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'''構造安定エネルギー'''という。上で示した通り、螺旋構造の安定性はG/C含量に依存することを述べたが、実はそれだけでなく、スタッキング相互作用も関与している。水素結合は螺旋の軸に垂直に、スタッキング相互作用はほぼ平行に形成されるため、両者の、安定性への寄与を分けて考えることが可能である。<math>\Delta G_{37}^\circ</math>は37度における構造形成の[[自由エネルギー]]を意味し、<math>- \Delta G_{37}^\circ</math>は水素結合とスタッキング相互作用の両者の寄与から予想された、安定性の指標の一つである。
 
この指標はI. Tinocoら<ref group="注">I. Tinoco, Jr., O. C. Uhlenbeck, M. D. Levine</ref>が1971年に'''最塩基対モデル'''として提案され、このモデルは「核酸の塩基対形成に関して最も影響を与えるのは既に生成している隣の塩基対である」という考えを基本にしている。なぜなら、水素結合の強度は1塩基対における二つの塩基の組み合わせに決定され、スタッキング相互作用は距離の6乗に反比例するので、ある塩基対と隣接塩基対のさらに隣の塩基対との間に働く力は無視できると考えられるためである。すなわち、螺旋構造の安定性は、隣接する塩基対の足し合わせによって求められると考えられた。
 
螺旋構造において可能な最近接塩基対の組は、DNA/DNAおよびRNA/RNAで10種類、DNA/RNAで16種類である。<ref>下の図のアイディアは杉本直己「遺伝子化学」2002年 p36 に書かれている図3.9から流用</ref>
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もし螺旋構造の安定性がこのモデルに従えば、異なる塩基配列を持つ螺旋分子同士でも、同じ最近接塩基対の組成を持つのなら安定性は等しい。最近接塩基対モデルから、上図に示した最近接塩基対の組の構造安定エネルギーの実験的測定の網羅から、構造安定性は解読されている。
 
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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