「ストライクゾーン」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
2016年以降の条文改正に対応する。
4行目:
== 定義 ==
[[ファイル:Strike zone Ja.JPG|thumb|right|400px|ストライクゾーンの説明。打者は[[イチロー]]。]]
[[公認野球規則]]では、ストライクゾーンを「打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする[[本塁]]上の空間をいう。このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである。」と定めている<ref>2009公認野球規則2. 本規則における用語の定義 74 STRIKE「ストライク」</ref>。
 
この空間は、すなわち本塁の形を底面とした五角柱と考えればよい。球審は、この空間を通過したと判定した投球(一部分でもかすめればよい)を打者が打たなかった場合は[[ストライク (野球)|ストライク]]を、通過していないと球審が判定した場合は[[ボール (野球)|ボール]]を宣告する。
16行目:
実際の試合においては、投球を判定する[[球審]]の裁量で決定される。当然ながら、現実にストライクゾーンの枠や線が設けられているわけではないので、公認野球規則に示されている基準と球審の判断との間に誤差が生じたり、球審を担当する者の間に個人差が生じたりすることもありうる。
 
公認野球規則の原書であるOfficial Baseball Rulesにおいては、「The STRIKE ZONE is that area over home plate」と書かれている。2000年[[シドニーオリンピック]]や[[IBAFワールドカップ]]、[[世界大学野球選手権大会]]などでも審判員を務めた経験のある[[小山克仁]]によれば、エリアとは「おおむねこの周辺」という意味で、つまり「打者が自然体で打てる範囲がストライク」と言うかなりアバウトな考え方であって、審判員が「そこは打てるだろう、打てよ」と[[ジャッジ]]した場合は、ストライク・コールが可能だとしている<ref name="YakyuuKozou 200808">{{Cite book|和書|author=大利実 「シドニー五輪の主審経験者 ・ 小山克仁氏が"世界基準"を解説」|title=野球小僧 2008年8月号|publisher=白夜書房|pages=190-195}}</ref>。
|author=大利実 「シドニー五輪の主審経験者 ・ 小山克仁氏が"世界基準"を解説」
|title=野球小僧 2008年8月号
|publisher=白夜書房
|pages=190 - 195頁
}}</ref>。
 
[[平林岳]]らによると、{{by|2000年}}以前は、打者がガンガン打って行くスタイルを好む[[メジャーリーグベースボール|MLB]]では、[[日本プロ野球]](NPB)よりストライクゾーンが外角にボール1個分広いといわれていたが、{{by|2001年}}度から[[クエステック・システム]]が導入されたこともあり、{{by|2008年}}現在ではルールブック通りのストライクゾーンを適用しているという。これは、同システムによってジャッジの正否を一球ずつ査定されるようになったからであるとされており、それゆえにそう広く取ることはできず、実際[[1990年代]]と比較すると大分狭くなっている<ref name="YakyuuKozou 200808" /><ref name="MAJOR.JP">{{Cite web|date=2007年4月16日|url=http://mlb.yahoo.co.jp/column/?n=25 |title=MLBコラム 米国のストライクゾーン、その実態と背景 <平林 岳>|work=MAJOR.JP|language= |accessdate=2008年8月5日}}{{リンク切れ|date=2017年4月}}</ref>。とは言え、完全に画一化されたわけではなく、依然として外側を良く取る球審が居ることもまた事実である。特に[[ラズ・ディアズ]]、[[ジム・ウルフ]]、[[ジェフ・ネルソン (アンパイア)|ジェフ・ネルソン]]らはストライクゾーンが広く、投手有利(打者不利)な球審として広く知られている<ref>{{Cite book|和書|author=「MLBアンパイア最前線」|title=ウェルカム・メジャーリーグ 2008|publisher=白夜書房〈白夜ムック 315〉|pages=56-57|isbn=978-4861913983}}</ref>。一方、教育・育成の場でもあるマイナー(特に低レベルなルーキーや1A)では、かなり広目にストライクを取って行く傾向がある<ref name="MAJOR.JP" />(外角にボール1個半広い)。
|date=2007年4月16日
|url=http://mlb.yahoo.co.jp/column/?n=25
|title=MLBコラム 米国のストライクゾーン、その実態と背景 <平林 岳>
|work=MAJOR.JP
|language=
|accessdate=2008年8月5日
}}</ref>。とは言え、完全に画一化されたわけではなく、依然として外側を良く取る球審が居ることもまた事実である。特に[[ラズ・ディアズ]]、[[ジム・ウルフ]]、[[ジェフ・ネルソン (アンパイア)|ジェフ・ネルソン]]らはストライクゾーンが広く、投手有利(打者不利)な球審として広く知られている<ref>{{Cite book|和書
|author=「MLBアンパイア最前線」
|title=ウェルカム・メジャーリーグ 2008
|publisher=白夜書房〈白夜ムック 315〉
|pages=56-57頁
|id=ISBN 978-4861913983
}}</ref>。一方、教育・育成の場でもあるマイナー(特に低レベルなルーキーや1A)では、かなり広目にストライクを取って行く傾向がある<ref name="MAJOR.JP" />(外角にボール1個半広い)。
 
日本プロ野球においても、それまではベルト付近が上限だったストライクゾーンを{{by|2002年}}に公認野球規則の通りに改めたが{{refnest|group="注釈"|当時[[大阪近鉄バファローズ]]がチーム防御率5点台で優勝した初めてのチームになるなど打者有利に傾いたことと、投手が打ちこまれ交代が多くなり試合時間が長くなることへの反省から行なわれた<ref>{{citeCite web|url=http://www.number.ne.jp/special_columns/abe/2002.02.15_1.html |title=ストライクゾーン変更——あらためて、日本の審判について考える。|publisher=Number Web|accessdate=2014-02-年2月28|archiveurl=http://web.archive.org/web/20021204145925/http://www.number.ne.jp/special_columns/abe/2002.02.15_1.html|archivedate=2002-12-04月4日}}</ref>。ゾーン変更の甲斐あってか2002年はセ・リーグ、パ・リーグともに防御率が大幅に良化している。}}翌年には見直される<ref>{{citeCite web|url=http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/feb/o20030221_10.htm |title=もらった松坂ライズボール|publisher=報知ベースボールパーク|accessdate=2014-05-年5月21|archiveurl=http://web.archive.org/web/20030408162429/http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/feb/o20030221_10.htm|archivedate=2003-04-08年4月8日}}</ref>。[[パ・リーグ]]では、{{by|2007年}}度から外角にボール1個半広がった新しいストライクゾーンを採用した。交流戦によって違うリーグの審判の判定を受けるケースが多くなり、選手から[[セントラル・リーグ]]と比べてストライクゾーンが狭いという意見が出たためである。また、[[近代オリンピック|オリンピック]]などの国際大会において「日本独自のやり方や解釈は通用しなくなっており、国際基準を視野に入れながら思考・行動する必要がある」という日本野球規則委員会の判断から<ref name="RulesJP2006">{{Cite book|和書
|author=日本野球規則委員会
|title=公認野球規則2006
47 ⟶ 29行目:
 
=== 打者の体格や打撃姿勢とストライクゾーン ===
球審は、「打者が投球を打つための姿勢」を基準にストライクゾーンを判断する。日本野球規則委員会が公認野球規則2. 本規則における用語の定義 74 STRIKE「ストライク」に加えた【注】では、「投球を待つ打者が、いつもと異なった打撃姿勢をとってストライクゾーンを小さく見せるためにかがんだりしても、球審は、これを無視してその打者が投球を打つ姿勢に従って、ストライクゾーンを決定する」としている。すなわち、どんなにかがんで構えたとしても、あるいは低い姿勢でバントの構えをとっていても、球審は、打者が通常の打撃姿勢で構えたときの姿勢を基準にして投球判定を行うので、構え方によってストライクゾーンが大きくなったり小さくなったりすることはない。
 
しかしながら、ストライクゾーンは打者の体格を基準とするので、打者の身長や体格等による個人差はある。1951年、メジャーリーグにおいて、[[小人症]]の[[エディ・ゲーデル]]という109cmの選手が代打として出場した。