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== デンプンの生合成 ==
デンプンは植物の[[プラスチド]]で生合成され、特にデンプン合成が盛んでデンプンを貯蔵しているプラスチドを[[アミロプラスト]]とよぶ。細胞質からプラスチドに輸送された[[グルコース-1-リン酸]]や[[グルコース-6-リン酸]]や[[ADP-グルコース]] ([http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?cpd:C00498 ADP-glucose]) はプラスチド中で最終的にADP-グルコースとなり、ADP-グルコースのグルコース[[残基]]はデンプン合成酵素 ([http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?ec:2.4.1.21 starch synthase], EC 2.4.1.21, [http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?reaction+R02421+R06049 反応]) によって伸長中のアミロースやアミロペクチンの[[非還元末端]]のグルコース残基の4位の[[水酸基]]と[[脱水縮合]]して新たなα-1,4グルコシド結合を形成して取り込まれる。プラスチド中のデンプン合成酵素はデンプン粒結合型デンプン合成酵素 (GBSS: granule-bound starch synthase) と可溶性デンプン合成酵素 (SSS: soluble starch synthase) に大別される。GBSSはアミロースの生合成に関与している。SSSによって合成途中のα-1,4[[グルコシド結合]]のグルコース残基の直鎖が、枝分かれ酵素 ([http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?ec:2.4.1.18 branching enzyme], EC 2.4.1.18, [http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?reaction+R02110+R06186 反応]) によって一部切断され、その切断されて生じた還元末端のグルコース残基の1位の水酸基と直鎖部分の中間のグルコース残基の6位の水酸基の間でα-1,6グルコシド結合が生じる。こうして生じた分子中に存在する複数の非還元末端はSSSによって伸長するとともに枝分かれ酵素によって新たに非還元末端の側鎖が次々と形成される。余分なα-1,6グルコシド結合部分は[[枝切り酵素]]によって切断され側鎖は整理されて、アミロペクチンは合成される。つまり、アミロースとアミロペクチンの含量はGBSSとSSSの活性によって制御されている。よって、GBSSが欠損していればアミロペクチンのみを含む[[モチ]]性となり、SSSの活性が低下していると高アミロース含量となる。
 
GBSSの欠損変異は[[トウモロコシ]]や[[イネ]]においては''waxy'' (ワキシー) として知られている[[劣性]]変異遺伝子による。被子植物の[[胚乳]]中の細胞のゲノムは[[重複受精]]によって3''n''となるため、胚乳中のデンプンがアミロペクチンのみからなるモチ性となるためには、3''n''の全てのGBSS遺伝子が''waxy''変異を持たなければならない。そのため、モチ性の品種であってもその近傍にウルチ性の品種が存在すると[[他家受粉]]の結果、[[キセニア]]現象が生じてウルチ性の胚乳を持つ種子となる場合がある。