「クロード=アドリアン・エルヴェシウス」の版間の差分

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K.t.04 (会話 | 投稿記録)
m Helvetiusの名前にアクサンテギュを付け足し、Helvétiusと正しく表記。
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==思想==
認識論の分野では[[コンディヤック]]の感覚論と当時最新の生理学<ref>18世紀前半の生理学は、[[ブールハーヴェ]]門下のアルブレヒト・フォン・ハラーの活躍によってフランスの知識階級にはよく知られていた。{{Cite journal|和書|author=宮田眞治|title=「自然の内部に、被造物の精神は踏み込まない」-A.v.ハラーにおける境界/限界の諸相 |date=2010-12 |publisher=死生学研究編集委員会 |journal=死生学研究 |volume=14|edition=東京大学大学院人文社会系研究科 [編]|naid=120003087971 |pages=160-120 |ref= }}など。</ref>の成果を踏まえて、人間精神の活動のすべてを「身体的感性 sensibilité physique」に還元できるとした。最初の著作『精神論』(De l'esprit)は、コンディヤックの快苦原理<ref>コンディヤックはジョン・ロックの快苦原理を踏襲している。{{cite web|author=渡邊裕一|date=1992-9-1|journal=学習院大学人文科学論集|title=ジョン・ロックにおける快楽と苦痛の原理 -エピクロスとの比較を通じて-|work=< 三. ロックにおける快苦の取り扱い >|publisher=学習院大学大学院人文科学研究科部|fomat=pdf|url=http://www.gakushuin.ac.jp/univ/let/top/publication/stu_pdf_22/001.pdf|pages=11-14|NCID=AN10398283|accessdate=<small>2015-8-19</small>}}</ref>を受け継ぎながらも霊魂不滅を説くコンディヤックと異なり、霊魂の不死に疑問を投じた<ref>[[森村敏己]][http://www.furugosho.com/precurseurs/helvetius/morimura-hc.htm 森村敏己氏によるコンディヤックとエルヴェシウスの比較]{{accessdate|<small>2015-8-19</small>}}</ref>。
 
社会道徳の分野では、公共にとっての利益が善の基準であると考え、[[ジェレミ・ベンサム|ベンサム]]の功利主義や[[ウィリアム・ゴドウィン]]に影響を与えている<ref>{{Cite book|和書|author=L・スティーヴン|year=1970|title=十八世紀イギリス思想史・下|publisher=[[筑摩書房]]|pages=P.143}}</ref>。徳はエルヴェシウスにとって、他者を考慮する政治的な感情・行動である。また、個人的利益を追求するように見える物理的感覚から公共の利益への志向は、「将来の予想や期待」「教育」によって道徳的感情を涵養することで形成しうるとエルヴェシスは考えた。そこでエルヴェシウスは『人間論』で快楽論に基づきつつ名誉心を重視し、名誉心を媒介として、個人的欲望と公共福祉の調和を図る道徳論を主張した<ref name=el />{{Sfn|哲学の歴史6|p=577(訳註6)}}。