「無次元量」の版間の差分

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{{混同|0次元}}
'''無次元数'''(むじげんすう、{{lang-en|dimensionless number}})は、[[量の次元|次元]]を持たない[[量]]のことである。'''無次元量'''(むじげんりょう、{{lang-en|dimensionless quantity}})とも呼ばれ、'''無名数'''(むめいすう、{{lang-en|bare number}})、'''次元1の量'''({{lang-en|quantity of dimension one}})と呼ぶこともある<ref>{{cite web|url=http://www.iso.org/sites/JCGM/VIM/JCGM_200e_FILES/MAIN_JCGM_200e/01_e.html#L_1_8|title='''1.8''' (1.6) '''quantity of dimension one''' dimensionless quantity|work=International vocabulary of metrology — Basic and general concepts and associated terms (VIM)|publisher=[[International Organization for Standardization|ISO]]|year=2008|accessdate=2011-03-22}}</ref>。
{{出典の明記|date=2011年7月}}
'''無次元数'''(むじげんすう、{{lang-en|dimensionless number}})は、[[量の次元|次元]]を持たない[[物理量]]のこと。しばしば'''無次元量''' (dimensionless quantity) と呼ばれ、'''無名数'''と呼ぶこともある。無次元数は[[単位系]]に依らない量であるので、一般化されたある現象の特徴的なパラメーターとして用いられる。このようなパラメーターは、現実には[[物質]]に依存したり必ずしも操作可能な量ではないが、[[理論]]や数値実験においては操作的な量として取り扱うこともある。
 
無次元数は、[[数学]]、[[物理学]]、[[工学]]、[[経済]]など多くの分野で広く使用されている。反対に、[[メートル]]、[[秒]]、[[メートル毎秒]]などの[[物理単位]]で測定される[[長さ]]、[[時間]]、[[速度]]などは「次元を有する量」である。
== 同種の量の比 ==
 
同じ次元を持つ 2 つの量の比は無次元数になる。特に、同じ種類の 2 つの量の比は無次元量になる。例えば以下の例がある。
'''無次元数'''(むじげんすう、{{lang-en|dimensionless number}})は、[[量の次元|次元]]を持たない[[物理量]]のこと。しばしば'''無次元量''' (dimensionless quantity) と呼ばれ、'''無名数'''と呼ぶこともある。無次元数は[[単位系]]に依らない量であるので、一般化されたある現象の特徴的なパラメーターとして用いられる。このようなパラメーターは、現実には[[物質]]に依存したり必ずしも操作可能な量ではないが、[[理論]]や数値実験においては操作的な量として取り扱うこともある。
*長さ同士の比:[[アスペクト比]]、[[円周率]]、[[ラジアン]](弧度)
 
== 歴史 ==
次元 1 を有する量は習慣的に無次元量と呼ばれ、科学において時々現れ、[[次元解析]]の分野において形式的に扱われる。19世紀、[[フランス]]の数学者[[ジョゼフ・フーリエ]]と[[スコットランド]]の物理学者[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル]]が、近代的な[[量の次元|次元]]と[[物理単位|単位]]の概念を発展させた。後の[[イギリス]]の物理学者[[オズボーン・レイノルズ]]と[[ジョン・ウィリアム・ストラット (第3代レイリー男爵)|レイリー卿]]の研究は、物理学における無次元数の理解に貢献した。{{仮リンク|エドガー・バッキンガム|en|Edgar Buckingham}}は、レイリーの次元分析の手法を基に、これらの量の性質を正式化する[[バッキンガムのπ定理]]を証明した(これは、フランスの数学者{{仮リンク|ヨセフ・ベルトラン|en|Joseph Bertrand}}の以前の研究とは独立している)。多くの他の無次元数(主として比率)は、1900年代初期、特に[[流体力学]]と[[熱伝導]]の分野で作られました。 [[SI組立単位|組立単位]]dB([[デシベル]])で比率を計測することは、今日、広く普及している。2000年代初頭、[[国際度量衡委員会]]は、無次元量の単位を「ウノ」(uno)と命名することについて議論したが、却下された<ref>{{cite web|url=http://www.bipm.fr/utils/common/pdf/CCU15.pdf |title=BIPM Consultative Committee for Units (CCU), 15th Meeting |date=17–18 April 2003 |accessdate=2010-01-22 |deadurl=yes |archiveurl=https://web.archive.org/web/20061130201238/http://www.bipm.fr/utils/common/pdf/CCU15.pdf |archivedate=2006-11-30 |df= }}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.bipm.fr/utils/common/pdf/CCU16.pdf |title=BIPM Consultative Committee for Units (CCU), 16th Meeting |accessdate=2010-01-22 |deadurl=yes |archiveurl=https://web.archive.org/web/20061130200835/http://www.bipm.fr/utils/common/pdf/CCU16.pdf |archivedate=2006-11-30 |df= }}</ref><ref>{{cite journal |author=Dybkaer, René |title=An ontology on property for physical, chemical, and biological systems |journal=APMIS Suppl. |issue=117 |pages=1–210 |year=2004 |pmid=15588029 |url=http://www.iupac.org/publications/ci/2005/2703/bw1_dybkaer.html}}</ref>。
 
== 純粋な数 ==
[[1]]、[[虚数|{{mvar|i}}]],、[[円周率|{{pi}}]]、[[オイラー数|{{mvar|e}}]]、[[黄金比|{{mvar|φ}}]]<ref>https://www.youtube.com/watch?v=Ym5u5IlYWcg</ref>など、全ての'''[[数|純粋な数]]'''は無次元量である。
 
[[ダース]]・[[グロス]]・[[グーゴル]]などの数の単位、また、[[日本語]]において個数などを数えるのに使われる[[数助詞]](個・人・回など)も無次元量である。[[アボガドロ数]]も無次元量であるが、[[アボガドロ定数]]は mol<sup>-1</sup>の次元を持つため無次元量ではない。
 
== 比率 ==
無次元量は、無次元ではないが次元が数学的演算により相殺する量の[[比]]としても得られる<ref>http://web.mit.edu/6.055/old/S2008/notes/apr02a.pdf</ref>。例えば、[[傾き]]や[[単位の換算]]の係数などである。より複雑な例として、[[ひずみ]]がある。これは、[[長さ]]の変化を初期の長さで割ったものとして定義される物理的な[[変形]]の尺度である。どちらの量も「長さ」の次元を持つので、その比は無次元となる。
 
他の例として、[[濃度]](質量濃度、体積濃度、モル分率など)がある。これは、[[パーセント|%]] (=&nbsp;0.01)、[[パーミル|‰]]&nbsp;(=&nbsp;0.001)、[[ppm]] (=&nbsp;10<sup>−6</sup>)、ppb (=&nbsp;10<sup>−9</sup>)、ppt (=&nbsp;10<sup>−12</sup>)などの[[Parts-per表記]]や、2つの同じ単位の比率(kg/kg、mol/molなど)で表される。例えば、[[アルコール飲料]]中の[[エタノール]]の濃度は体積を基準として mL/100mL として表現できる。
 
[[角度]]の単位は無次元量である。弧度法による単位([[ラジアン]])は円周上の長さと半径との比率であり、度数法による単位([[度 (角度)|度]]、[[グラード (単位)|グラード]]など)は円周上の長さと円周との比率に定数をかけたものである。
 
[[統計]]では、[[変動係数]]は[[平均]]に対する[[標準偏差]]の比であり、データのばらつきを表現するために使用される。
 
他に以下のような例がある。
*長さ同士の比:[[アスペクト比]]、[[円周率]]、[[ラジアン]](弧度)
*質量同士の比:[[比重]]、[[原子量]]
*周波数同士の比:[[サイクル (単位)]]、[[Q値]](振動や共振の鋭さを示す値)
*入力と出力の比:[[利得 (電気工学)|利得]](電力-、電圧-)
 
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*[[物理単位]]
*[[正規化]]
*[[Parts-per表記]]
 
{{流体力学の無次元数}}