]]文化が発達しており、この料理は料亭で富裕層の朝鮮人や日本人、妓生たちによって食べられていた。また'''晋州ビビンバ'''は、彩の美しさから「花飯(ファパン)」とも呼ばれる。起源には諸説あるが、最もよく言われるのは[[晋州城の戦い]]のとき、軍人たちが簡単に食べられるように作られたとするものである。
: [[釜山広域市|釜山]]の代表的料理は'''ミルミョン'''である。[[釜山鎮区]]伽倻2洞の店から広まったため'''伽倻ミルミョン'''と呼ばれることが多い。「ミル」とは朝鮮語で[[ムギ|麦]]のことであり、その名の通り[[コムギ|小麦]]で作られた黄色い麺の料理である。北部からの移住者が創始者で、米軍が配給した小麦に目を付けて小麦の麺で冷麺を作ったところ、すぐ噛み切れるために気性のせっかちな釜山の人々に好まれたのだという。また、北朝鮮が本場のスンデクッパが釜山に伝わった際、釜山の人々は内臓食を好まず、戦後に比較的入手しやすかった豚肉をのせ、すぐに用意できる'''デジクッパ'''が生まれたといわれる。'''[[東莱]][[チヂミ|パジョン]]'''は、東莱と[[機張郡]]で採れる[[ネギ]]を入れることによって生まれた独特なパジョンである。酢入りの[[コチュジャン]]、チョコチュジャンを付けて食べる。
; [[江原道 (朝鮮八道)|江原道]]
: 江原道の料理は、[[太白山脈]]を擁する山深い地形と不可分の関係にある。そば[[蕎麦粉]]溶いて薄く[[クレープ]]のように焼いた、'''メミルジョンピョン'''(チョントック)という料理が知られている。
; [[済州道]]
: 温暖であるが火山島のために肥えた土壌が少なく、また、[[元朝]]が[[済州島]]の住民への妨害のために消化の悪い[[ソバ]]の種を伝えたため、朝鮮で初めてソバの実が伝わったのが済州道である。チョントックとよく似た'''ピントック'''という料理がある。周囲は[[ケンサキイカ]]、[[アマダイ#日本近海産のおもな種類|アカアマダイ]]、[[タチウオ]]などの漁や、[[アワビ]]、[[ウニ]]、[[ワカメ]]などの[[海女 (韓国)|海女]]漁が盛んな海のため、これらを使った料理が多い。刺身と[[キュウリ]]、[[ゴマ]]などの薬味を唐辛子や酢で味を付けた氷入りの汁で食べる'''ムルフェ'''、[[フェ]]、干物の[[焼き魚]]、アワビ粥(チョンボクチュク)、ウニワカメスープ、海産物スープの'''トゥッペギ'''などが有名。また、伝統的には家庭の[[便所|厠]]で飼っていた[[ブタ|黒豚]](ホクテジ)を使った'''オギョプサル'''や[[プルコギ]]などの焼き肉料理も有名。味付けは、唐辛子の辛みが少ない。
; [[朝鮮族]]
: [[中華人民共和国|中国]]の[[吉林省]]などの[[中国東北部|東北三省]]に多く居住する朝鮮族の料理は、中華料理の地方料理である[[東北料理]]に影響を与え、近年は中国の各地にも店が増えつつある。また、犬肉文化が盛んである。[[延吉市]]内には多くの犬肉料理店があり、市内を走る海蘭路は「狗肉路」と呼ばれている。<ref>http://www.searchnavi.com/~hp/dog/eiyou.htm</ref>
87 ⟶ 88行目:
== 韓国における外食産業 ==
[[File:Chijimi at Seoul.JPG|thumb|right|[[ソウル特別市|ソウル]]・[[仁寺洞]]の屋台で出された[[チヂミ]]]]
[[File:Korean Breakfast.JPG|thumb|right|[[仁川国際空港]]の食堂で出された朝食。定食には大根[[キムチ]]漬けの大根などが、定食には決まってついてくる。]]
庶民の生活に定着しているものに[[屋台]]がある。屋台にはノジョム(露店)とポジャンマチャ(「布張馬車」=幌馬車)がある。ノジョムは[[トッポッキ]]、[[キムパプ]](韓国式海苔巻き)、[[トースト]]([[ホットサンド]]のこと)などの軽食や、[[ホットク]][[鮒パン|プンオパン]]([[たい焼き]]に似た「フナ焼き」)などのおやつ類を販売し、立ち食いが主となる。いっぽう、ポジャンマチャは可動式の[[飲み屋]]で、椅子を置き、周囲をビニール幕などで覆うことが多い。リヤカーを改造した程度の小規模なものが主流だが、周辺にテーブルセットをいくつか配して大型の店舗形態を成すものもある。厳寒の冬季には[[ストーブ]]を入れて営業する。メニューは[[肴|酒肴]]となる[[モツ]]や魚介の炒め物、[[スンデ]]などから、スープや麺類まで幅広い。
 
日本の居酒屋的存在といえるのがHOF(ホープ)である。ぱっと見た限りではバーのような外観のところも多いが、多人数で気軽に飲食できるので若年層に人気がある。学生街や繁華街などに多い店舗形態である。多くのHOFでは客が長居をするほど[[果物|フルーツ]]などをサービスで提供する。これはサービス品の単価よりも客回転を下げてでも飲み物(酒類)による利益が高いためである。
 
その他の庶民料理としてプンシク(粉食)があり、代表として[[ラーメン|ラミョン]](ラーメン)がある。[[インスタントラーメン|即席めん]]を入れる鍋料理「[[プデチゲ]](部隊チゲ)」があるほどポピュラーなラーメンだが、日本のような専門店は一般的ではなく、プンシク店でもインスタントが主流である。このほか[[マンドゥ]]やキムパブ、トッポッキなどをプンシク店では安価に供する。一方、ラーメンと同様に中国にルーツを持ちつつ、韓国風にアレンジされた[[チャジャンミョン]](炸醤麺)等が中華料理店などの主力メニューになっている。
 
近年、宮廷料理や家庭料理等を取り入れたコース料理の韓定食(ハンジョンシク)が多くの韓国料理店で出されている。[[クジョルパン]](九節板/九折坂)と呼ばれる[[陰陽五行説]]に基づいた色とりどりの食材を小麦粉と卵を用いて作られた皮に包んで食べる料理等が有名である。
 
また、出前文化も発達しており、[[ピザ]]や[[フライドチキン]]などはもちろんのこと、上記のプンシクやチャジャンミョン、その他さまざまな出前が広く利用されており、家庭や職場などでも気軽に出前を頼むことが可能である。
105 ⟶ 106行目:
基本的に具が少なく一人ずつ供される[[スープ]]を指すのだが、実際には[[煮込み料理]]や[[鍋料理]]の様相となるものも多い。スープ(クク)に飯(パプ)を入れて食べるとクッパとなる。
* [[カムジャタン]]:名は「[[ジャガイモ]]汁」だが実際は豚の背骨にしゃぶりつく鍋料理。
* [[カルビタン]]:骨付き[[ウシ|]]カルビ肉で作るスープ。澄んだもの白濁したものある。
* [[コムタン (韓国料理)|コムタン]]:ソルロンタンと似た白濁スープ。牛の尾で作るとコリコムタンと呼ばれる。
* [[サムゲタン]](参鶏湯):若鶏にもち米と[[オタネニンジン|高麗人参]]、[[ナツメ]]などを詰めて煮た薬膳料理。
111 ⟶ 112行目:
* [[タットリタン]]:鶏肉とジャガイモなど野菜を辛味で煮込む家庭料理。
* [[チュオタン]]:[[ドジョウ]]をすり潰して入れるスープ。丸のまま入れるものもある。
* [[トガニタン]]:牛の[[膝蓋骨]]とその付近の肉を煮込んで作るスープ。
* [[ネジャンタン]](内臓湯):[[もつ]]と野菜を煮込んだスープ。
* [[ポシンタン]](補身湯):[[犬食文化|犬肉]]の鍋料理。盛夏などに栄養をつけるとして食べる料理。
* [[メウンタン]]:[[ヒラメ]]のアラなどでダシを取って作る、その名も「辛いスープ」。
* [[テグタン]]:[[マダラ]]の切り身が入った辛味のスープ。
* アルタン:明太子[[たらこ]]を具として辛味に煮込む料理。酔い覚ましに良いと言われる。
* シレギタン:[[ダイコン|大根の葉]]などの菜を辛く煮た汁物。家庭料理。
* [[ヘジャンクク]]:酔い覚まし用スープの総称。ソンジ(牛の血を固めたもの)を入れたものなどが有名。
* [[ミヨックク]]:[[ワカメ]]スープ。冷たいまま、もしくは凍らせて食べる。
 
=== 鍋類(チゲ、チョンゴル) ===
[[チゲ]]類の方がスープ類より汁が少なく、具沢山とされるが、区別は曖昧である。[[チョンゴル]](煎骨)は数人で1つの鍋をつつくスタイル。
*[[キムチチゲ]]:醗酵が進んだ[[ハクサイ|白菜]]キムチと肉・野菜で作る代表的家庭料理。
*コプチャンジョンゴル:牛の[[小腸]][[コプチャン]])を使った辛味のホルモン鍋。
*[[スンドゥブ|スンドゥブチゲ]]:[[純豆腐]](おぼろ豆腐]]を入れた辛いチゲ。
*チャムチチゲ:[[ツナ]]缶を使ったキムチチゲ。
*[[テンジャンチゲ]]:肉・野菜を味噌(テンジャン)味で煮込んだチゲ。
*トゥブチゲ(豆腐チゲ)
*トンテチゲ:冷凍[[スケトウダラ]]を使った辛いチゲ。
*[[プデチゲ]](部隊チゲ):[[ハム]]やラーメンを辛いスープで煮込んだチゲ。
*チョングッチャンチゲ(清麹醤チゲ):肉・野菜をチョングッチャンで煮込んだチゲ。
 
139 ⟶ 141行目:
*[[タッカルビ]]:カルビとあるが実際は鶏肉ぶつ切りを野菜と辛味で炒める鉄板料理。
*[[タッカンマリ]]:文字通り「鶏一羽」を水炊きし食卓で取り分け、好みのタレで食べる。
*[[トッカルビ]]:[[挽肉]]をカルビの形にして焼いた料理。
*[[サム (料理)|サム]]:葉野菜等で具を包んで食べる料理。
**[[ボッサム]]:茹でて薄切りにした豚肉のサム。
 
=== 海鮮類 ===
161 ⟶ 166行目:
 
=== お焼き類(チョン/煎) ===
*[[チヂミ]]:標準語では「プチムゲ」。[[パジョン]]はネギのお焼き
*[[ジョン (料理)|チョン]]:魚、肉、野菜などに衣をつけて焼いた料理。
*[[チャントッ]]
*[[ピンデトッ]]:[[リョクトウ|緑豆]]のチヂミ。
183 ⟶ 189行目:
=== 麺類(ミョン、ククス) ===
*[[麺|ククス]]:小麦粉で作った細い[[うどん]]様の麺。麺類全体をさす言葉でもある。
**[[カルグクス]]:ククスをスープに入れた温麺。
**[[コングクス]]:[[豆乳]]をスープにした冷製の麺料理。夏の風物詩。
**[[ビビンククス]]:ククスを薬念で和えた辛い冷麺。
*[[冷麺]](ネンミョン):ムル(スープ)冷麺とピビム(混ぜ)冷麺がある。
*[[チャジャンミョン]]:中式(中華風)の国民食。韓国風にアレンジされた[[炸醤麺]]。
*[[チャプチェ]]:唐麺(タンミョン)と呼ばれる[[春雨]]を野菜などと炒めた料理。
*[[ちゃんぽん|チャンポン]]:中式。スープに粉唐辛子が入っている。
 
207 ⟶ 214行目:
*[[韓国海苔]]:お土産でおなじみ。ごま油と塩で味付けされたものが主流。
*[[スンデ]]:韓国風[[ソーセージ|腸詰]]。豚の血を使うため黒い。そのまま、あるいは調理して食べる。
*[[チョッカル]]:塩辛、[[魚醤]]。[[カタクチイワシ]]の[[ミョルチジョッ]]、小エビのセウジョッなどがある。
*チョッパル:茹でた[[豚足]]):酒肴の定番。「豚を溶かす」と言われるセウジョッ(アミの塩辛をつけて食べる。
*[[ポンテギ]]:[[カイコ]]の[[さなぎ]]を煮た伝統的な間食。
*[[ミスッカル]]:蒸したり煎ったりした[[穀粉]]を混ぜ合わせたもの。
*[[トトリムク|ムク]]:[[ソバ]]、緑豆、[[ドングリ]]などの粉で作る寄せもの。野菜と和えるか、薬念のタレをつけて食べる。
*[[ユッス]](肉水):肉の茹で汁。[[出汁]]として利用する。
 
=== 菓子類 ===
韓国では、甘さ控えめの味付けが好まれる傾向がある。
*[[トック]]:練って、押し出して作る[[餅]]の総称。搗き餅、蒸し餅など類が豊富
*[[クルタレ]]:[[蜂蜜]]を細い糸状に伸ばして[[胡桃]]などを包む[[菓子]]。別名ヨンスヨム(竜髭)。
*[[ケランパン]]:[[今川焼き]]に似ているが、中に鶏卵が入っている。
*ヤックァ([[薬菓]]):小麦粉に蜂蜜や胡麻油を練り込んで成形し、揚げた菓子。
*ヤクシク([[薬食]]):蒸した[[もち米]]と小豆、[[クリ|栗]]、[[ナツメ]]、[[キャラメル|カラメル]]、醤油、ごま油、[[シナモン]]、[[松の実]]を混ぜ合わせて蒸した菓子。
*ヤクシク([[薬食]])
*[[パッピンス]]:小豆[[餡]]と果物などをトッピングした[[かき氷]]。
*[[ホットク]]:小麦粉を溶いた生地で[[黒砂糖]]、蜂蜜、[[シナモン]]などを包んで鉄板で焼いた菓子。
*[[鮒パン|プンオパン]]:韓国版[[たい焼き]]。「プンオ」とは[[フナ]]の意。
*ホミルホドゥ(ホドゥグァジャ):ライムギと小麦粉と砂糖を混ぜ合わせた生地のクルミ入り饅頭。「ホミル」とは[[ライムギ]]の意。「ホドゥグァジャ」とは胡桃菓子の意で胡桃の香ばしいにおいがする。
 
=== 飲み物 ===
226 ⟶ 237行目:
*[[シッケ]] : 甘酒の一種。食後のデザート飲料として好まれる
*[[スジョングァ]](水正果):干し柿から作る冷たい飲み物。これも食後に
*[[韓国の茶|茶]]:種類[[茶外茶]]が多く、い。ホットジュース風の甘いものもある
 
=== 酒類 ===