「関節炎」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m テンプレート引数の行末のバーティカル・バーを行頭に移す
1行目:
{{Infobox Disease |
| Name = 関節炎 |
| Image = |
| Caption = |
| Width = |
| DiseasesDB = 15237 |
| ICD10 = {{ICD10|M|00||m|00}}-{{ICD10|M|25||m|20}} |
| ICD9 = {{ICD9|710}}-{{ICD9|719}} |
| ICDO = |
| OMIM = |
| MedlinePlus = 001243 |
| eMedicineSubj = |
| eMedicineTopic = arthritis |
| MeshID = D001168 |
}}'''関節炎'''(かんせつえん、{{lang-en-short|Arthritis}})は、[[関節]]の[[炎症]]をともなう[[疾病]]の総称。症状には局所症状と全身症状があり、局所症状としては発赤、腫脹、圧痛、こわばり、可動域制限などが知られ、全身症状としては発熱、全身倦怠感、体重減少などが知られている。
 
29行目:
=== 急性多関節炎 ===
;ウイルス性多関節炎
ウイルス感染による関節炎は通常は急性多関節炎のパターンとなる。III型アレルギーの機序で感冒後に皮疹、関節炎がおこるヒトパルボウイルスB19によるもの、HBV、HCV、風疹、HIVなどによるものもここに含まれる。
;淋菌性関節炎
[[淋菌]]性関節炎は遊走性単関節炎の他に、多関節炎の形態もとる。<ref>岡田 定 編: 「最速!聖路加診断術」 pp 162-166</ref>
76行目:
 
;Step3 疼痛関節数を確認する
単関節痛と多関節痛では想起される鑑別疾患が大きく異なる。1関節の痛みを訴えるのが単関節痛である。2~32〜3関節程度の少関節痛は、多関節痛に移行する前の段階をみている可能性がある。4関節以上の観察痛があった場合は多関節痛として評価する。
 
;Step4 急性と慢性の時間経過を区別する
187行目:
!nowrap|関節液!!nowrap|外観!!nowrap|粘性!!nowrap|白血球数(/μL)!!nowrap|多核球割合!!nowrap|結晶!!nowrap|培養
|-
|正常||透明||高||<200||<10%10%||なし||陰性
|-
|非炎症性||透明||高||200~2000200〜2000||<10%10%||なし||陰性
|-
|炎症性関節炎||半透明||低||2000~500002000〜50000||様々||なし||陰性
|-
|結晶誘発性関節炎||混濁||低||200~200〜>50000||>90%90%||痛風では尿酸結晶、偽痛風ではCPPD||陰性
|-
|化膿性||混濁||様々||200~200〜>50000||>90%90%||なし||陽性
|-
|血性||血性||低||なし||なし||なし||陰性
204行目:
!nowrap|細胞数(/μl)!!nowrap|分類
|-
|~200〜200||正常
|-
|200~2000200〜2000||非炎症性
|-
|2000~200002000〜20000||炎症性
|-
|20000~20000〜||化膿性
|}
 
230行目:
== 各論 ==
=== 化膿性関節炎 ===
[[化膿性関節炎]]は[[結晶誘発性関節炎]]や外傷性関節炎とともに急性単関節炎を起こす代表的な疾患である。化膿性関節炎は死亡率が7~15%7〜15%と高く、急激な関節破壊により機能的予後が悪化するため早期診断が重要である。関節液の培養と血液培養を行うことが特に重要である。起炎菌は黄色ブドウ球菌が46%46%ほど連鎖球菌が22%22%ほどをしめる。エンピリック治療ではMSSAを想定すれば[[セファゾリン]](CEZ)を2gで8時間毎投与する。MRSAを想定した場合は[[バンコマイシン]](VCM)1gを12時間毎を併用する。化膿性関節炎のみならば治療期間は最低4週間で播種性病変があればその治療期間に応じて抗菌薬を投与する。異物があれば除去し、膿瘍があればドレナージを行う。
 
性活動のある成人の場合は淋菌性化膿性関節炎も考慮する。これは播種性淋菌感染症であり移動性の関節痛、主に四肢に出現する皮疹、手や足などの腱鞘炎を特徴とする。[[淋菌]]はチョコレート寒天培地での培養が必要なため培養検査で注意が必要である。[[セフトリアキソン]]で7~107〜10日間治療を行う。
 
=== 結晶誘発性関節炎 ===
==== 痛風 ====
;経過
[[痛風]]は6~126〜12時間でピークに達する急性の単関節炎で、下肢の関節、特に第1MTP関節に多くみられる。痛風結晶は温度の低いところで析出するため、末梢の関節で起こりやすいく、肩や股関節では起こりにくいとされている。中高年の男性に多く、妊娠可能な女性では極めて稀である。飲酒、脱水、外傷などが引き金になる。[[サイアザイド]]、[[ループ利尿薬]]、[[シクロスポリン]]、[[タクロリムス]]、低容量アスピリン、ニコチン酸、エタンブトール、ピラジナミドなどの薬剤も尿酸値上昇に寄与し痛風のリスクになる。発熱・腫脹・疼痛・熱感といった炎症徴候が強く、下肢関節炎では荷重時痛を訴えたり、触診を嫌がるほどの疼痛がみられる。高尿酸血症が持続した結果として尿酸ナトリウム結晶の析出が起こるが発作時の血清尿酸値は正常であることもある。痛風発作を繰り返し、慢性化した場合は痛風結節の形成や多関節炎への移行がみられる。
 
;診断
243行目:
 
;治療
[[コルヒチン]]を発作前兆期に0.5mg1錠の内服をする。発作極期はコルヒチンとNSIADsを使用する。特に日本痛風・核酸代謝学会のガイドラインでは[[NSAIDs]]の使用が推奨されている。NSAIDsが使用しにくい場合、または無効時は[[副腎皮質ステロイド]]を用いる。プレドニゾロンを30~50mg30〜50mg/dayで開始し、漸減し7~107〜10日ほどで中止する。発作時に尿酸降下薬を新たに開始するべきではない。尿酸降下薬の使用が痛風発作を誘発することがあるためである。しかし痛風発作時に尿酸降下薬を既に使用している場合は原則として継続する。尿酸降下薬は発作の寛解後およそ2週間後から低容量で開始し、漸増する。開始量は[[アロプリノール]]50mg、[[ベンズブロマロン]]12.5mg、[[フェブキソスタット]]10mgのいずれかである。尿酸降下薬使用中も痛風発作予防のため低容量コルヒチン(0.5mg錠1日1錠)の併用をコルヒチンカバーとして使用することもある。
 
==== 偽痛風 ====
;経過
[[偽痛風]]はCPPD(ピロリン酸カルシウム二水和物)の沈着による関節炎であり、特に痛風に似た急性の単少数関節炎の場合をいう。高齢者における内科的・外科的イベントの後に起こることが多い。膝関節は特に偽痛風が起こる可能性が高い関節である。特に変形性関節症のある膝関節で起こりやすいといわれている。
 
なおCPPDによる関節炎は偽痛風の他の臨床病型がある。例えばpseudo-RAでは慢性多関節炎の臨床像をとり、pseudo-OAでは軟骨の石灰化を伴い変形性関節症のように慢性進行性に関節の変形が進む。Pseudo-neuropathicではシャルコー関節のように急速に関節の変性が進行する。末梢関節以外では頚椎歯状突起周囲にCPPDが沈着するcrowned dens syndromeのような特殊な病態もある。発熱や局在性の乏しい疼痛を伴うため[[感染性心内膜炎]]や[[リウマチ性多発筋痛症]]の鑑別として重要である。
255行目:
 
;治療
急性の関節炎に対して質の高いエビデンスはなく、痛風発作の治療に準じる。局所の安静、冷却、NSAIDsの投与のほか、関節穿刺によるCPPD結晶の除去、副腎皮質ステロイドの関節注射が一般的に行われる。経口副腎ステロイドはNSAIDsが無効な場合は使用できない場合、多関節炎の場合に考慮される。プレドニゾロンを30~50mg30〜50mg/dayで開始し、漸減し7~107〜10日ほどで中止する。
 
=== ウイルス性関節炎 ===
264行目:
 
;診断
PMRの15%15%に[[巨細胞性動脈炎]]を合併する。また巨細胞性動脈炎の50%50%にPMRを合併する。重要な鑑別疾患に感染性心内膜炎がある。歯科治療歴や外傷歴を確認し、口腔内や眼瞼の点状出血、爪の線状出血、手の点状出血、心雑音を確認する。また高齢発症関節リウマチ、痛風、偽痛風、[[甲状腺疾患]]、副甲状腺疾患、[[多発性骨髄腫]]も重要な鑑別になる。CRP、ESR高値が特徴的である。しかしESRはリウマチ性多発筋痛症の5%5%で正常値をとる。またESR1ESR1時間値で100mm以上の場合は巨細胞性動脈炎や悪性腫瘍を疑う。超音波検査では滑液包炎が確認できる。
 
;治療
プレドニン換算で12.5~25mg5〜25mg/dayで治療開始する。症状を基準に調整し4~84〜8週間以内に10mg/dayで維持するのが目標である。10mg/day以下では再燃をすることが多く1ヶ月で1mgを目標にゆっくりと減量する。1年以上をかけてゆっくりと中止を目標にする。1年でPSLを中止できるのは10~20%10〜20%にすぎない。再発時は再発前の投与量にもどし、4~84〜8週間かけて緩徐に再発時の量まで減量する。再発例や長期治療れkでは[[メソトレキセート]]や[[TNF阻害薬]]が検討される。
 
== 関連項目 ==
280行目:
 
== 脚注 ==
{{Reflist}}
<references />
 
== 参考文献 ==
* Dr.岡田の膠原病大原則(第2巻) ISBN 978-4904357064
* 外来で診るリウマチ・膠原病Q&AQ&amp;A ISBN 9784784964444
{{medical-stub}}